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11章 元自衛官、内乱に加担する

百七十二話

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「マスクウェル様、シミュレーションの程は如何でしょうか?」

 ヤクモが書斎で知識と情報の吸収、それとエカシとの話し合いに応じている間、プリドゥエンはマスクウェルを引き連れて可能な限り生の情報を収集しようとしていた。
 現在自分たちが居る町の図から、周囲の地形図、空や地からの”多くの可能性”を提示出きる様にしている最中であった。

「ちょっと待ってよ。人使いが荒いなあ……」
「私も貴方も、人では御座いませんよ」
「分かってるよ! もう、ブリティッシュジョークみたいな返しをしないでよね。ほら、出来たよ!」

 マスクウェルは以前ヤクモに貸し与えられた腕に装着するウェアラブル・デバイスで情報を処理していた。
 かつては化け物と揶揄されたモノだが、崩壊し、滅び、変わりきってしまった世界を前に全ての”当たり前だった知識”を更新しなければならなくなった。
 身体能力が優れているわけでもなく、元手が無ければ何も出来ない”知識の化け物”でしかない。
 いつまでも閉鎖された地下施設に居るのも馬鹿げていると出てきたが、マスクウェルの想像した世界よりも大分平和から遠かった。

「町中の倉庫は開けた場所にあるから、もし空からの襲撃を見逃したら被害を受けるね。それとこの雪雲のせいでずっと薄暗いから、空からの襲撃に対しては僕達は大分遅れを取ると思うよ。それと、ここら辺の水流と水脈を調べたけど、この町って下流に有るよね? 毒撒かれたら終わりだよね。それに町を守る壁の近くに井戸があるけどさ、あれも幾つか……少なくとも五つは封鎖しておかないとそっちからも汚染されるかもね」
「ふむふむ。しかし、その可能性は低いのではないでしょうかな?」
「残念だけど、今まで見てきた獣人たちの能力や可能性を考慮して、触れ幅を設定して計測したけど、狙って出来ない話じゃないからね。いくらこっちの町にも獣人が居るからといって、疲れもするし眠くもなる。夜目が利く個体もいればそうじゃない個体もいるわけだし、夜目が聞く固体が定点観測して、潜入や工作に長けた獣人を投入するという事も考えられるよね?」

 義務で毎年兵役に就いていたとはいえ予備役でしかないプリドゥエン。
 そんな彼の”楽観視”に対して、マスクウェルは容赦なくデータから可能性を叩きつけていく。
 元人間だったとはいえ、機械の身体になってから大分長い年月が経過している。
 故にプリドゥエンは変な所で”ここまでなら大丈夫”と思い込む節があった。
 可能性が低ければそもそも排除や除外して後手にしてしまう、後でリカバリーをすれば良いというものである。
 だが、そこはマスクウェルが潰して回る勢いであった。

「ダメだよ、オジさん。自分だけだったら良いけど、少しでも可能性があるのならやっておかないと、後で泣きを見るのは僕たちだよ? というか、僕なんだよ!? 概念的存在だから疲れないでしょ、お腹空かないでしょ、眠くならないでしょ、24時間働けますよねみたいなのはッ、断固! 拒否! ようやく落ち着けたんだから、その時間を少しでも引き延ばそうと努力してもバチは当たらないよね!!!」

 と、どこまでも自欲を前面に押し出した理由を展開する。
 そうなっても仕方がなく、地下施設を出てからずっと転々としてばかりだったからだ。
 ヤクモが抜けてからは方や疲れ知らずの機械人間、もう一人は戦闘に特化した獣人である。
 振り回され、引き回され、落ち着く暇など殆ど無い。
 ようやく得た安息の時を大事にしたがるのも仕方が無い。
 少なくとも義務も義理も無い上に、まだ交流を深めてすらいないのだから。
 
「兵糧や物資、武具の切れ目が部隊の落ち目ってのは歴史上国や局地レベルでよくある話だから、その可能性を潰す為だったらあのオっさんも納得するでしょ」
「しかし、その場合の混乱や新たな場所の確保、それと交渉などの手間はどうなりますかな?」
「それももう目処はつけてあるよ。倉庫に関しては商人の場所を間借り出来るようにして、消費や消耗が早くて無くなっても困りにくいものを変わりに仕入れて置くようにすれば良い。井戸に関しては水の保管を各個にやって貰うようにして、そのための入れ物とかはコッチで支援して出せば良いし、なんなら僕らが浄水器や濾過機とかの支援をしても良いからね。あとは……立て札かな。識字率がどうかは分からないけど、オっさんやエカシさんに一声かけて発令としてかけてもらえれば良いし。一歩ずつ、一手ずつやらないと」
「……警戒や監視をするとして、私が埋めるとしたらどこを充填すれば宜しいですかな」
「下町は潜伏されやすいかもしれないけど、長期化した場合のリスクは下町のほうが小さいよ。ご近所付き合いっていうやつジャパニーズシングがあるから、いきなり見知らぬ人が紛れ込めば気づくでしょ。それに、縄張り意識というのもあるだろうし、それを僕らは利用できる。だから巡回や定点警戒の視覚と死角をマッピングすると──可能性が高い場所はここと……こことここ、それとここだね」

