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「ところで……例の計画は本当なんですかい???」
「その情報はどこから聞いたのかな???」
「ええ、私もそこそこには顔が広いわけですからね……」
「そうかそうか……」
ピーター将軍は苦笑いを浮かべた。
「ということは……私がこれからどこに行こうと思っているのか……わかっているわけだね???」
「ええ、おおよそのことは」
「それで……君は私の計画を邪魔しに来たというわけか???」
「いいえ、そんなことはありませんよ。ただね、そういうことをしたら、あなた様の恋人さんは一体、どんな思いをするのかなって……考えてみますとね」
「……だって、二人の仲は悪いんじゃないのか???風の便りにはそう書いてあったのだが……」
「さあ、どうでしょうねえ。直接確かめてみればいいのでは???」
「いいや、その必要はないだろうさ。だって……ザイツ殿が恋人さんとうまくいくわけがないんだから……」
「ほおう……最初から決めつけてしまって……大丈夫ですかい???」
ピーター将軍がここで一呼吸おいて、ローレンスに質問を返した。
「君は一体……どちらの味方なのかな???私、それとも自分の属する国家なのか???」
「さあ、私にとってはどうでもいいことですね。少なくとも、この国が滅びようと生きながらえようと、私は私ですからね……」
「なるほど。でも、その言い分からすると、完全に私の味方になる、ということではないようだね……」
「私はあなた様が考えている以上にくだらない人間ですからね。自分の利益しか考えていない……だから、自分が利益だと思うことだったら、なんでもやりますよ。でもね、私に利益がないと直感したら……そのときは何もしません。当然のことでしょう???」
「ああ、一般人はそれでいいと思うさ。君たち一人で国を変えることなんてできるわけがないからな」
「でも、あなた様は違いますね。一人で国家の明暗を背負っていらっしゃる……私にはとても真似できません……」
ローレンスはそう言い放った。
「この議論はまた今度しようか。私は今でも恋人さんのことを信じている……だからね、私がやることは何も問題はないと……こう確信しているわけなんだ」
「そうですか。まあ、あなた様がそうお考えになるのでしたら、いいんじゃないですか???私にはどうでもいい話ですけど……」
「君は恋をしないのか???」
「恋ですか……随分と懐かしい響きがしますね。そんなものは、どこか遠くに忘れてきてしまいましたね」
「そうかそうか……それはずいぶんと悲しいものだなあ……」
「悲しいですって???そんなことはありませんよ。恋に悩む人間のほうがよっぽど悲しい顔をしているものです。だって、あなた様の顔を見ていればわかりますよ。あなたは今もこうして……悲しそうな顔をしているのですから……」
「そうか……君にはそう見えるのか……」
ピーター将軍はそう言い残して、ローレンスのもとを去った。
「その情報はどこから聞いたのかな???」
「ええ、私もそこそこには顔が広いわけですからね……」
「そうかそうか……」
ピーター将軍は苦笑いを浮かべた。
「ということは……私がこれからどこに行こうと思っているのか……わかっているわけだね???」
「ええ、おおよそのことは」
「それで……君は私の計画を邪魔しに来たというわけか???」
「いいえ、そんなことはありませんよ。ただね、そういうことをしたら、あなた様の恋人さんは一体、どんな思いをするのかなって……考えてみますとね」
「……だって、二人の仲は悪いんじゃないのか???風の便りにはそう書いてあったのだが……」
「さあ、どうでしょうねえ。直接確かめてみればいいのでは???」
「いいや、その必要はないだろうさ。だって……ザイツ殿が恋人さんとうまくいくわけがないんだから……」
「ほおう……最初から決めつけてしまって……大丈夫ですかい???」
ピーター将軍がここで一呼吸おいて、ローレンスに質問を返した。
「君は一体……どちらの味方なのかな???私、それとも自分の属する国家なのか???」
「さあ、私にとってはどうでもいいことですね。少なくとも、この国が滅びようと生きながらえようと、私は私ですからね……」
「なるほど。でも、その言い分からすると、完全に私の味方になる、ということではないようだね……」
「私はあなた様が考えている以上にくだらない人間ですからね。自分の利益しか考えていない……だから、自分が利益だと思うことだったら、なんでもやりますよ。でもね、私に利益がないと直感したら……そのときは何もしません。当然のことでしょう???」
「ああ、一般人はそれでいいと思うさ。君たち一人で国を変えることなんてできるわけがないからな」
「でも、あなた様は違いますね。一人で国家の明暗を背負っていらっしゃる……私にはとても真似できません……」
ローレンスはそう言い放った。
「この議論はまた今度しようか。私は今でも恋人さんのことを信じている……だからね、私がやることは何も問題はないと……こう確信しているわけなんだ」
「そうですか。まあ、あなた様がそうお考えになるのでしたら、いいんじゃないですか???私にはどうでもいい話ですけど……」
「君は恋をしないのか???」
「恋ですか……随分と懐かしい響きがしますね。そんなものは、どこか遠くに忘れてきてしまいましたね」
「そうかそうか……それはずいぶんと悲しいものだなあ……」
「悲しいですって???そんなことはありませんよ。恋に悩む人間のほうがよっぽど悲しい顔をしているものです。だって、あなた様の顔を見ていればわかりますよ。あなたは今もこうして……悲しそうな顔をしているのですから……」
「そうか……君にはそう見えるのか……」
ピーター将軍はそう言い残して、ローレンスのもとを去った。
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