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翌日、私はマリアに誘われて図書館に行くことになった。昨日借りた小説の続きを読むためだ。
「フィーナ様はどの話が良かったですか?」
マリアが聞いてきたので私は少し考えた後、答えた。
「そうですね……私は主人公の男性に恋する平民の女の子が健気で可愛かったと思います」
「分かります! 私もあのシーンが一番好きでした!」
私たちは本について語り合った後、小説を読んだ。その後は感想を言い合いながら過ごしたのだが、その間も私はずっとカイル殿下のことを考えていたのだった。
(なんだろう……この気持ちは……)
私は自分の感情に戸惑っていた。今までこんな気持ちになったことはなかったからだ。
(もしかして私、カイル殿下のことを好きになってしまったのかしら……?)
そんなことを考えていた時だった。突然マリアが声をかけてきた。
「フィーナ様、大丈夫ですか?」
「えっ!?」
私は驚いて顔を上げた。すると彼女は心配そうな表情でこっちを見ていた。そこで初めて気づいたのだが、いつの間にか考え込んでしまっていたらしい。私は慌てて笑顔を作った後、返事をした。
「なんでもないですよ」
「本当ですか? さっきからずっと黙り込んでいましたけど……」
「ごめんなさい、少し考え事をしていたんです」
私が謝るとマリアはホッとした表情を見せた。そして話題を変えてくれたので助かった。その後も私たちは雑談をしながら過ごした後、帰路につくことにしたのだった。
(はぁ……やっぱりダメね……)
私は心の中でため息をついた。どうやら私は小説の主人公と同じ運命を辿ることになりそうだ。そんなことを考えながら歩いているといつの間にか自宅に着いていた。
「お帰り、フィーナ」
カイル殿下は私を見るなり声をかけてきた。どうやら彼も今帰ってきたところらしい。
「ただいま戻りました」
「今日も図書館に行ってたのかい?」
「ええ、そうです」
私は素直に答えた。すると彼は嬉しそうな表情を浮かべて言った。
「そうか! フィーナは本を読むのが好きなんだね」
「はい、大好きです」
私は笑顔で答えた。そしてふとあることを思いついて尋ねてみた。
「カイル殿下は好きな本や作家はいるんですか?」
私の問いに彼は少し考える仕草を見せた後、答えてくれた。
「そうだね……最近は推理モノを読んでいたけど最近は恋愛小説も読んでいるよ」
「そうなんですか? ちなみにどの本がおすすめですか?」
私が尋ねると彼は少し考えた後、答えた。
「そうだね……最近読んだのだと『偽りの愛』かな」
私はドキッとした。まさに自分が今読んでいる本の作者だったからだ。まさかカイル殿下も同じ本を読んでいたなんて思いもしなかったので驚いてしまったが、それを顔に出さないように平静を保つことに成功した。そしてさらに会話を続けた結果、カイル殿下は私が読んでいる小説と同じ作者の小説を読んでいることが判明した。
「フィーナはどんな本を読むんだい?」
彼は興味深そうに聞いてきた。私は迷った末に答えた。
「そうですね……最近は恋愛小説をよく読んでいます」
すると彼は少し驚いたような表情を見せた後、尋ねてきた。
「へえ、そうなんだ! 実は僕も恋愛小説が好きなんだけど、特に面白いのがあったら教えてくれないか?」
「ええ、分かりました」
私は笑顔で答えた。そして心の中で思った。
(これはチャンスかもしれないわ!)
小説の感想を言い合ったり本の貸し借りをするのは親しくなるには最適だ。特に同じ作者が好きならば尚更である。
「私、『偽りの愛』がすごく好きなんです!」
「へぇ、そうなんだ。僕も今度読んでみようかな」
「是非読んでみてください! おすすめです!」
私は笑顔で言った。するとカイル殿下は嬉しそうな表情を浮かべて言った。
「ありがとう、今度借りてみるよ」
(やったわ……!)