 マスクウェルはプリドゥエンに連れまわされて、一通りの情報を得ている。
 壁の材質、厚み、通路。それらをひっくるめての壁の防御度。
 市街地の建物の配置、建物に使われている素材、裏道の用途とその混成率。それらをひっくるめての”メリット・デメリット”。
 可能性と情報から計算した確率の提示くらいなら戦いすら知らないマスクウェルにも出来る。
 なら、その素人目での判断をどこまで現実に突きつけられるかを判断するのはプリドゥエンの役割であった。

「しかし、そんなウェアラブル・デバイスを使いこなせるとは思いませんでした。言ってしまえば、軍用品をダウングレードして、制限をガチガチにかけた民用品だというのに」
「そんなの、OSをまっさらにして新しく入れちゃえば関係ないよ。ハッキング、プログラミング、クラッキング……何でもできるしね。必要が有ればオジさんにかかってるプロテクトとかも外せるけど、どう?」
「余り気が進みませんが、外したとして……どうなるのでしょうかな?」
「足からジェットが出て空が飛べるし、腕を飛ばしてロケットパンチやフックショットも出来るし、必要が有れば擬似興奮剤を投与して戦闘能力を上げたりとか、色々?」
「止めておきます。私はまだ、今しばらく人間の形に戻れた事を楽しんでおきたいので」
「とりあえず、今出来る事はこれで終わりかな。というか、役目果たしたよね? もう僕らは情報と行動に関して挙げたし」

 もう昼も過ぎて夕日になりつつある。
 遠くのお屋敷ではヤクモが書斎に閉じこもったままであり、後に説得される形で入浴と久しぶりの安眠を取るのだが、それは別の話である。
 ただ、ゾルが父親をぶん殴ってからまだ日にちが浅く、出来る事を出来る時にと急いだせいもあって働きづめであった。
 
「もう休んでゆっくりしたいよ~」
「──そうですね。一緒に居るとはいえ、どちらかと言えば非戦闘員だというのを失念しておりました。朝からつきあわせてしまい、申し訳ありません」
「そう思うのなら連れまわすのはやめてよね。と言うか、情報をもらえればこのデバイスで全部計算と演算するからさ」

 そう言いながらマスクウェルはデバイスの操作を止めた。
 得た情報と処理した情報、それらを他人に見せられるように纏めて整理すると画面の電源を切る。
 どれだけ頭が良くとも、それを証明するためには道具から機材までが必要となる。
 逆を言えば、ヤクモからデバイスを借りたのは最低限何も出来ないのを嫌がった結果とも言える。
 単純に、何も出来ない時は暇なので電子コミックだのゲームだのを遊ぶ為とも言えるのだが。

「では情報を転送して、と。戻りますか?」
「んと、何か食べてみたい。というか、まともな物を食べた事のほうが少ないし、別に誰かを食べなくても良いわけだし、味付けがされていて美味しいのなら何でも良いよ」
「ふむ……。少々お待ちを。この時間だと、マーガレット様が用意している夕餉を無駄にしない、余りお腹に溜まらないものが良いでしょう」
「関係ないよ。食べたら概念化するだけだし、そもそもお腹が空いたり餓え死ぬって概念が僕には無いもん」

 かつての人類が滅びを逃れようとして、狂気の実験と発明を繰り返していた場所があった。
 マスクウェルを名乗る彼女は、その発明の一つだった。
 汚染され、人が住めない大地をどうにかしたい、その為に知恵や頭脳が欲しいと願った。
 その願いは叶う事となった。
 ただし、人を食らう魔器として。
 食らった人の脳に存在する知識や情報、頭脳をかき集め一つの”モノ”とすることで、叶うのではないかと言う自滅の道具。
 結果、その地下施設は様々な不幸が重なり壊滅した。
 喰らう人も居なくなり、かといって封じられたままでは根底に存在した”研究。開発”すら出来ない。
 そうやって存在し続け、ついにヤクモが入ってきた事で彼女は外へと出ることになる。
 ただ、地上は既に新しい世界になっていたとは知らなかったようだが。

