追放された魔界のプリンスは人間界で無自覚に無双する～え、ドラゴンくらいワンパンで倒せるでしょ～

17

ある日のこと、俺はエレナと一緒に城下町を散策していた。大通りの両側には商店が立ち並び、多くの人々で賑わっている。

「見て！ あのお店可愛い！」

エレナが指さした方向にはアクセサリーショップがあった。彼女は目を輝かせると、そのまま店の中に入っていった。俺も彼女の後に続く……店内には様々な種類の装飾品が置かれていた。エレナは真剣な表情で商品を選び始めると、それを手に持って俺に見せてきた。それは銀色の指輪だった……彼女はそれを俺の左手の薬指に嵌めると言った。

「よし、これで婚約完了ね！」

嬉しそうに笑う彼女を見て俺は微笑んだ。それから二人で店内を見て回ると可愛らしいアクセサリーショップを楽しんだ後、エレナと俺は城下町の奥にある小さなカフェに足を運んだ。そこは静かな雰囲気で、窓からは陽光が差し込んでいた。

「いいお店ね」

エレナはメニュー表を眺めながら言った。俺も彼女と同じものを頼むことにした。数分後、注文したものが運ばれてきた……それは紅茶とケーキのセットだった。一口食べると、とても甘くて美味しかった……エレナも幸せそうな表情を浮かべていた。それから俺たちは他愛もない会話を交わしながら、穏やかな時間を過ごしたのだった……

「素敵な一日だったね。ありがとう、優しい王子さま」

俺は彼女の手を優しく握り返し、笑顔で応えた。

「こちらこそ、エレナ。君と一緒に過ごす時間はいつも楽しいよ」

二人は城下町の入り口に差し掛かり、城の灯りが灯り始めた。エレナは少し照れくさそうに言った。

「魔物が攻めてきたぞ！」

突如現れた叫び声に、俺とエレナは驚きの表情を浮かべた。城下町の平和な日常が一瞬で崩れ去り、人々が騒然となっていた。エレナの手を握りしめ、俺たちは即座にその場を離れ、混乱する人々と共に城の方へ向かった。

城内では兵士たちが駆け回り、警戒態勢が整えられていた。一部の住民は避難所に避難し、城の門が堅く閉ざされていた。エレナの表情も一変し、心配そうな様子で俺を見つめた。

「何が起きているのかしら？」

俺は心の中で状況を推し量りながら、エレナに対応を説明した。

「魔物が攻めてきたみたいだ。君はここで安全なところに隠れていてくれ。俺は兵士たちと一緒に立ち向かう」

エレナは一瞬驚きの表情を見せたが、その後頷いてくれた。俺は彼女の頬にキスをし、素早く立ち去った。
城壁に到達すると、魔物の軍勢が迫っているのが見えた。兵士たちが激しい戦いを繰り広げている中、俺も彼らに交じりながら戦った。城下町の平和を守るため、そしてエレナの安全のために。
その日、城下町は激しい戦いに包まれ、多くの犠牲者が出た。しかし、最終的に魔物は撃退され、平和が戻った。俺はエレナと再び会い、抱きしめながら感謝の気持ちを伝えた。

「君が無事でいてくれたことが何よりの喜びだ。これからも一緒に未来を築いていこう」

エレナは涙を浮かべながら微笑み、俺たちは共に未来へと歩みを進めるのだった。城下町の絆は、困難にも負けず、強く深まっていくことだろう。