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夕日が空を茜色に染める頃。
私は公爵邸の玄関ホールで、仁王立ちしていた。
「よし。準備完了ね」
目の前には、トランクが一つ。
そう、たったの一つだ。
通常、公爵令嬢が長期の療養(という名の引きこもり)に出るとなれば、馬車三台分の荷物が動くのが常識である。
季節ごとのドレス、宝石、靴、愛用の家具、専属の料理人に使用人たち。
まるで民族大移動のような騒ぎになるのが普通だ。
しかし、私の足元にあるのは、旅行鞄一つと、手に持ったボストンバッグのみ。
「お、お嬢様……本当にこれだけでよろしいのですか?」
見送りに立ったメイドのマリーが、信じられないものを見るような目をしている。
「ドレスも、宝石箱も、まだお部屋に残っていますが……」
「いらないわ」
私は即答した。
「あんなコルセットで内臓を圧迫するようなドレス、田舎の畑仕事には邪魔なだけよ。それに、あの宝石類はすべて『元婚約者受け』を狙った趣味の悪いデザインばかりだし」
私はボストンバッグを軽く叩く。
「ここに入っているのは、動きやすい綿のワンピースと、農業の専門書、帳簿、そして最高級の紅茶の葉だけ。これさえあれば生きていけるわ」
「は、はあ……。さすがはお嬢様、潔いといいますか、何といいますか……」
マリーが引きつった笑みを浮かべる。
私の計画は完璧だった。
午前中に送りつけた「超高額請求書」。
あれが王城に届いたのは昼頃のはずだ。
王宮の事務官たちが度肝を抜き、財務大臣が泡を吹き、国王陛下が頭を抱えるまでのタイムラグを計算すると、王宮機能が麻痺している今こそが逃亡の好機。
返事が来る前に、物理的に距離を取ってしまえばこちらの勝ちだ。
「お父様、馬車の手配は?」
私は、柱の陰で腕を組んでいる父に声をかけた。
父は、私の荷物の少なさに呆れつつも、どこか面白がっているようだ。
「ああ、裏口に用意させてある。紋章のない、地味な辻馬車風のものだ。これなら目立たずに王都を出られるだろう」
「さすがです、お父様! 話が早くて助かります!」
「だがな、メリーナ」
父が少しだけ声を潜める。
「本当にいいのか? 王家からの沙汰を待たずに動いて。もし、向こうが『話し合いたい』と言ってきたら……」
「だからこそ、逃げるのです」
私は力説した。
「話し合いになれば、向こうは情に訴えてくるか、権力を振りかざしてくるかの二択です。『国のために戻ってこい』とか『慰謝料をまけるから再教育係になれ』とか、ろくな提案をしてきません。断言できます」
「……経験則か?」
「十年の社畜……いえ、王妃教育の賜物です」
私はフン、と鼻を鳴らす。
「私が田舎に引っ込んでしまえば、手紙のやり取りだけで数日かかります。そのタイムラグがあれば、私はのらりくらりと交渉をかわし、既成事実としてスローライフを確立できるのです」
私の完璧なリスク管理能力に、父は感心したように頷いた。
「なるほど。逃げるが勝ち、というわけか」
「その通りです。私がいない王城がどうなるか、高みの見物といきましょう」
想像するだけで笑いが込み上げてくる。
明日には、リラ嬢が泣きつき、ジュリアン殿下がパニックになり、書類の山が雪崩を起こしていることだろう。
ざまあみろ、である。
「では、行ってまいります!」
私はマリーと父に別れを告げ、軽快なステップで裏口へと向かった。
ガチャリ。
裏口の扉を開けると、そこには手配通りの地味な馬車が停まっていた。
御者は、我が家の古株であるトムだ。
「お嬢様、準備は万端ですよ。一番早い馬を選んでおきました」
「ありがとう、トム! さあ、王都の北門から抜けて、アシュフォード領の最北端にある別荘へ向かって!」
「へい、合点承知!」
私はトランクを荷台に放り込み、自らもひらりと馬車に乗り込んだ。
座席のクッションに身を沈める。
(勝った……!)
