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「この色がいいかな」
「こっちかな……?」
マネキンになりきってくれている柏木の首もとに、ネクタイとピンを当てながら私は首を傾けた。
柏木は何度もネクタイを当てられても嫌がる様子もなく笑顔で応じてくれて本当に気が楽だ。
「あ、これにするわ!」
色白の柴多の肌に合いそうなグレーの小さなピンにした。
柴多は濃い色のネクタイを好んで着けているし、きっと似合うだろう。
店員に声をかけてネクタイを綺麗に包んでもらう。
商品を受け取るとなんだか力が抜けたような気がした。
「今日は本当にありがとう」
店を出て私は柏木にお礼を言いながら軽く頭を下げる。
「力になれて良かったです」
柏木は人の良さそうな笑顔を向けて私の肩をポンポンと叩いた。
「お礼なんだけど、今日は奢るから」
「女性に奢って貰うのって気が引けるというか、せめて割り勘にしませんか?食べる量とか気にしちゃうんで、そうしてもらえると嬉しいんですけど」
年下でも男の人ってこういう申し出は、あまり受け入れられないものなのだろうか。柏木に申し訳なさそうに断られた。
食べる量を気にすると言われたら、奢るとは強く言えなかった。
「そう言うなら、そうしようかしら。出来れば個室じゃないところだと助かるわ」
個室の居酒屋はどうしてもいい思い出がなくて、それだけは譲れない。
「わかりました」
柏木は不思議そうな顔をしたが了承してくれた。
「こういう時ってお疲れ様って言うの?乾杯って言うの?どっちなんだろう?」
居酒屋に入ってノンアルコールのカクテルの入ったグラスを持ち私は乾杯の言葉に困り呟く。
「じゃあ、乾杯で」
柏木はおずおずとした様子で提案する。
「はい。じゃあ、乾杯」
私は言うなり柏木のグラスに自分のグラスをちょんと当てる仕草をする。
「え、早くないですか?」
柏木は私の早い行動に少しだけ驚きながら目を瞬きした。
「そんな事ないよ。ねえ、飲もうよ」
言うなり私はグラスに入ったノンアルコールのカクテルを飲むと、柏木も慌てたようにビールを飲み始めた。
「今日は本当にありがとうね」
今日のために予定を空けてくれた柏木には感謝だ。
本当に助かった。実際に誰かにネクタイなどを当てないとイメージがつかない。
あの落ち着いた色なら柴多にも似合うだろう。
「凛子さんと過ごせて楽しかったですよ」
柏木は私のお礼に気にした様子もなくにっこりと笑った。
まるで本当にそう思っているかのような言葉。それを、少しだけ信じてしまいそうになってしまう。
私は本当に単純だ。だけど、柏木には色々な面で感謝しているし、親しみを持てるようになっていた。
「私も楽しかった。こういう所で会うと会社とはまた印象が違うものよね」
今日は柏木が素になっているところを何度か見た。
敬語を忘れていたり、私としては親しくなった気がして嬉しかった。
柏木が素になるのはお酒が入った時だ。初めて彼が酔ったのを見たときは強烈だった。
人はあんなに変われるのかと、一瞬だけ恐怖した。今思い出しても恐ろしい。
「そんなに別人ですか?」
柏木は少しだけ照れたようにおしぼりで額を押さえた。
「別人というか思っていた以上に話しやすかったかな」
もっと早く友人付き合いをしていれば良かったなと少しだけ後悔していた。
上司と部下という関係があるので友人になるのは難しいかも知れないけれど。
「ふ~ん」
少しだけ酔いが回ってきたのか柏木はトロリとした瞳で気のない返事をした。
「凛子さんはいつも近寄りがたいけど、ピリッとした空気があまりないから、かなり話しやすいかったです」
仕事ではあまり悪い感情を出さないようにしていたけれど、それでも、冷たい印象を持たれていたようだ。
「そんなに?」
「ええ、あ、でも。凛子さんは自分が思ってる以上に色々な人に好かれてますよ」
柏木はとても意外な事を言い出す。
どちらかというと私は取っつきにくい方だし、婚約破棄の件でかなり信用が失墜していて。
