愛されていたなんて思いもしませんでした

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「僕たちが断頭台に登るより先の未来は見ないのか?」

「見ませんね。私が見られるのは19歳までの未来だけです」

 アクセルは私たちの死後の話が聞きたいのだろう。その先を私が知るはずもない。
 物語はそこで終わっているのだから、私達を断罪した人間はどんな未来を迎えているのか、想像くらいしかできない。

「なるほど。それなら、夢とは全く違う道を進んでいると思うが、それでも夢は変わらないのか?」

 アクセルの質問に「そうですね」と、答える。
 私が変えたせいで未来は変わっているかもしれないが、何が起きるかなんてわからない。
 だから、断頭台に登る未来しか見えない。と、言い続けるしかない。

「未来がどうなるかなんてわかりません。断頭台に登らない現実を経験しない限り。ずっと同じ夢を見続けるのでしょう」

「協力するよ。僕も死にたくないし、コリンダを死なせるわけにはいかない」

 アクセルはすんなりと私の話を受け入れてくれた。

「誓約書を書きましょう。私が突然婚約解消したくない。と、言うかもしれないと不安でしょう?」

「わかったよ」

「コリンダさんにもちゃんと説明してくださいね。とても不安でしょうから。誓約書を見せても大丈夫ですよ」

 本では壮絶な人生を送ったアクセルには、愛する人と共に歩んで欲しい。私はそう願っている。

「……もしも、互いに婚約を解消したくなくなった場合はどうする?」

 アクセルは絶対にありえないことを聞いてきた。
 私はそれがおかしくて思わず笑ってしまった。

「利害関係が一致して婚約を結んでいるんですよ。そんな事、絶対に起こりません」

 同盟を結んでいるような物だ。友愛は芽生えたとしても、男女の愛情なんて絶対に芽生えないと私は言い切れる。
 それに、アクセルがどれほどコリンダを愛しているのか、私は本でよく知っている。
 入り込む余地などない。

「そうだな」

 アクセルも「変なことを聞いてすまない」と、それ以上は何も言わなかった。

「未来を変えて、僕たちが断頭台に登らなかったとしたら、その先の未来は見えるのか?」

 アクセルが気になっている事なのだろう。
 未来を知っている事は利用価値がある。
 しかし、私は誰からも利用なんてされたくはない。

「わかりません。ただ、見えないとしたら、私はその歳に別の理由で死んでいるのでしょうね」

 私は、19歳で死ぬ予定だ。

 正確に言えば、この国からいなくなり別の国で生きていくつもりだった。
 普通なら無理なことでも、両親に頼めば簡単にできることだ。
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