勝利の二文字が脳裏に浮かぶ。
これで王都ともおさらばだ。
明日からは、朝日で目を覚まし、土をいじり、採れたての野菜を食べる生活。
夜は誰にも邪魔されず、静かに読書をして眠る。
そんな夢のような日々が、もう手の届くところにある。
「出してください!」
私の号令とともに、トムが鞭を振るった。
馬車が動き出す。
ガタゴトと車輪が回り、石畳を蹴る蹄の音が心地よいリズムを刻む。
さようなら、王都。
さようなら、元婚約者。
私は窓から流れる景色を眺めながら、湧き上がる高揚感を噛み締めていた。
馬車は路地を抜け、大通りを避けながら、北門へと続く街道を進んでいく。
あと十分。
あと十分もすれば、城壁の外に出られる。
そうすれば、もう誰も私を止めることはできない。
「ふふふ……あははは! 逃げ切った! 完全に私の勝利ね!」
誰もいない車内で、私は高らかに笑い声を上げた。
気分は最高潮だ。
思わず、第2話で披露したガッツポーズをもう一度決めたくなるほどに。
しかし。
神様というのは、どうしてこうも意地悪なのだろうか。
あるいは、私の日頃の行いが良すぎたせいで、試練を与えたがっているのだろうか。
北門が見えてきた、その時だった。
ヒヒィィィン!!
突然、馬がいななき、急ブレーキがかかったような衝撃が走った。
「きゃっ!?」
私は前の座席に放り出されそうになり、慌てて壁にしがみつく。
「な、何!? トム、どうしたの!?」
事故だろうか。
それとも、検問?
私は体勢を立て直し、小窓を開けて外の様子を伺った。
「トム! 一体何が……」
「お、お嬢様……! み、道が……!」
トムの震える声。
私は窓から顔を出して前方を見た。
そして、言葉を失った。
北門の直前。
そこには、漆黒の重装備に身を包んだ騎士団の一隊が、道路を完全に封鎖するように整列していたのだ。
その数、およそ五十名。
彼らの鎧には、王家の紋章ではなく――獰猛な獅子を描いた、ある公爵家の紋章が刻まれている。
「(嘘でしょ……?)」
その騎士団の中央。
一際巨大な黒馬に跨り、夕日を背に受けて立ちはだかる男が一人。
逆光で表情は見えないが、その圧倒的な威圧感だけで、誰だか分かってしまった。
黒髪。
冷徹なオーラ。
そして、まるで獲物を追い詰めた猛獣のように、静かにこちらを見据える青い瞳。
アレクセイ・ヴァン・ルーク公爵。
彼がゆっくりと右手を上げると、五十名の騎士が一斉に抜刀した。
シャリーンッ!!
金属音が響き渡り、トムが悲鳴を上げて馬車の隅に縮こまる。
「……ま、まさか」
私は血の気が引くのを感じた。
逃げ切ったと思ったのに。
あと少しで自由だったのに。
なぜ、彼がここにいる?
なぜ、私がこのルートを通ると分かった?