それは、何年も経過しても同じだと思っていた。しかし、柏木が嘘をついているのかも知れない。
「そ、そうなの?」
「一部を除いた部下の子は仕事しやすいって話してます。凛子さん部下を叱っても怒らないし、僕は声を荒らげて怒らない上司を初めて見ました」
柏木は私の警戒に気がついたのか苦笑いする。
確かに、仕事上で声を荒らげて怒った事は数える程しかなかった。
というよりも、そういう事を考えたこともなかった。
「柏木くんの方が仕事しやすいと思うけど」
柏木が声を荒らげて怒ったところは見た事がない。気が利く彼との方が仕事をやり易いのではないだろうか。
「僕、短気ですよ。凛子さんいるから冷静になれるけど。一週間で何回もブチキレそうになることありますもん」
柏木は恥ずかしそうに頬を掻きながら、意外な事を言う。
「とてもそうには見えないけど」
「それはね。隠してますもん。凛子さん見てるとイライラしてるのバカらしく感じるんですよ」
考えの読み取れない笑顔はもしかしたら、苛立ちを隠す為に貼り付けていたのかもしれない。
でも、何で私を見ていたらイライラするのがバカらしくなるのだろうか。
「……」
「凛子さんが一番迷惑を被ってるのに怒らないし、僕は感情がすぐに入るから。そういう所を見てると自分が小さい人間だなってつくづく思うよ」
「そんな事ないよ」
「だからいつも凄いなって思ってて、尊敬します」
柏木は澄んで綺麗な瞳を私に向ける。
本当に仕事面では尊敬されているようだ。私はその瞳に嘘がない事がわかる。
「照れるな。私は柏木君が凄いなって思ってるよ。とても気が利くし」
「周りがよく見えるってそれだけ、どんな姿勢で仕事をしてるのかよく分かるんですよ」
確かに柏木のいう通りかもしれない。もしそうなら、どれだけ仕事に熱を入れているのかすぐに読み取れるのだろう。
それなら、イライラしてしまうことは沢山あるのかも。
「うん」
「だからこそ予想できた事をしない奴見てるとイライラするんだ。自分ができることを相手に求めても出来ない場合もあるのにね」
柏木の悩みは理解できるけれど、私には彼の立場で考える事は出来ないだろう。
私も仕事が出来ない人間だから。
「確かにそうね。私は要領が悪い方だからそういう子の気持ちがよくわかるのよ。柏木くんは、自分のそういう面をよく理解できていて、表に出さないようにしてるんだから凄いと思うよ」
なんと、言ったら柏木の苦悩を和らげてあげられるのか分からないけれど、私は純粋に彼が凄いと思えたのでそれだけは言いたかった。
「ありがとう。気が付いたら相談にのってもらってた。あんまり頼りにならない部下だね僕」
柏木は恥ずかしそうに少しだけ悪戯っぽく笑った。
今日は頼りになる柏木の意外な一面を見れたと思う。そのおかげか私は前以上に親しみを持てるようになった。
しかし、進藤の事をとてもではないが言えそうにない。
「そんな事ないわよ。いつも助けて貰ってるし」
「あぁ、次に会うときは仕事でかぁ~。隙のある凛子さんと話すの楽しいから名残惜しい」
柏木はもう少し話したいと言いたげに、グラスを持つ私の手をギュッと握りしめた。
「別に仕事終わってから、いつも通りに話しかけてくればいいよ」
私も本当は話足りない。結局悩みは打ち明けられなかったけれど、仕事以外の事を話したいと思った。
「こうやって飲みに行けることが楽しいの!だから、仕事は絶対に辞めないで。進藤さんの事は僕が何とかするから」
柏木から進藤の名前が出てきてドキリとする。
始めから彼はたぶん私の相談に乗るつもりだったのだ。
だけど、私が性格的に何も言えない事をよく知っていてそれでも安心させたかったのかもしれない。
「ありがとう」
「もう少し話し合ったら誤解も解けて今まで通りに仕事が出来ると思うから。頑張りましょう」
柏木は私を大丈夫だと励ますがそんな未来が見えない。しかし、そう言われると曖昧に頷くしかなかった。
彼は私との進藤との根深い因縁や鞄にされた嫌がらせを知らない。