心の中でガッツポーズをする。これで自然に彼と本の話題で会話ができるだろう。私はワクワクしながらその日を過ごしたのだった。
「フィーナ様はどの話が良かったですか?」
マリアが聞いてきたので私は少し考えた後、答えた。
「そうですね……私は主人公の男性に恋する平民の女の子が健気で可愛かったと思います」
「分かります! 私もあのシーンが一番好きでした!」
私たちは本について語り合った後、小説を読んだ。その後は感想を言い合いながら過ごしたのだが、その間も私はずっとカイル殿下のことを考えていたのだった。
(なんだろう……この気持ちは……)
私は自分の感情に戸惑っていた。今までこんな気持ちになったことはなかったからだ。
(もしかして私、カイル殿下のことを好きになってしまったのかしら……?)
そんなことを考えていた時だった。突然マリアが声をかけてきた。
「フィーナ様、大丈夫ですか?」
「えっ!?」
私は驚いて顔を上げた。すると彼女は心配そうな表情でこっちを見ていた。そこで初めて気づいたのだが、いつの間にか考え込んでしまっていたらしい。私は慌てて笑顔を作った後、返事をした。
「なんでもないですよ」
「本当ですか? さっきからずっと黙り込んでいましたけど……」
「ごめんなさい、少し考え事をしていたんです」
私が謝るとマリアはホッとした表情を見せた。そして話題を変えてくれたので助かった。その後も私たちは雑談をしながら過ごした後、帰路につくことにしたのだった。
(はぁ……やっぱりダメね……)
私は心の中でため息をついた。どうやら私は小説の主人公と同じ運命を辿ることになりそうだ。そんなことを考えながら歩いているといつの間にか自宅に着いていた。
「お帰り、フィーナ」
カイル殿下は私を見るなり声をかけてきた。どうやら彼も今帰ってきたところらしい。
「ただいま戻りました」
「今日も図書館に行ってたのかい?」
「ええ、そうです」
私は素直に答えた。すると彼は嬉しそうな表情を浮かべて言った。
「そうか! フィーナは本を読むのが好きなんだね」
「はい、大好きです」
私は笑顔で答えた。そしてふとあることを思いついて尋ねてみた。
「カイル殿下は好きな本や作家はいるんですか?」
私の問いに彼は少し考える仕草を見せた後、答えてくれた。
「そうだね……最近は推理モノを読んでいたけど最近は恋愛小説も読んでいるよ」
「そうなんですか? ちなみにどの本がおすすめですか?」
私が尋ねると彼は少し考えた後、答えた。
「そうだね……最近読んだのだと『偽りの愛』かな」
私はドキッとした。まさに自分が今読んでいる本の作者だったからだ。まさかカイル殿下も同じ本を読んでいたなんて思いもしなかったので驚いてしまったが、それを顔に出さないように平静を保つことに成功した。そしてさらに会話を続けた結果、カイル殿下は私が読んでいる小説と同じ作者の小説を読んでいることが判明した。
「フィーナはどんな本を読むんだい?」
彼は興味深そうに聞いてきた。私は迷った末に答えた。
「そうですね……最近は恋愛小説をよく読んでいます」
すると彼は少し驚いたような表情を見せた後、尋ねてきた。
「へえ、そうなんだ! 実は僕も恋愛小説が好きなんだけど、特に面白いのがあったら教えてくれないか?」
「ええ、分かりました」
私は笑顔で答えた。そして心の中で思った。
(これはチャンスかもしれないわ!)
小説の感想を言い合ったり本の貸し借りをするのは親しくなるには最適だ。特に同じ作者が好きならば尚更である。
「私、『偽りの愛』がすごく好きなんです!」
「へぇ、そうなんだ。僕も今度読んでみようかな」
「是非読んでみてください! おすすめです!」
私は笑顔で言った。するとカイル殿下は嬉しそうな表情を浮かべて言った。
「ありがとう、今度借りてみるよ」
(やったわ……!)
心の中でガッツポーズをする。これで自然に彼と本の話題で会話ができるだろう。私はワクワクしながらその日を過ごしたのだった。
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