「そうですか。いや失礼、であれば”程々にしたほうが宜しいでしょう”と言わせて頂きます」
「なんで?」
「マスクウェル様が我々と違う事は分かりますが、それでも食事をすれば舌が、味覚が引っ張られる現象が御座います。時間や日を置かなければ正確な味わいが分からないですし、何よりも”楽しみ”をそう早めに費やす必要も無いでしょう」
「あ~、確かに。……逆に、同じ品を大量に食べるってのは?」
「それは宜しいのではないでしょうか。少なくとも満腹感を覚えたので食べられないと言う事にならないのであれば、幾らでも」
「じゃあ、ヤキトリとかクシカツってのが食べてみたいかな! あの地球の裏っかわにある小さいけど有名な国のものが気になるんだよね!」
「……ちなみにお聞きしますが、お手持ちは?」
「無いよ。あるわけ無いじゃん。地下から這い出たときの服しかないし、皆みたいな道具とか装備も無いんだもん。部屋に置いて来るしか無いじゃん、そもそも朝いきなり連れ出されたんだし」
「──では、お仕事を手伝って頂いたと言う事で、私の奢りと言うのはどうでしょうか? あぁ、食べたと言うのは勿論皆様には内緒で」
「やった!」

 プリドゥエンはマスクウェルを連れて、仕事終わりに少しばかりの寄り道をする。
 それは別に現状を無視した行動ではなかった。
 彼とてその日できる事をし、その上でマスクウェルを気遣わねばならないと立場上で理解していたからだ。
 それと、彼とて”味覚への刺激”が欲しかったところである。
 マスクウェルをダシにして自分もつまみ食いに参加すると言う、少しばかりの茶目っ気を発揮していた。

「ふむ、ツアル皇国に行く事があればもっと日本らしいものがあるかもしれません。日本に思い入れでもあるのですかな?」
「ん? ま~ね~。最後に食べた人が日本人だったんだ。その人が食事を娯楽にしてたようなフードファイターだったから、食べた経験は無いのにやたら美味しいって言う知識と情報だけがあってヤキモキしてたんだ」
「それはそれは……匂いだけを嗅がされて、味を想像はできても食べさせては貰えないのと同じ位の拷問ですね」
「そうだよ! まあ、自我が無いころはそれでも良かったけど、食べるものが無くなって来て、沢山の人格の海を一つに纏め上げてると、やる事がなさ過ぎて死にそうだったよ。僕は皆みたいに強くないからね、扉一つこじ開けられなければ、開閉用のスイッチが反対側についてたらハッキングもピッキングも出来ないからね」

 マスクウェルはそう言ってのけた。
 事実、様々な分野の科学者や研究者を貪ってきた事もあり、そういったことも可能なのだろう。
 ただし、文字通り前提条件さえ満たせばの話だ。
 鍵穴の無い場所からピッキングが出来るわけもなく、コンソールやモニターを触れられなかったりデバイス接続が出来なかったりすればただの一般人となんら変わらないのだ。
 
「さて、出来るだけ素早く、それで且つ丁寧に行きましょう。間食してから来たとなると、わざわざ手間をかけてくれているマーガレット様に申し訳が立ちませんからね」

 プリドゥエンとマスクウェルはそのまま、いくらか日常から乖離しつつある市場へと足を運ぶ。
 争いになると理解していて、警戒や巡回が普段よりも強くなっているからだ。
 それでも、普段のように過ごそうとしている人々……獣人たちが居る。
 二人は目当ての食べ物を買い、戻るまでにたらふく食べつくすとそ知らぬ顔をして戻る。
 誤魔化せるだろうと、大丈夫だろうと……そう踏んだのだ。

 だが、そうはならなかった。

「グルル……」
「わ、ワンちゃん殿?」
「ひっ──」

 屋敷まで戻るが、その途中で中庭に居たワンちゃんと遭遇してしまう。
 そして、当然だが口元を拭ったりした所で獣である相手には通用しないごまかしだった。
 
「どうしたの? ワンちゃん──」
「あぁ、いや。その……ただいま戻りました、マーガレット様」
「た、ただいま~!」

 厨房から出てきたマーガレットは、借りた割烹着で手を拭いながら出てくる。
 彼女はそろそろ帰ってくるであろう二人の分の食事を、個人で時間をずらして作っていたところであった。
 ワンちゃんが吼えた事で、何があったのだろうと出てきたところであり、ちょうどその二人と遭遇した形になる。

「ガウ」
「え? お二人が?」
「ニャン」

 ワンちゃんの言葉は二人には分からない。
 ただ抱きかかえられるくらい幼く小さいころから一緒だったマーガレットにしか、ワンちゃんの言葉は理解できないようであった。

「プリドゥエン様、マスクウェルさん。途中で何か食べられたのですか?」
「あぁ、いや。その……ええ、まあ」
「やっぱり。ワンちゃんが食べ物の匂いが口からすると教えてくれましたよ。ダメですよ? 食事が入らなくなってしまいますから」
「僕らはそもそも、満腹とは関係無──」
「だとしても、他の方はそう思わないかもしれません。外で食べるなとは言いませんが、その場合は一言ください」
「一言……入れたらどうしてくれるの?」
「量を調整できますし、外で食べるのであれば作らなくて済みますから。外に買いに行くの、少し楽できちゃいます」

 マスクウェルはてっきり怒られるものかと、あるいは何かしらの罰でももらうものかと思っていたが、そうではないようで胸をなでおろした。
 魔法が使えると言うだけでもマスクウェルにとって脅威だが、それ以前にワンちゃんをけしかけられてしまってはただの狩りになってしまう。
 その場合、何も抵抗する手段を持たない彼女は即座に組み付かれておしまいである。
 周囲の人物が人間離れした連中が多すぎるだけなのだが。

「失礼しました、以後そのように……。ところで、ご主人様は如何されてますか?」
「今入浴している所です。白湯だけでもと思いまして」
「ご主人様の件で、大変お世話になっております」
「いえ。私が好きでやってるだけですから」

 とマーガレットは答えるが、やっている事はかなりでかい。
 暇な時間が出来れば部屋に篭りきりだったヤクモの様子を見に行き、夜は何度も声をかけようとして遅くまで起きては部屋の傍に居たりしているのをプリドゥエンは知っていた。
 部屋に篭りきって自身に無い知識や情報を取り込むのもきついだろうが、廊下で声をかけるかかけまいかと佇むのも辛いだろうと考えている。

「それに、皆さんがそれぞれに今までとは違う事をしてるんです。だから、私だけが大変と言う事は無いと思います」
「──でしたな。トウカ様やゾル様も兵の教練に出向いていますし、今まで前で踏ん張っていたご主人様は指揮官の真似事を始められた。私も、予備役での知識をマスクウェル様にダメ出しされてばかりでした。しかし、学びこそすれども、慣れてはいけないと思います。あくまでトウカ様をお救いするために、一時的な出来事ですから」
「はい、そう有ってほしいと……思ってます」

 そういってマーガレットは、少しばかり力の無い微笑を浮かべた。
 それをプリドゥエンは疲労からくるものと認識したが、それは違う。
 彼女は予知夢とも未来視とも言える能力が有り、自分が 死ぬと言う確定した未来を知る事が出来る。
 その道筋は曖昧ではあるが、彼女自身がどうであっても中心人物であるヤクモが戦いから逃れられないのを知っている。
 過程は揺らぎ続け、時には選択や行動を間違えた未来すら見せもする。
 たとえヤクモがどうあろうと、何を望み何を願おうとも──戦いは彼を離しはしないと。

「さて、お二人の夕餉は直ぐに用意できますので少しだけ待ってくださいね」
「有難うございます」
「美味しいご飯の時間だ!」

 そして二人はゆっくりと埃を払うと屋敷へと上がる。
 その途中でテレサが現れて「やっぱり寝落ちしてたよ」という報告をするが、それが誰の事かは考えずとも分かる話であった。




 ~ ☆ ~


「ま、まいりましたぁ!!!」
「え~……」

 ヤクモが書斎で引きこもっている間、プリドゥエン達が町を探索している間、トウカとゾルは兵士として所属している獣人たちの相手をしていた。
 ツアル皇国との付き合いが深く長いこの町は、個々人ゝや傭兵が多い獣人に兵士と言う集団意識を持つ職務を与える事に成功していた。
 人間よりも強い兵士が集団意識を持ち、連携や足並みを揃える事が出来るという点で、かの国は多いに頼りにしていた。
 個人の武ではなく、集団での強さを意識した行動。
 それは戦いにおいて必要なものなのだろうが、トウカやゾルがそれぞれ一個小隊を相手にしても物足りないものでしかなかった。

 トウカもゾルも、それぞれに非殺傷に気を遣いながら相対したはずだが、既に数十の獣人達が戦闘可能な状態ではなくなっている。
 トウカはそれに対して不満気な声を漏らした。
 メイドとしての仕事……彼女にとっての”戦場”を失い、行き場の無い活力の放出先が獣人としての狩猟や戦闘へと戻るのは仕方の無い話である。
 一日を精一杯生きる、その為に忙しさに埋もれていた分のエネルギーを出そうとしたが、戦いと言う単純化された場所において、同じほどのやりがいを感じさせる前に終わってしまった。

「チッ、弊害ッテ奴だナ……。確かニ足並みが揃ってル間は厄介だガ、崩れると個々の力の差が出てダメだナ。それに、役割分担してても、その分担した連中が居なくなったら能力も下がる、カ」
「飛び込むとダメだよね~」
「それはオマエが守る相手だからダロ。傷つけるのが怖いのサ」
「ちぇ~……」