これは自分でどうにかしないといけない問題なのだ。私はこの問題に柏木を巻き込みたくはなかった。
「こっちかな……?」
マネキンになりきってくれている柏木の首もとに、ネクタイとピンを当てながら私は首を傾けた。
柏木は何度もネクタイを当てられても嫌がる様子もなく笑顔で応じてくれて本当に気が楽だ。
「あ、これにするわ!」
色白の柴多の肌に合いそうなグレーの小さなピンにした。
柴多は濃い色のネクタイを好んで着けているし、きっと似合うだろう。
店員に声をかけてネクタイを綺麗に包んでもらう。
商品を受け取るとなんだか力が抜けたような気がした。
「今日は本当にありがとう」
店を出て私は柏木にお礼を言いながら軽く頭を下げる。
「力になれて良かったです」
柏木は人の良さそうな笑顔を向けて私の肩をポンポンと叩いた。
「お礼なんだけど、今日は奢るから」
「女性に奢って貰うのって気が引けるというか、せめて割り勘にしませんか?食べる量とか気にしちゃうんで、そうしてもらえると嬉しいんですけど」
年下でも男の人ってこういう申し出は、あまり受け入れられないものなのだろうか。柏木に申し訳なさそうに断られた。
食べる量を気にすると言われたら、奢るとは強く言えなかった。
「そう言うなら、そうしようかしら。出来れば個室じゃないところだと助かるわ」
個室の居酒屋はどうしてもいい思い出がなくて、それだけは譲れない。
「わかりました」
柏木は不思議そうな顔をしたが了承してくれた。
「こういう時ってお疲れ様って言うの?乾杯って言うの?どっちなんだろう?」
居酒屋に入ってノンアルコールのカクテルの入ったグラスを持ち私は乾杯の言葉に困り呟く。
「じゃあ、乾杯で」
柏木はおずおずとした様子で提案する。
「はい。じゃあ、乾杯」
私は言うなり柏木のグラスに自分のグラスをちょんと当てる仕草をする。
「え、早くないですか?」
柏木は私の早い行動に少しだけ驚きながら目を瞬きした。
「そんな事ないよ。ねえ、飲もうよ」
言うなり私はグラスに入ったノンアルコールのカクテルを飲むと、柏木も慌てたようにビールを飲み始めた。
「今日は本当にありがとうね」
今日のために予定を空けてくれた柏木には感謝だ。
本当に助かった。実際に誰かにネクタイなどを当てないとイメージがつかない。
あの落ち着いた色なら柴多にも似合うだろう。
「凛子さんと過ごせて楽しかったですよ」
柏木は私のお礼に気にした様子もなくにっこりと笑った。
まるで本当にそう思っているかのような言葉。それを、少しだけ信じてしまいそうになってしまう。
私は本当に単純だ。だけど、柏木には色々な面で感謝しているし、親しみを持てるようになっていた。
「私も楽しかった。こういう所で会うと会社とはまた印象が違うものよね」
今日は柏木が素になっているところを何度か見た。
敬語を忘れていたり、私としては親しくなった気がして嬉しかった。
柏木が素になるのはお酒が入った時だ。初めて彼が酔ったのを見たときは強烈だった。
人はあんなに変われるのかと、一瞬だけ恐怖した。今思い出しても恐ろしい。
「そんなに別人ですか?」
柏木は少しだけ照れたようにおしぼりで額を押さえた。
「別人というか思っていた以上に話しやすかったかな」
もっと早く友人付き合いをしていれば良かったなと少しだけ後悔していた。
上司と部下という関係があるので友人になるのは難しいかも知れないけれど。
「ふ~ん」
少しだけ酔いが回ってきたのか柏木はトロリとした瞳で気のない返事をした。
「凛子さんはいつも近寄りがたいけど、ピリッとした空気があまりないから、かなり話しやすいかったです」
仕事ではあまり悪い感情を出さないようにしていたけれど、それでも、冷たい印象を持たれていたようだ。
「そんなに?」
「ええ、あ、でも。凛子さんは自分が思ってる以上に色々な人に好かれてますよ」
柏木はとても意外な事を言い出す。
どちらかというと私は取っつきにくい方だし、婚約破棄の件でかなり信用が失墜していて。
それは、何年も経過しても同じだと思っていた。しかし、柏木が嘘をついているのかも知れない。
