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4.フラグを折れ
しおりを挟むカツンカツンと二人分の靴音を響かせ階段を降りる。
私は先を照らしながら歩く神父に促されるまま秘密の地下室に向かっている。
少しして、前を歩いていた神父が立ち止まり私に振り返った。
「こちらです。あの子には念のため強精剤を投与してありますが、まだまだ若く不慣れな部分が多いです。貴女が先導してくださったほうがうまくいきますでしょう」
催淫剤、つまりは少年に媚薬を盛ってある宣言までされてしまって流石にひきそうになる。
この神父何者だ。
なんていうのは今更で、彼もモブのくせに変態キャラがやたらと立っている。
こんなことを淡々と説明口調で言う無神経さはモブならではなのかもしれないが逆に個性的だ。
「お入りください。それでは、わたくしは一旦ここで」
神父が退き、目の前に現れた扉を開いて入るように指示する。
言われるがままに私は鉄の扉を開いた。
踏み入れた先は燭台の明かりだけが頼りの薄暗い部屋だった。
広い部屋の真ん中に大きなベッドがある。
大人四人以上が同時に寝転がれるような特大サイズのその上には、すやすやと穏やかな寝息を立てて裸の少年が眠っていた。
──間違いない。
私が推しを見間違うはずはない。
無防備に眠りについているこの少年はコルフェだ。
小さくてもいくつもの推しの面影が彼の見た目にはある。
と、いうか過去回想スチルや設定資料集などで幾度も見返したことがある幼少期、少年時代の姿そのものなのだ。
そのままの立体、等身大サイズでここにいる。
正直なところよだれが出てしまいそうなほどめちゃくちゃかわいい生き物が、私の目の前で眠っている。
少年期から洗練されている私の天使が存在している感動に、勝手に手が震えだした。
そして、同時に感激とは別の意味での震えが私の手先に起きてしまう。
繰り返すがこのままでは私は今からこのいたいけな少年の精を貪る大悪女、彼の夢に入り込んで死を誘う夢魔になってしまう。
実感した途端に恐怖が込み上げてきたのだ。
(……とにかく、コルフェを起こして話をしてみよう。ここでフラグを折るにはそれしかないわ)
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