 トウカが退屈な理由の一つとして、前王の忘れ形見である姫と言う身分がある。
 今回簒奪した今王を排除するために戦っているのだから、必要とはいえ訓練で姫に武器を向ける事や傷つけるのを恐れると言うのもある。
 ただ、トウカの言ったこともあながち間違った事ではなく、足並みをそろえている分連携を崩されるように突撃を受けるとまごついてしまうと言う弱点もあった。
 前衛が防波堤としての役割をして、トウカを受け持って破砕されたとしても、その穴を埋めるのが間に合っていないと言うことだ。
 悲しい事に、エカシがその場に居ない事で臨機応変に指示を出す者がいないという要素もあったのだが。

「ハァ……。わり~、付き合わせて。もう大分やったし、解散にしようヤ」
「はっ」

 兵達を解散させた後、ゾルは傍にあった樽に腰掛けて自分達が教練に使っていた場所を眺めながら思い返す。
 地面に出来た足跡や攻撃の痕跡、それから記憶を頼りに今回の訓練で学び、理解すべき点を思い起こそうとする。
 
「ね~」

 しかし、腕を組み思考の海にもぐろうとしていたゾルを吊り上げたのはトウカだった。
 その様子は暇でたまらないからと親兄弟を揺さぶる子供と同じである。
 ゾルは少しばかり無視したが、止まらない揺さぶりに煩わしさを感じて目を開けた。
 当然だが、彼にとって愛おしくも守るべき相手がそこに居る。

「……どうしタ?」
「手合わせしようよ~」
「トウカ。オレは今、連中の動きをアイツに報告するためニ纏めてるところダ。素振りじゃダメなのカ?」
「素振りじゃ、手ごたえ無いし、面白くないよ……」
「──だとしても、少しは自覚を持テ。これから連中は、お前の為に死ぬんだゾ?」
「分かってはいるけど、巻き込んだのはゾルくんだし。私も望んでこうなった訳じゃないから、自覚とか言われても」

 ゾルの言葉に対して、トウカのやる気はすこぶる削られる。
 そもそも、トウカは前王の娘であった頃の記憶が無くなっている。
 それは両親の死後、戦闘奴隷として生きるか死ぬかの日々に投じられていた影響もあり、実感が無いのだ。
 学園を出るまではメイドの長として生徒達の住まう寮の管理や、それらの作業に従事するメイドの面倒を見るのが仕事だった。
 いきなりむさくるしい連中が押しかけてきて、その連中たちとかつての両親が治めていた国を取り戻すと言われても理解しがたいのも仕方が無かった。

「……む~」

 不満そうな声をあげるトウカに対して、ゾルはゾルで焦っていた。
 旗頭になったのだからそもそも前線に出すわけには行かない、少なくとも安全な場所にいられると……そう思っていた。
 だが、目の前の記憶無き幼馴染は前線で今までのように、傭兵のように戦いたがっている。
 それはどうしても避けたいところだった。
 個人としても、男としても、雄としても。

「お疲れ様です、ゾル様、トウカさん。お茶は如何ですか?」

 そんな煩雑とした思考を互いに一度打ち切るように、マーガレットがやってきた。
 割烹着を着て、お盆にお茶とちょっとしたお菓子を載せている。
 腕には手ぬぐいもかけており、それが二人の汗を拭くためにと用意されたものなのは一目で分かる。

「わ~、有難うマーちゃん」
「わるいナ」
「いいえ、お二人とも忙しそうでしたから。良い具合に用意が出来てよかったです」

 二人はマーガレットに感謝しながら、それぞれお茶と甘味に口をつける。
 本来であれば季節はずれのような水羊羹だが、戦闘訓練をした二人にとってはその冷たさがお茶の熱さと相まって美味しく感じられた。

 埃や汗、本能と熱気を拭うように手ぬぐいで顔や首周りを拭く。
 そうして体温の低下を妨げるように厚く皮膚を覆っていた汗が去ると、冬の寒気が肌寒さを感じさせる。

「……キョーダイはどうしてる?」
「この後様子を見に行こうと思ってますが、たぶん……まだ」
「──ご苦労なコッタ。何日目だ?」
「もう三日は篭られてます。少しでも、多くを理解して裏役に徹したいと」
「裏役、ね」

 ゾルは複雑な心持になる。
 それはエカシ経由で組合等へ、組合から他の市町村へと流れていく檄の文面などを思い出させるからだ。
 その内容には、傍にいるトウカの事が書かれている。
 あろう事か、ゾルの子分であった連中がトウカにした事にまで触れ、その罪を現王であるゾルの父親に擦り付けた。
 自分の失態を衆目に触れさせ、彼女の恥部を公開し、なんら関係の無い父親に全てを括り付ける。
 それを知った時、ゾルはとても嫌な気持ちにさせられた。
 闘技場やそれまでの印象や認識が、崩れ落ちて歪んでいくのを感じたからだ。
 
 ──ケツまくって投げ出すと、諦めると言うのなら最初からやるなよ──
           ──トウカを守るために、俺は出来る事をやる。たとえ謗りを受けても構わない──
      ──俺は、トウカを生かすために戦う──