「そ、そうなの?」
「一部を除いた部下の子は仕事しやすいって話してます。凛子さん部下を叱っても怒らないし、僕は声を荒らげて怒らない上司を初めて見ました」
柏木は私の警戒に気がついたのか苦笑いする。
確かに、仕事上で声を荒らげて怒った事は数える程しかなかった。
というよりも、そういう事を考えたこともなかった。
「柏木くんの方が仕事しやすいと思うけど」
柏木が声を荒らげて怒ったところは見た事がない。気が利く彼との方が仕事をやり易いのではないだろうか。
「僕、短気ですよ。凛子さんいるから冷静になれるけど。一週間で何回もブチキレそうになることありますもん」
柏木は恥ずかしそうに頬を掻きながら、意外な事を言う。
「とてもそうには見えないけど」
「それはね。隠してますもん。凛子さん見てるとイライラしてるのバカらしく感じるんですよ」
考えの読み取れない笑顔はもしかしたら、苛立ちを隠す為に貼り付けていたのかもしれない。
でも、何で私を見ていたらイライラするのがバカらしくなるのだろうか。
「……」
「凛子さんが一番迷惑を被ってるのに怒らないし、僕は感情がすぐに入るから。そういう所を見てると自分が小さい人間だなってつくづく思うよ」
「そんな事ないよ」
「だからいつも凄いなって思ってて、尊敬します」
柏木は澄んで綺麗な瞳を私に向ける。
本当に仕事面では尊敬されているようだ。私はその瞳に嘘がない事がわかる。
「照れるな。私は柏木君が凄いなって思ってるよ。とても気が利くし」
「周りがよく見えるってそれだけ、どんな姿勢で仕事をしてるのかよく分かるんですよ」
確かに柏木のいう通りかもしれない。もしそうなら、どれだけ仕事に熱を入れているのかすぐに読み取れるのだろう。
それなら、イライラしてしまうことは沢山あるのかも。
「うん」
「だからこそ予想できた事をしない奴見てるとイライラするんだ。自分ができることを相手に求めても出来ない場合もあるのにね」
柏木の悩みは理解できるけれど、私には彼の立場で考える事は出来ないだろう。
私も仕事が出来ない人間だから。
「確かにそうね。私は要領が悪い方だからそういう子の気持ちがよくわかるのよ。柏木くんは、自分のそういう面をよく理解できていて、表に出さないようにしてるんだから凄いと思うよ」
なんと、言ったら柏木の苦悩を和らげてあげられるのか分からないけれど、私は純粋に彼が凄いと思えたのでそれだけは言いたかった。
「ありがとう。気が付いたら相談にのってもらってた。あんまり頼りにならない部下だね僕」
柏木は恥ずかしそうに少しだけ悪戯っぽく笑った。
今日は頼りになる柏木の意外な一面を見れたと思う。そのおかげか私は前以上に親しみを持てるようになった。
しかし、進藤の事をとてもではないが言えそうにない。
「そんな事ないわよ。いつも助けて貰ってるし」
「あぁ、次に会うときは仕事でかぁ~。隙のある凛子さんと話すの楽しいから名残惜しい」
柏木はもう少し話したいと言いたげに、グラスを持つ私の手をギュッと握りしめた。
「別に仕事終わってから、いつも通りに話しかけてくればいいよ」
私も本当は話足りない。結局悩みは打ち明けられなかったけれど、仕事以外の事を話したいと思った。
「こうやって飲みに行けることが楽しいの!だから、仕事は絶対に辞めないで。進藤さんの事は僕が何とかするから」
柏木から進藤の名前が出てきてドキリとする。
始めから彼はたぶん私の相談に乗るつもりだったのだ。
だけど、私が性格的に何も言えない事をよく知っていてそれでも安心させたかったのかもしれない。
「ありがとう」
「もう少し話し合ったら誤解も解けて今まで通りに仕事が出来ると思うから。頑張りましょう」
柏木は私を大丈夫だと励ますがそんな未来が見えない。しかし、そう言われると曖昧に頷くしかなかった。
彼は私との進藤との根深い因縁や鞄にされた嫌がらせを知らない。
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