疑問が渦巻く中、黒馬が進み出て、私の乗る馬車のすぐ横で停止した。
コン、コン。
窓枠が、乗馬鞭の柄で軽く叩かれる。
私は恐る恐る、顔を上げた。
そこには、極上の、しかし絶対零度の微笑みを浮かべたアレクセイ公爵の顔があった。
「やあ、メリーナ嬢」
低く、甘く、そして逃げ場のない声。
「散歩にしては、随分と大掛かりだな?」
「……」
「まさかとは思うが、私に挨拶もなしに行こうとしたわけではあるまい?」
詰んだ。
私の頭の中で、スローライフの計画書が音を立てて崩れ落ちていく音が聞こえた。
3時間で荷造りをした結果。
出発してわずか15分で、私はラスボスに捕獲されてしまったのである。
私は公爵邸の玄関ホールで、仁王立ちしていた。
「よし。準備完了ね」
目の前には、トランクが一つ。
そう、たったの一つだ。
通常、公爵令嬢が長期の療養(という名の引きこもり)に出るとなれば、馬車三台分の荷物が動くのが常識である。
季節ごとのドレス、宝石、靴、愛用の家具、専属の料理人に使用人たち。
まるで民族大移動のような騒ぎになるのが普通だ。
しかし、私の足元にあるのは、旅行鞄一つと、手に持ったボストンバッグのみ。
「お、お嬢様……本当にこれだけでよろしいのですか?」
見送りに立ったメイドのマリーが、信じられないものを見るような目をしている。
「ドレスも、宝石箱も、まだお部屋に残っていますが……」
「いらないわ」
私は即答した。
「あんなコルセットで内臓を圧迫するようなドレス、田舎の畑仕事には邪魔なだけよ。それに、あの宝石類はすべて『元婚約者受け』を狙った趣味の悪いデザインばかりだし」
私はボストンバッグを軽く叩く。
「ここに入っているのは、動きやすい綿のワンピースと、農業の専門書、帳簿、そして最高級の紅茶の葉だけ。これさえあれば生きていけるわ」
「は、はあ……。さすがはお嬢様、潔いといいますか、何といいますか……」
マリーが引きつった笑みを浮かべる。
私の計画は完璧だった。
午前中に送りつけた「超高額請求書」。
あれが王城に届いたのは昼頃のはずだ。
王宮の事務官たちが度肝を抜き、財務大臣が泡を吹き、国王陛下が頭を抱えるまでのタイムラグを計算すると、王宮機能が麻痺している今こそが逃亡の好機。
返事が来る前に、物理的に距離を取ってしまえばこちらの勝ちだ。
「お父様、馬車の手配は?」
私は、柱の陰で腕を組んでいる父に声をかけた。
父は、私の荷物の少なさに呆れつつも、どこか面白がっているようだ。
「ああ、裏口に用意させてある。紋章のない、地味な辻馬車風のものだ。これなら目立たずに王都を出られるだろう」
「さすがです、お父様! 話が早くて助かります!」
「だがな、メリーナ」
父が少しだけ声を潜める。
「本当にいいのか? 王家からの沙汰を待たずに動いて。もし、向こうが『話し合いたい』と言ってきたら……」
「だからこそ、逃げるのです」
私は力説した。
「話し合いになれば、向こうは情に訴えてくるか、権力を振りかざしてくるかの二択です。『国のために戻ってこい』とか『慰謝料をまけるから再教育係になれ』とか、ろくな提案をしてきません。断言できます」
「……経験則か?」
「十年の社畜……いえ、王妃教育の賜物です」
私はフン、と鼻を鳴らす。
「私が田舎に引っ込んでしまえば、手紙のやり取りだけで数日かかります。そのタイムラグがあれば、私はのらりくらりと交渉をかわし、既成事実としてスローライフを確立できるのです」
私の完璧なリスク管理能力に、父は感心したように頷いた。
「なるほど。逃げるが勝ち、というわけか」
「その通りです。私がいない王城がどうなるか、高みの見物といきましょう」
想像するだけで笑いが込み上げてくる。
明日には、リラ嬢が泣きつき、ジュリアン殿下がパニックになり、書類の山が雪崩を起こしていることだろう。
ざまあみろ、である。
「では、行ってまいります!」
私はマリーと父に別れを告げ、軽快なステップで裏口へと向かった。
ガチャリ。
裏口の扉を開けると、そこには手配通りの地味な馬車が停まっていた。
御者は、我が家の古株であるトムだ。
「お嬢様、準備は万端ですよ。一番早い馬を選んでおきました」
「ありがとう、トム! さあ、王都の北門から抜けて、アシュフォード領の最北端にある別荘へ向かって!」
「へい、合点承知!」
私はトランクを荷台に放り込み、自らもひらりと馬車に乗り込んだ。
座席のクッションに身を沈める。
(勝った……!)
