1 / 4
空は青くて、優しくて
しおりを挟む
ふぅ。
今日は五月晴れだ。
抜けるような空が、とてもキレイ。
とても気持ちいい。
ゴールデンウィーク真っ只中だけど、今日は初仕事だ。
まあ、自分で選んだ仕事だから仕方ない。
先輩が一緒だから心強いけど、祝日出勤はシンドイな。
遊園地行きの電車は満員だ。
人込みは苦手だから、早く降りたい。
けれど、車よりマシだ。
車の中の独特の臭いは、人込みより苦手だから。
特に革のシートの臭いには耐えられない。
思い出すだけで、オエッとなる。
革製品よ、世の中から消えろ!
……!?
……はぁ?
……うっ!
アタシのお尻を触る痴漢がいる!
何なのよ!
ああ、厚手のデニムでも履いてくれば良かった。
ミニワンピを着ろって言われたから、従ったけど……
えーい、痴漢のクソッタレ!
どーすれば良いのよ!?
「痴漢ですっ!!」
あっ、先輩の声だ!
先輩が気づいてくれた!
お尻を探っていた手が離れた!
周囲がざわつき始め、男性たちは互いの顔を見る。
誰かが、先輩に尋ねた。
「大丈夫ですか?」
「はい。たぶん……あ、でも気のせいかも知れません」
「次の駅で降りますか? 駅員を呼びますか?」
「いえ、ご心配なく。急いでいるの結構です」
先輩の顔は見えないけど、とりあえず助かった。
この状況じゃ、痴漢もおとなしくなるだろう。
次の駅に到着し、数名が乗り降りしたようだ。
痴漢も逃げたよね。
悔しいけど、仕方ない。
はぁ~。
そうして、二十分。
やっと遊園地前の駅に着いた。
人が一斉に吐き出される。
う~、やっぱ少し気持ち悪い。
緊張して寝不足だからかな。
君には才能があるとか乗せられちゃったからな~。
「災難だったね」
先輩が声をかけてくれた。
「気分はどう? 緊張してる?」
「ええ……ちょっと酔ったみたいです」
「じゃ、ジュースでも買ってくるね。まだ時間があるから」
先輩は近くの販売機から、メロンソーダを買ってきて渡してくれた。
……うん、まあ少しはスッキリする。
炭酸が心地いい。
甘い~。
「先輩、すみません。初仕事なのに」
「ううん。私も同じだった。緊張するのは当然ね」
先輩は、まるで実の姉のようにニコリと笑ってくれる。
先輩も、薄手のワンピースにローヒールだ。
遊園地にハイヒールは疲れるしね。
「みんな、来てるみたいよ」
先輩が小声で言った。
「私たちの仕事は、ターゲットの周りを歩くだけ。そうして、観覧車脇の男子トイレに誘導する。あとは、仲間がやってくれる」
「はい、先輩」
アタシはメロンソーダを飲み干し、紙コップを握りつぶした。
今回のターゲットは、四十代のオジサンらしい。
素性は知らないけど、アタシと先輩は不自然でない程度に、そのオジサンの目を引けばいい。
オジサンの顔も覚えたし、あとは仲間が殺ってくれる。
ヤバイ商売に足を突っ込んだけど、これはこれで。
先なんて考えない。
今まで、独りで生きて来たんだから。
少しの贅沢をして、太く短く生きるのよ!
今から、新生活が始まるの!
* 終わり *
今日は五月晴れだ。
抜けるような空が、とてもキレイ。
とても気持ちいい。
ゴールデンウィーク真っ只中だけど、今日は初仕事だ。
まあ、自分で選んだ仕事だから仕方ない。
先輩が一緒だから心強いけど、祝日出勤はシンドイな。
遊園地行きの電車は満員だ。
人込みは苦手だから、早く降りたい。
けれど、車よりマシだ。
車の中の独特の臭いは、人込みより苦手だから。
特に革のシートの臭いには耐えられない。
思い出すだけで、オエッとなる。
革製品よ、世の中から消えろ!
……!?
……はぁ?
……うっ!
アタシのお尻を触る痴漢がいる!
何なのよ!
ああ、厚手のデニムでも履いてくれば良かった。
ミニワンピを着ろって言われたから、従ったけど……
えーい、痴漢のクソッタレ!
どーすれば良いのよ!?
「痴漢ですっ!!」
あっ、先輩の声だ!
先輩が気づいてくれた!
お尻を探っていた手が離れた!
周囲がざわつき始め、男性たちは互いの顔を見る。
誰かが、先輩に尋ねた。
「大丈夫ですか?」
「はい。たぶん……あ、でも気のせいかも知れません」
「次の駅で降りますか? 駅員を呼びますか?」
「いえ、ご心配なく。急いでいるの結構です」
先輩の顔は見えないけど、とりあえず助かった。
この状況じゃ、痴漢もおとなしくなるだろう。
次の駅に到着し、数名が乗り降りしたようだ。
痴漢も逃げたよね。
悔しいけど、仕方ない。
はぁ~。
そうして、二十分。
やっと遊園地前の駅に着いた。
人が一斉に吐き出される。
う~、やっぱ少し気持ち悪い。
緊張して寝不足だからかな。
君には才能があるとか乗せられちゃったからな~。
「災難だったね」
先輩が声をかけてくれた。
「気分はどう? 緊張してる?」
「ええ……ちょっと酔ったみたいです」
「じゃ、ジュースでも買ってくるね。まだ時間があるから」
先輩は近くの販売機から、メロンソーダを買ってきて渡してくれた。
……うん、まあ少しはスッキリする。
炭酸が心地いい。
甘い~。
「先輩、すみません。初仕事なのに」
「ううん。私も同じだった。緊張するのは当然ね」
先輩は、まるで実の姉のようにニコリと笑ってくれる。
先輩も、薄手のワンピースにローヒールだ。
遊園地にハイヒールは疲れるしね。
「みんな、来てるみたいよ」
先輩が小声で言った。
「私たちの仕事は、ターゲットの周りを歩くだけ。そうして、観覧車脇の男子トイレに誘導する。あとは、仲間がやってくれる」
「はい、先輩」
アタシはメロンソーダを飲み干し、紙コップを握りつぶした。
今回のターゲットは、四十代のオジサンらしい。
素性は知らないけど、アタシと先輩は不自然でない程度に、そのオジサンの目を引けばいい。
オジサンの顔も覚えたし、あとは仲間が殺ってくれる。
ヤバイ商売に足を突っ込んだけど、これはこれで。
先なんて考えない。
今まで、独りで生きて来たんだから。
少しの贅沢をして、太く短く生きるのよ!
今から、新生活が始まるの!
* 終わり *
1
あなたにおすすめの小説
朔望大学医学部付属病院/ White Dictator
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
White Dictator______通称:『白衣の独裁者』
<ホワイト・ディクテイター>
⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯
圧倒的な「実力」と「技術」で捩じ伏せ・現場を支配する凄腕たち。
___ ごく僅かな一瞬の隙も逃さない神手の集まり。
※ごめんなさい!悩みすぎて遅れてます!
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる