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真実 ①

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 あの後、アレクは開いてしまった傷口の手当をし、皇帝陛下に詳しい話をしたそうだ。

 まだ報告事項は沢山あるみたいだったけど、その日の晩、アレクは僕の部屋に来てくれた。

 部屋に入ってきたアレクは僕の前で跪き、
「ユベール、今まで辛い思いをさせて、本当に悪かった。辛く当たってしまった経緯をどうか聞いて欲しい」
 許しを乞うように言った。

「僕はアレクに対して怒ってはいないよ。ただ、どうして僕を避けていたのかが知りたいだけなんだ。僕こそ大嫌いって言ってしまって、ごめんなさい。僕はずっとアレクのことが大好きだよ。だからどうかアレクが背負っていたこと、僕に全部話して」
 僕は跪くアレクの前にしゃがむ。
 本当は抱きつきたいけど、せっかく手当てしてもらった傷口がまた開いてしまったら大変なので、僕はアレクの手を取り掌に口付けをする。

「ことの始まりはマティアスと戦いにで始めた時からの、数々の事件があったことからなんだ」
 アレクと僕はソファーに座った。そしてアレクはマティアスとの話をしてくれた。


 初陣の時からアレクの戦略は、できるだけ血を流さないように、できるだけ話し合いで解決できるようにしてきた。
 そしてその戦い方はマティアスと一緒に戦地に出陣した時も同じだったが、マティアスはアレクの戦い方に不満を持っていた兵士と結託し、アレクの戦い方とは別で勝手に敵地に入り込み、敵兵を無駄に殺していっていたそうだ。

 次第に同じ軍の中でアレク派、マティアス派に別れていき、同じ頃、戦場近くの街や村が襲われることが増えていった。

 アレクはその事件にマティアスが関与していると睨み、ヒューゴ様と信用できる数人の部下と調査していたが、なかなか証拠が見つからない。

 今回皇帝陛下から命じられた調査の時もマティアスに目を光らせていたところに、自分の母親そっくりのジェイダが現れ、マティスが何か企んでいると思い、ジェイダを連れて帰ってきて監視をしていたそうだ。


「どうしてそんな大事な話、してくれなかったの?大したことはできないかもしれないけど、僕だってアレクの力になれることがあったかも知れない」
「でもこのことは危険が伴う。俺はユベールを危険に晒せたくない」
「じゃあアレクは、僕はだめでも自分の身は危険に晒してもいいってこと?そんなの僕は嫌だ。危険な事と向き合う時だからこそ、僕はアレクと一緒に乗り越えていきたい」
 僕がそう言うと、
「ユベールならそう言うと思っていた」
 アレクは嬉しそうに微笑む。

「ユベールは危険だとわかっていても、一緒に解決しようとしてくれる人だとわかっていたから、余計に話さなかったんだ」
「どうして?」
「だって俺のために無茶するだろう?」
「しないよ」
「ユベール自身は無茶していないと思っていても、側から見れば無茶していると思う。だから言わなかった。それに俺の大切な人がユベールだとジェイダに思われたくなかったんだ」
「ジェイダに?どうして?」
「ジェイダは村を襲い、大切な人たちを殺したのは俺だと誤解していた。だからもし俺の大切な人がユベールだと気づかれれば、一番にユベールの命を狙うだろう。それだけは絶対に避けたかった」

 アレクが僕のことを考えていてくれたのに、僕はアレクの気持ちも考えずに、困らせることばかりしていたんて……。
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