 だが、その汚いやり口を選択した男は、汚れきりながらもなお純粋だった。
 それはツアル皇国の人間に似ていて、殉じていると理解して、ゾルは閉口するしかない。
 それでも嫌いきれなかったのは、侮蔑出来なかったのは愚直だからだ。
 ただの性格が悪い奴ではなく、何かを得るためには犠牲を強いなきゃいけないと理解している奴だと理解しているからだ。
 皆の為に自分を差し出したように、今度はトウカの為に汚名を甘んじて受けると。
 効果的で、真実を知っているゾルが口を閉ざしていればそれは大衆にとっての真実になる。

 他にも、こちらの勢力名義で文を出したが、そのおかげで敵が攻勢に出てきていないのかもしれないとヤクモは言った。
 内容はゾルの事に触れた、事実上の脅しであった。
 ゾルの安全を、親バカを盾にした猶予期間の確保。
 自分自身がまさかダシに使われるとは思わず、それすら含めて苦々しく思ってはいるのだが、現状を打開するための知恵は一つでも多く欲しいところであった。
 
「……嬢ちゃん、ああいうヤツは少し強引にでも行った方が良いゼ? じゃないと、明日も、明後日も、明々後日も……あの部屋の中で必要だからッテ篭るだろうからナ」
「ですが、それだとお邪魔してしまうのではないでしょうか……? 私はお二人のように戦いの知識は無いですし、ヤクモ様のように色々な知識や考えが出来ないですし」
「だとしても、根っこは同じヒトだろ? 疲れるし、腹も減る。眠くもなりゃ、嫌気も差す。ああいうバカは途中で誰かが止めてやらネーと、自分が焦げ付いてるのに気がつきゃしネーのさ」
「なら──」
「あぁ、ダメだ。オレたちは、アイツと同じ領域に住んでる。理解できちまうから止められネーのさ。必要だから、そうしないといけないから、少しでも手にしたいから……。だが、嬢ちゃんはその領域の外の考えを持ってる。だから、アイツも言う事を聞く」
「──……、」
「それに、そういうときに声をかけてやる方が”思いやってる”ッテ事じゃネーの? 少しは自分の考えをぶつけても良いと思うンだよナ」

 ゾルはマーガレットに対して、自分には出来ない事を彼女にやらせようとした。
 実際のところ、気に入る気に入らないは別にしても裏方に徹すると言ったヤクモのしている事は必要な事だった。
 特に秀でた知識を有しているわけでもない、特別な技術を有しているわけでもない。
 だが、その”弱者の考え”が、今まで皆の背中を押してくれたのは事実であった。
 弱いから考える、自他を分析し、理解し、相手の短所に己の長所をねじ込もうとする。
 その為に相手の意識をそらし、或いは後ろを向かせる事も厭わないし、己が回りこむ事も躊躇無く行う。
 プリドゥエンたちに町の見回りをさせ、兵士の実力や質を知っておきたいとゾルとトウカに手合わせと訓練を頼み、テレサに組合を利用した行動を頼んだのはヤクモの考えであった。
 
 しかし、ゾルの見込みでは既に疲弊が色濃い。
 風呂に入っていないと言う理由もあるが、焦りと倦怠の入り混じった”臭い”を会った時に嗅いでいる。
 弱者や敗北者の目線で物事を考えてくれるのは弱みを消す分には良いが、弱者や敗北者に成り下がられても困るのだ。

「……有難うございます、ゾル様。お二人の食事の用意を済ませたら、休むようにお話してみようと思います」
「アァ、ありがとナ。しっかし、嬢チャンは確か良いトコの娘だと聞いたが、何で丁寧に話すんだ? 育ちは良いのに腰が低くて、痒くて仕方がネェ」
「学園では、余り優秀では無かったですから」
「アァ……」

 それでなんとなく察し、ゾルは目を泳がせた。
 ツアル皇国の気の良い連中と付き合ってばかりだったために、他国の子供がどうするかなんて埒外だったのである。
 誤魔化すようにお茶を飲み終えると「うまかっタ」と礼を言う。

「そろそろ湯船の用意も出来たと思いますので、入られてはどうでしょう?」
「そうだな……そうすッカ」
「だね、さんせ~い」
「では、部屋のほうにお食事は置いておきますね」

 マーガレットは片付けると、そのまま一礼してから去っていく。
 その所作や気遣い、物腰などをゾルは見送ってから小さく口笛を鳴らす。

「……ダメだな、ありゃ。ダメな男に引っかかる系の子かも知れネェな」
「ダイちゃんはダメじゃないよ。ただボコボコしてるだけだよ」
「ン?」
「学園にいたときもそうだったけど、やる時とやらない時で落差が酷いんだ~って、ミーちゃん……。仕えてた主人の子にしょっちゅう呆れられてたし。やる時はやりすぎるし、やらない時はやらなさ過ぎるだけで」
「ソレって両極端って言わネェか?」
「ん~、かも!」