勝利の二文字が脳裏に浮かぶ。
これで王都ともおさらばだ。
明日からは、朝日で目を覚まし、土をいじり、採れたての野菜を食べる生活。
夜は誰にも邪魔されず、静かに読書をして眠る。
そんな夢のような日々が、もう手の届くところにある。
「出してください!」
私の号令とともに、トムが鞭を振るった。
馬車が動き出す。
ガタゴトと車輪が回り、石畳を蹴る蹄の音が心地よいリズムを刻む。
さようなら、王都。
さようなら、元婚約者。
私は窓から流れる景色を眺めながら、湧き上がる高揚感を噛み締めていた。
馬車は路地を抜け、大通りを避けながら、北門へと続く街道を進んでいく。
あと十分。
あと十分もすれば、城壁の外に出られる。
そうすれば、もう誰も私を止めることはできない。
「ふふふ……あははは! 逃げ切った! 完全に私の勝利ね!」
誰もいない車内で、私は高らかに笑い声を上げた。
気分は最高潮だ。
思わず、第2話で披露したガッツポーズをもう一度決めたくなるほどに。
しかし。
神様というのは、どうしてこうも意地悪なのだろうか。
あるいは、私の日頃の行いが良すぎたせいで、試練を与えたがっているのだろうか。
北門が見えてきた、その時だった。
ヒヒィィィン!!
突然、馬がいななき、急ブレーキがかかったような衝撃が走った。
「きゃっ!?」
私は前の座席に放り出されそうになり、慌てて壁にしがみつく。
「な、何!? トム、どうしたの!?」
事故だろうか。
それとも、検問?
私は体勢を立て直し、小窓を開けて外の様子を伺った。
「トム! 一体何が……」
「お、お嬢様……! み、道が……!」
トムの震える声。
私は窓から顔を出して前方を見た。
そして、言葉を失った。
北門の直前。
そこには、漆黒の重装備に身を包んだ騎士団の一隊が、道路を完全に封鎖するように整列していたのだ。
その数、およそ五十名。
彼らの鎧には、王家の紋章ではなく――獰猛な獅子を描いた、ある公爵家の紋章が刻まれている。
「(嘘でしょ……?)」
その騎士団の中央。
一際巨大な黒馬に跨り、夕日を背に受けて立ちはだかる男が一人。
逆光で表情は見えないが、その圧倒的な威圧感だけで、誰だか分かってしまった。
黒髪。
冷徹なオーラ。
そして、まるで獲物を追い詰めた猛獣のように、静かにこちらを見据える青い瞳。
アレクセイ・ヴァン・ルーク公爵。
彼がゆっくりと右手を上げると、五十名の騎士が一斉に抜刀した。
シャリーンッ!!
金属音が響き渡り、トムが悲鳴を上げて馬車の隅に縮こまる。
「……ま、まさか」
私は血の気が引くのを感じた。
逃げ切ったと思ったのに。
あと少しで自由だったのに。
なぜ、彼がここにいる?
なぜ、私がこのルートを通ると分かった?
疑問が渦巻く中、黒馬が進み出て、私の乗る馬車のすぐ横で停止した。
コン、コン。
窓枠が、乗馬鞭の柄で軽く叩かれる。
私は恐る恐る、顔を上げた。
そこには、極上の、しかし絶対零度の微笑みを浮かべたアレクセイ公爵の顔があった。
「やあ、メリーナ嬢」
低く、甘く、そして逃げ場のない声。
「散歩にしては、随分と大掛かりだな?」
「……」
「まさかとは思うが、私に挨拶もなしに行こうとしたわけではあるまい?」
詰んだ。
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