迷子の僕の異世界生活

クローナ

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迷子になりました

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2日目のクラウスの話




ギルドの受付嬢に宿屋の息子が拾った子供の保護者認定された俺はギルドの解錠と同時に中に入った。

「なにルーキーみないな事してんのクラウス」

受付嬢のソフィアが信じられないものを見るような顔をする。

自分の受けられる仕事で最上の仕事にありつく為に登録したての新人冒険者は解錠待ちが当たり前だ。確かになんとなく気持ちが逸りこんな時間に来てしまった。

「ご挨拶だな。あんたが来いっていったからきたんだか?」

自分で気づいてなかった事を指摘さればつが悪いのを気取られない様に強気に出た。

「確かにそうだけどさ。」

まあこんなとこじゃ話も出来ないから来てちょうだいと奥まった個室に通された。
テーブルを挟んで3人掛けのソファが置かれている。ソフィアはさっさと腰掛けると手だけで俺にも座る様に促す。

「呼び出されたところでなんの情報も持ってないぞ?むしろこっちが聞きたいくらいだ」

「まあしょうが無いわね。ウチとしてはトラブル回避の為にいくつか確認しときたいだけだから。」

「だから意見を言える程かかわってない。」

「私よりは多いでしょう」 

それでも数分と数時間の差だ。

「話もしてないからマートから聞いた事しか話せないからな。」

後で文句を言われても困る。情報が少ないのをソフィアにも了承させようやく俺も向かい側に腰掛けた。

「昨日の昼にマートの宿屋近くの橋で座り込んでたのを息子のビートが見つけて連れてきたらしい。腹を減らしてたから何か食わせてやろうと思ったみたいだ。本人は道がわからなくなったと言っていて着てる服以外何も持ってないらしい。」

みるみるうちに水色の瞳がみひかられ同時に口もポカンと開いていつもカウンターでこいつにデートの誘いをかけてくる冒険者共にはとても見せられない間抜けヅラだ。

「登録の時にトウヤが言った事と殆ど変わらないじゃない。でもなんでそんなわけわかんない子雇う事になったの?」

「金も何も持ってないから稼ぎ方と寝る所を教えてくれる人を紹介して欲しいと言ったそうだ。」

「……聞く相手間違えてたら今頃売り飛ばされて娼館だわね。寝れるし食べれるし」

ソフィアが苦々しい顔になる。人身売買は犯罪だが需要と供給で無くならない。
田舎育ちの奴が騙される事もあるようだ。

『そうだな珍しい黒髪に女と見間違えそうな顔の作りと華奢な身体。あれで成人しているのだから合法的に高く………』

不意に浮かんだ下衆な考えに我ながら驚いて首を振った。

「マートの所の嫁が実家に帰ってなかったらどのみちここに連れてきただろうな」

「やめてよね!いきなりあんなの連れて来られたら私がパニックになってたわよ。仕方無いわね貴方を呼んでもその程度なら……」

そう言ってギルドのステータスプレートを見せてきた。

「俺が見てもいいのか?」

「見たこと誰にも言わないでよね。私が違反になるから」

「しれっと責任押し付けんな」

しかしそう返す俺自身もあいつが気になるのは確かだ。
プレートに浮かぶ文字に目を走らせる。

ギルドの登録時には水晶に血を垂らすことで名前と年齢と出身地と犯罪歴。それと仕事が斡旋しやすい様に使える魔法属性や剣術などのスキルが表示されるらしい。

教会に行けば更に詳しくわかるのだけど、ギルドでは最低限の問題回避さえできればいいのでその解読機能は少ない。

「トウヤ=サクラギ……聞いたことない家名だな。出身地と魔法属性はなにか書いてはあるけどブレブレで読めないな?それにやたらスキルはあるけど……」

「呼んだ理由わかった?いくらギルドのものが教会の劣化版にしてもわからないことが多すぎるの。しかも出身地や魔法に至っては表示されてるのに解読できないなんてこんなの初めてだわ」

ソフィアがプレートのその部分を指で叩く。

「属性は分からないが一応魔力はあるぞ、普通にシャワー使ってたし」

「クラウスあなたまさか…」

「覗いてねぇ」

「冗談よ」

魔法石が使われているものは魔力を通さないと使えない。

「確かに登録に必須なのは年齢と犯罪歴で後は魔法もスキルも変化していくものだから重要ではないのだけれど……本人は否定してたけどあなたから見てどう?家名もあるし誘拐とかもしくは家出とか」

「俺も考えない訳じゃなかったが貴族の子息なら字が読めないのはおかしいだろ。言葉遣いや食事の所作も悪くない程度で貴族それとは程遠いと思ったよ。マートの所の仕事も難なくこなしていたから俺としては『逃げ出した使用人』だな」

さっきより幾分マシな昨日の考えを素直に言った。

「貴方もそう見るなら攫われた子息ではなさそうね。それに彼のスキルならあながちその考えもありね。料理、掃除、ポーター、ウエイター、それに育児。」

「育児……」

そういえば宿を出る時もジェリーの髪を令嬢並みに結い上げてたな

「そう、その育児。世の中の母親は当たり前に持っているスキルだけど実は父親はなかなか取得できないのよこれ。ちょっと剣を振ったくらいじゃ剣術のスキルは獲得できないでしょ。それと同じ。赤ん坊からの成長のすべてに濃密に関わらないと『育児』としては表示されないの、まさか……」

急にソフィアが真顔になる。

「まさかトウヤはすでにお母さん⁉」

「はあ⁉」

思わず立ち上がる。

「……驚きすぎね、冗談よ。確かに可愛いけど男の子なんでしょ?年の離れた兄弟とかの面倒を親替わりにみれば獲得する事もあるわ。」

ソフィアが再び呆れた顔で俺を見た。


結局『とまりぎ』での仕事が終わるまでにスキルに見合った住込み、もしくは宿代の出る仕事をソフィアが探して置く事で落ち着いた。

それから依頼を受け夜遅く宿に戻った俺は

「トーヤの着替えに何かシャツの下に着る物を追加で用意してくれ!」

とマートに懇願される事になった。


*****

宿屋マートの証言

なぜシャツをかって?透けてんだよ濡れたシャツから薄っすらと胸のピンクのやつが!
クラウスめなんで白いシャツなんか買って来やがった!ただでさえ大きいから首元が結構開いてて朝から気になってたっつーのにあんなんで店先に立たせられるか!
ビートにもあんなの見せるにはまだ早すぎる。俺は慌ててエプロンを着けさせたよ。いい判断だろ?

でも考えが足りなかった。エプロンのせいであの細い腰が妙に目立っちまって男の客が何人かいやらしい目でトーヤを見てやがった!

俺の愛する可愛い嫁と可愛い子供達に危害がないよう宿泊客を選んじゃいるが昼間の客はそうはいかねぇからなぁ……

*****






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