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「ねぇローレンス。ところで、キノコって何のキノコなの?キノコって言われてわかった気になってたけど、どのキノコを採ればいいか聞くの忘れちゃった。」
「あぁ、この辺のドワーフが好きなのはレムピルツっていうキノコ形の魔物というか森の精に近いあいつらだよ。」
「あ、たまに地面に埋まってるの気付かないで踏んじゃうと爆発して胞子をまき散らす地雷タケのこと??」
「そうそう。」
「わかった!確か沼の周りとか湿気の多いところを好むはずだからその辺から探してみよ!」
と言うとシュミルは駆け出した。
「ところでローレンスは何でドワーフたちと知り合いだったの?」
「シュミルが来てまだ外に出られない状態だった頃にさ、一人で森を散策してたらガンテじいちゃんたちが傷だらけで倒れてたんだ。」
「だからひとまずポーションを飲ませて話しを聞いたらブラッドタイガーがあの洞窟を住処にしようと押し寄せてきてやられたって言うから取り返したんだよ。」
「え、ウソでしょ!?ローレンス一人で??ブラッドタイガーを?」
「まぁドワーフたちも加勢してくれたから何とか倒せたんだよね。ほら、ここの胸の傷はその時のなんだ。帰ってから母さんにヒールしてもらったけど傷跡が残っちゃう位の名誉の負傷だよ。」
シュミルは大きな溜息をついた。
「ローレンスは本当に無鉄砲なんだから。死んじゃったら元も子もないんだからね!死んじゃったら…残された方はずっと悲しいんだから……。」
家族のことを思い出したのかシュミルは悲しそうな表情を浮かべた。
「大丈夫!僕は生きてる!それにシュミルが居てくれるから僕は死なないし、シュミルも僕が絶対に守るから大丈夫だよ。」
「ばーか。ローレンスはいっつも口だけですぐ墓穴掘るんだから。」
シュミルがそんなことを言った瞬間、ローレンスの足元でボフッという音とともにローレンスの身体は軽々と宙に舞い、辺りには胞子が撒き散らされた。
「全く!言ってる先から地雷タケ踏んでどうするの!!」
「シュミル!その胞子を吸うと酔うからすぐ離れろ!」
「え?」
ローレンスの咄嗟の忠告も虚しくシュミルはもろに胞子を吸ってしまった。
ゴホッ…ゴホッ……
シュミルは激しくむせると急に足取りが怪しくなった。
「なに…これ……すーっごく気分が良くなってきたよぉー!」
「ちっ…吸っちゃったか。」
レムピルツは踏むと弾けて胞子をまき散らす姿から地雷タケと呼ばれているが、その胞子には強い幻覚作用がある。
吸い込むと酔ったときのような酩酊と多幸感に包まれることからドワーフたちのような好き者たちには通称『キノコ』と呼ばれて珍重されていた。
「ねぇ、ローレンス~」
シュミルは吹き飛ばされて倒れているローレンスに近寄ると馬乗りになった。
「ねぇってばぁ。おーきーてー!」
と言うと何故かローレンスのシャツのボタンを外し始めた。
「や、やめろって。」
ローレンスは抵抗するがシュミルにガッチリホールドされていて身動きが取れない。
シャツのボタンをすべて外すとはだけてシュミルのか細い指をそっと胸から腹にかけて這わせた。
ローレンスはその指の感触のむず痒さに身体を震わせるが抵抗出来ない。というよりも若干その状況を楽しんでいるようだ。
「ローレンスはね~私を助けてくれたの~!」
「勇者みたいでカッコいいの~!」
完全に酩酊して我を失ったシュミルはうわ言のように語っている。
突然シュミルは馬乗りの状態から倒れ込むとローレンスを抱きしめた。
「しゅきだよ~ローレンス~」
耳元でそう囁かれたローレンスはたまらなくシュミルが愛おしいなるのと同時に身体中を色々なものが駆け巡った。
抱きつかれて押し当てられるシュミルのうっすらと存在が確認できる胸の感触を意識せずにはいられなかったし、ローレンスもまた震える手でシュミルを抱きしめるかどうかシュミルの背後で手が行き来していた。
(絶対この感触は忘れない…!神様、キノコ様ありがとう。)
「ねぇ~え~。ギューして?」
「シュミルはギューしてほしいの!」
シュミルの甘えるような声にローレンスの理性は吹き飛びその行き場に迷っていた腕でシュミルを包み込んだ。
「やったぁ。ローレンスにギューしてもらったぁ。」
シュミルは無邪気に微笑むと、その唇をローレンスに近づけた。
「ちゅー、しよ?」
その瞬間、ローレンスは両手でシュミルの口を塞ぐと全力で身体を起こしてシュミルを身体の上からどかした。
2人は地べたに座った状態でローレンスはシュミルを左手で抱き寄せ、右手で頭を撫でた。
「キスは、まだとっておこうな。」
