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その8

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「……散歩しようかな」
「姫様!!!!!!!」
「リリアナ。どうかしたの?」
「いえ。お昼ご飯の時間なので、呼びにまいりました」
「もう、そんな時間なのね」
「はい」
「わかったわ。すぐ行くから先に食堂に行ってて」
「わかりました」……わたしは、着替えを済ませ部屋を出た。
そして、中庭に出るため廊下を歩いていると、前から執事のロランさんが歩いてきた。
「こんにちは。ロランさん」
「これは、姫様。ご機嫌麗しゅうございます。……ところで、どちらに向かわれるのですか?」
「ちょっと、外の空気に当たりたくて、中庭に出ようと思っています」
「……なるほど。そういう事でしたら、私めがご案内させていただきます」「ありがとうございます」
「いえ。それでは、こちらになります」
「……」
……わたしは、ロランさんの後ろについて歩き出した。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
……わたし達は、無言のまま歩いた。
「……」「……」
「……」
「……」
「姫様」
「はい」
「……その、よろしければ、私めの事を名前で呼んでいただけないでしょうか?」
「……どうして、ですか?」
「その方が、距離が縮まるような気がしまして」
「……」
「……ダメでしょうか?」
「……別に構いませんよ」
「……では、私の事もロランとお呼びください」
「はい」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
……しばらく歩くと、中庭に出た。
「着きました」
「ここは?」
「ここは、庭園になっておりまして、季節の花を楽しむことができます」
「そうなんですか」
「はい」
「綺麗ですね」
「お気に召していただけたようで嬉しいです」
……確かに、とてもきれいだ。花もそうだが、手入れも行き届いているようだ。
「……もしかして、このお庭は、あなたが作ったものですか?」
「はい。そうです」
「すごいですね」
「そんな事はありません。私は、ただ与えられた仕事をこなしているだけです」
「でも、こんなに素晴らしいお庭を作るなんて凄いですよ」
「そう言って頂けると、作った甲斐があります」
「……そういえば、この前わたしの部屋に来た時に、何か言いかけていましたよね? あれは何を言いたかったのですか?」
「ああ。あの時の事ですか。実は、姫様にお願いがありまして」
「お願い?」
「はい」
「なんでしょう?」
「もし、姫様さえ良ければ、今度お茶会を開いていただけないかと思いまして」
「お茶会?……でも、わたし、あまり作法とか知らないのですが、それでもいいなら……」
「もちろんでございます。
それに、姫様は普段通りにしてくだされば結構です。
皆、身分など関係なく集まっておりますので、気楽に楽しんでいただければと思います」
「……わかりました。それで、いつやるのですか? それと、場所はどこで行うのですか?」
「日時は、明後日の正午からとなっております。
場所は、城の裏手にあるバラ園で行おうと思っています」
「バラ園?」
「はい。あそこは、城の者達がよく休憩に使う場所なのですが、最近になって、色とりどりのバラを植え始めたので、見応えがあると思います」
「へー」
「……いかがいたしますか?」
「わかりました。参加させていただきます」
「ありがとうございます。
それでは、明日招待状をお持ち致します」
「はい。楽しみにしています」
……それから、わたし達は少し話をしてから別れた。……さて、そろそろ部屋に戻ろうかな。
「……」
わたしは、部屋に向かって歩き出した。その末路は?????
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