 ゾルは少しばかりため息を吐いた。
 噂や伝聞の”英雄譚”では、常に最前線で剣を振るうお話が多かった。
 しかし今では書斎に篭り、全く逆の立場を示している。
 それでもいる場所が違うと言うだけで、戦い方が違うだけでしかない。
 前線で武器を振るうのも戦いではあるが、後方で物資の調達から運搬、管理をするのも戦いだ。
 その輸送や人員の管理、訓練もまた戦いであり、今は専らそちらをやっていると言うだけでしかない。
 必要だからとかかりきりになると、休息や時間を出来る限り削っている。
 逆に何も無ければ、起き抜けに、或いはまだ昼間だと言うのに酒を飲む有様だ。
 中間が、良くも悪くも存在しない。
 徹底しきった0と1を往復するだけの思考は、果たして正しいのだろうかと考えないでもない。

 さて、二人が世話になっているエカシの屋敷は大きな浴場がある。
 男女の浴室が一枚の壁で隔てられてはいるものの、その上部は蒸気や湯気の対策で大きく開かれている。
 覗こうと思えば覗ける上に、乗り越えれば行き来さえ出来る。
 ただ、ゾルはトウカと話をしながら来てしまった事と、暖簾を見なかったことが災いした。
 先に浴場に入りながら、トウカがなんら隠さずに浴場に入ってきた所で慌ててしまう。
 しかし、当の本人はまったく意識していないので、ゾルは努めて意識しないようにした。

「あ~、いいお湯だな~……」
「そうカ?」
「湯船に漬かるのは……大昔ぶりかなぁ。小さかった頃、金属の樽だとか、大きな桶みたいなのにお湯を張って入ったことがあったかな~、って感じ。さすがに今じゃ小さくて入れないけど、気持ち良いんだよね~」
「……世話にナッタ奴ってのは、良い人だったのカ」
「だよ。読み書きとか、色々な人がいるからどう振舞えば良いかとか、耳とか尻尾とかは隠したほうがいいよ~とか、お金とか、お勉強とか……色々教えてくれた。うん、色々……。お父さんみたいな、そんな人だったよ」

 ゾルはトウカの実の両親を知っているが、トウカは目の前で殺められた上に戦奴として売り飛ばされていた。
 毎日知った顔が消えていき、そして新しく入ってくる。
 そうやって殺し、殺される世界に数年どっぷりつかった結果、昔の事に蓋をした。
 それが良いか悪いかは別としても、忘れ去られている両親を想うとゾルは閉口するしかない。
 ここで何を言おうとも、彼女は覚えていないのだから。

「なんで出て来ちまったんダ?」
「んと、戦いが起きてね? 学園の生徒さんを守ろうとしたら、久しぶりに死にそうになっちゃって。それで……ちょっと、暴走しちゃった。それを見られたから、居られないかなって」
「ハッ、馬鹿げてる……」
「けど、一人じゃなかったからここまで来られた。あの時、勢いで飛び出してきたからお金も無かったし、次何しようかな~ってのも考えてなかったから。で、ダイちゃんも一人で歩いてて……一緒になった」
「──……、」
「それからプリちゃんが起きて、ちっちゃいマーちゃんが出てきて……。マーちゃんとワンちゃんが来て、ゾルくんも来て。不思議だよね? 私もダイちゃんも出て行かなきゃいけない人なのに、今の私たちの周りには大勢の人が居てくれる。幸せ者だよ、私は」
「──ソリャ、頑張ってるからな。それに、素直だ」
「そうかな~?」
「トウカも……それに、あのキョーダイも。──そうか、真っ直ぐだし、大体正直だからな。だから、人は集まるんだとオレは思う」

 トウカに向けた言葉が勘違いされていて、けれども否定することではないかとゾルは肯定した。
 だが、肯定したらしたで、なぜ自分がヤクモを嫌いきれないのか理解できた。
 今では騙したり搦め手を使い出してはいるが、その行動や主張の根源は隠されないまま表に出ているからだ。
 仲間のため、誰かのために頑張る。
 そこに種族の壁は無く、老若男女の差別もしない。
 共に飯を食らい、酒を飲み、笑い、楽しみ、そして眠りにつく。
 偽らずに接し、明け透けに語り、出来る限り皆と居るときは努めて明るく振舞う。
 そこに立場や力量の差は無く、ゾルにとって──対等な関係における心地よさを、その時認識させた。

「マ、色々と一人で抱えてるのは良かぁネェが、それ以外では良い奴だってのは認めるサ」
「ダイちゃんはね~、良い人だよ~? お仕事とか、ただ受けるだけじゃだめだ~って、色々考えてくれたし。自分も大変なのに、お金とかの面倒も見てくれたしね」
「──けど、何か意味があったんじゃネェか?」
「意味?」
「自棄になって、オンナを欲しがったとか」
「や~、あれは……そういう顔じゃ無かったよ」

 トウカの脳裏には、あの都市を離れる時に彼が見せた顔を覚えている。

 ── 一緒に、行くか? ──

 そう言って誘いをかけた時、どんな表情をしていたか。
 それは英雄だとか、あるいは化け物だとか……そういう噂とはかけ離れた顔だったのを彼女は見ている。
 すっ呆けた顔でも、頼もしい顔でも無い。
 ゴクリと、彼は唾を飲んでしまうくらいに緊張していた。
 寒さとは違う理由で震える唇、怯えるようにに顰められた眉、そしてその瞳は揺れていて──。
 一緒に行かないかと問いながらも、一緒に来て欲しいと……顔が、そう言っていたからトウカはついて行く事にしたのだ。
 
 ── 一人じゃ何をして良いか分からなくても、二人ならなんとかなるさ ──

 それはお金もアテも無くて立ち尽くしていた彼女に向けられた言葉ではないと。
 お金もあって、色々出来るのに”何も出来ない自分”に向けた言葉だと、表情と声の色から読み取った。
 
「辛くて、悲しくて、一人は嫌だけど断られるのが怖くて……。泣きたいのに、それをすごい我慢してる顔だったよ」
「──……、」

 トウカは、そんな顔と声をしながらも気丈に振舞おうとしたヤクモに、いくらか自分を重ねた。
 頑張ったけどダメで、誰かに裏切られたような切なさをお互いに知ったばかりで。
 けれども、二人にとって大きな差があったとすれば、どうしようもないくらいに打ちのめされているのがヤクモの方だったというくらいだ。
 その泣きそうな顔が、初めて厨房に入った時の顔と似ていた。

 ── 何で、そんなに優しくしてくれるんですか? ──

 寒空の下、井戸水で身体を洗っていた時。
 厨房に引き入れられてお湯を分けてもらった時。
 あの時と同じような、少し泣きそうな顔だった。
 分かるけど理解できなくて、嬉しいけど怖くて、有難いけど受け入れるのに躊躇していて。
 
「自分が誰かに何かをするのには慣れてても、誰かに何かをしてもらうのに慣れてない子供みたいだった」
「──そうかヨ」
「にゃ?」

 しかし、ゾルは聞いてて面白くなくなってきた。
 それは男としての感情で、自分が好いた相手が別の男を好ましく言っているのを聞かされ、面白いわけが無い。
 それが大分昔に死んだと思っていた、それでも忘れることが出来なかった相手からのものだ。
 色恋沙汰に疎いトウカには、なぜ突如として不機嫌そうな声を出すのかが理解できない。

「どしたの?」
「なん……なんでもネェよ!」

 この場で少しばかり色々言ってやろうかと思ったゾルだが、それは”負け犬”を連想させるのでやめる。
 そもそも、彼女の口から”そういった色合いを含んだ言い回し”が聞けていないのだ。
 一方的に不愉快になり、彼女が見聞きし感じたものを下げる行いは”ダサイ”として踏みとどまった。
 しかし、ゾルもそう言われてしまうと”それが魅力なのかもしれない”と思えてきてしまう。
 完璧すぎず、かといって何も出来なさ過ぎず。
 出来る事が多い分、ある種の欠点として見えてしまう。
 それが”醜く見える”と言うよりは”見てなきゃダメだな”と思わせる程度には、愛嬌に思えた。

 たとえ、そのように出来上がっていたとしても。

「──トウカ、明日は試したいことがあるけど良いカ?」
「ん? な~に?」
「キョーダイが任せると言ったんダ、部隊の訓練をもう少し頑張って違うことをしてみたいだけサ」

 少しは見返してやりたい、そしてそれで助かると言うのならそれで良い。
 結果が出て、それが良い方向に転がるのなら酒の一杯や二杯くらいは奢らせてやろうとゾルは考える。
 とりあえずやっている、必要だからやっているのではなく。
 少しくらい、ヤクモを見返し、トウカに認めさせたいがために。

 ゾルは拳を握ると思い切り立ち上がる。
 お湯が勢い良く身体から滴り落ち、雫をたらした。
 少なくとも目的が、目標が出来たのだから、そのためには最低でもどれくらい高みを目指さなきゃいけないのか分かってきた。
 遠くにいる敵よりも、近くにいる仲間にまず認めさせると。

「おし、ちょっくらやる気出たゼ!」
「ふ~ん。けどゾルくん、ひとついいかな?」
「アン?」
「前くらい隠したほうがいいと思うよ」
「お前に言われたかァネェ!!!」
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