「お前のような奴を聖女と認めない」と婚約破棄されましたが、侯爵令息に拾われました。

28

デート当日、私たちは街のカフェで待ち合わせをしていた。


「フィーナ、お待たせ」


振り返るとルイスの姿があった。今日のルイスはいつも以上にかっこいい服装をしている。


（うぅ……なんか緊張する）


私が少し俯いていると隣にいたリリアナ様が話しかけてきた。


「ねぇ、2人とも今日はどこに行くつもりなの？」


「映画館へ行こうかと……」


私が答えるとリリアナ様は目を輝かせた。


「あら、それは楽しそうね！ 私も行っていい？」


「もちろんいいよ」


ルイスが笑顔で答えるとリリアナ様は嬉しそうな表情を浮かべた。


「ありがとう！ あ、でも2人きりのデートを邪魔しちゃ悪いから私はお買い物に行ってくるね」


そう言うとリリアナ様は去っていった。そして私とルイスはカフェを出ると映画館へと向かったのだった……


（うぅ……なんか緊張する）


私はルイスの服の裾を掴みながら歩いていた。すると彼は嬉しそうに微笑んで言った。


「フィーナ、手を繋ごうか？」


私が顔を真っ赤に染めていると、彼は私の手を握ってくれた。


（うぅ……恥ずかしいけど嬉しい）


私が照れているとルイスは優しい声で呟いた。


「フィーナのそういうところ、本当に可愛いね」


私はさらに顔を赤く染めると俯きながらルイスの手をギュッと握った。こうして私たちは映画館に到着するとチケットを買って中へと入った。映画の内容は恋愛ものだった。


（うぅ……なんだか気恥ずかしいな）


私がもじもじしているとルイスが心配そうに話しかけてきた。


「フィーナ、もしかして映画苦手だった？」


私は慌てて首を横に振ると口を開いた。


「えっと……その……あんまり恋愛ものを見た事がなくて……」


するとルイスは優しく微笑みながら言った。


「それなら僕に掴まっていればいいよ」


（うぅ……そんなこと言われたら余計にドキドキしちゃうよぉ）


そんなことを考えていると映画が始まった。最初は少し恥ずかしかったがストーリーが進むにつれてどんどん引き込まれていった。


（うぅ……主人公たちが結ばれた！）


映画が終わると私とルイスはカフェで休憩することにした。


「フィーナ、どうだった？」


私は笑顔で答えた。


「とても面白かったです！」


私が興奮しながら感想を話すとルイスは楽しそうに笑っていた。そして私たちはカフェを出ると公園に向かった。2人でベンチに座って話していると、突然ルイスが私に顔を近づけてきた。


（え！？ これってもしかして……キス？）


私は頰を染めながら目を閉じた。すると彼は私の耳元で囁いた。


「愛してるよ」


その言葉を聞いた瞬間、私の心臓が飛び跳ねた。


（うぅ……ずるい！）


私が恨めしそうな視線を向けるとルイスは意地悪そうな笑みを浮かべていた。そして私たちは見つめ合うともう一度唇を重ねたのだった……


（うぅ……恥ずかしくて死にそう……）


私が顔を赤く染めているとルイスは笑いながら話しかけてきた。


「フィーナは本当に可愛いね」


私はさらに顔を赤くしながら俯いてしまった。


「は、早く帰りましょう！」


私は立ち上がってルイスの手を引くと歩き始めた。するとルイスがくすくす笑いながら口を開いた。


「照れてるフィーナも好きだよ」


（うぅ……絶対からかってるよ！）


私が頬を膨らませているとルイスは楽しそうに笑っていたのだった……