するとシュミルはコクっと頷き寝息をたて始めた。
ーーー
「ローレンス!」
「ローレンスー!!」
どれほど時間が経っただろう。
陽が傾き始めた頃、シュミルのローレンスを呼ぶ声が森の中に響き渡った。
「大丈夫か?シュミル。」
ローレンスはシュミルの元に戻ると声をかけた。
「もう、ローレンス!勝手に居なくってどこに行ってたの?」
「あのキノコの粉を吸ってから記憶が曖昧なんだけど…変なことしてないでしょうね!」
「えっ?なんで!?」
ローレンスはうろたえた。
「ハッキリとは覚えてないんだけど、ローレンスに抱きしめられてたような感じがしたから……。」
顔を赤らめるシュミルがなんとも愛おしい。
「だ、大丈夫だって!何もなかった。」
「ほんとにぃ~?ローレンス?目が泳いでるけど…。」
問い詰められてローレンスは咄嗟に話題を変える。
「そんなことより早くガンテじいちゃんのとこに持ってこうぜ!陽も落ちてきたし首を長くして待ってるはずだから急ごう。」
「あ、そうだった。キノコは取れた…?」
「もちろん。」
と言うとローレンスは駆け出して巨大な麻の布に包まれた大量のキノコを背負ってきた。
「じいちゃん戻ったぞー!」
洞窟の入口に着くとガンテを呼んだ。
「おう、待っとったぞ。」
洞窟を出るとガンテはローレンスが持ってきた包みを開けた。
「こりゃたまげた。これだけの量だとおまんらの欲しい材料すべてやっても余りあるほどじゃ。ところでおまんらは加工はどうするつもりじゃ?」
シュミルとローレンスはハッと顔を見合わせた。
「えっと…何も考えてなかったや。」
「出来れば私たちで作りたいんですけどできますか??」
「そうじゃな…。おまんらくらいだと5年もありゃ出来るじゃろ。」
「5年!?」
「じいちゃん、半年で何とか出来ないかな。」
「半年じゃと!?ミスリルを原石から精錬するだけでも3年の修行は必要なんじゃが、それを半年でやるとなると……。」
しばらくガンテは考え込んだ。
「よっしゃ、材料の加工から成形まではワシらがやろう。最後の研磨と装飾の仕上げ作業だけならおまんらでもいまからみっちり修行を積めばできるじゃろ。それでどうじゃ?」
「ガンテさん、是非よろしくお願いします。」
シュミルはガンテの気が変わらないうちにすぐさま返答した。
「よし、じゃあアダマンタイトはワシらのストックから一番の物をだしてやろう。その代わり、スキルを上げるついでに見習いとしてしっかり働いてもらうから覚悟しておくんじゃぞ。」
それからシュミルとローレンスは休息日を除いてドワーフの鍛冶場に通うこととなった。
「あぁ、この辺のドワーフが好きなのはレムピルツっていうキノコ形の魔物というか森の精に近いあいつらだよ。」
「あ、たまに地面に埋まってるの気付かないで踏んじゃうと爆発して胞子をまき散らす地雷タケのこと??」
「そうそう。」
「わかった!確か沼の周りとか湿気の多いところを好むはずだからその辺から探してみよ!」
と言うとシュミルは駆け出した。
「ところでローレンスは何でドワーフたちと知り合いだったの?」
「シュミルが来てまだ外に出られない状態だった頃にさ、一人で森を散策してたらガンテじいちゃんたちが傷だらけで倒れてたんだ。」
「だからひとまずポーションを飲ませて話しを聞いたらブラッドタイガーがあの洞窟を住処にしようと押し寄せてきてやられたって言うから取り返したんだよ。」
「え、ウソでしょ!?ローレンス一人で??ブラッドタイガーを?」
「まぁドワーフたちも加勢してくれたから何とか倒せたんだよね。ほら、ここの胸の傷はその時のなんだ。帰ってから母さんにヒールしてもらったけど傷跡が残っちゃう位の名誉の負傷だよ。」
シュミルは大きな溜息をついた。
「ローレンスは本当に無鉄砲なんだから。死んじゃったら元も子もないんだからね!死んじゃったら…残された方はずっと悲しいんだから……。」
家族のことを思い出したのかシュミルは悲しそうな表情を浮かべた。
「大丈夫!僕は生きてる!それにシュミルが居てくれるから僕は死なないし、シュミルも僕が絶対に守るから大丈夫だよ。」
「ばーか。ローレンスはいっつも口だけですぐ墓穴掘るんだから。」
シュミルがそんなことを言った瞬間、ローレンスの足元でボフッという音とともにローレンスの身体は軽々と宙に舞い、辺りには胞子が撒き散らされた。
「全く!言ってる先から地雷タケ踏んでどうするの!!」
「シュミル!その胞子を吸うと酔うからすぐ離れろ!」
「え?」
ローレンスの咄嗟の忠告も虚しくシュミルはもろに胞子を吸ってしまった。
ゴホッ…ゴホッ……
シュミルは激しくむせると急に足取りが怪しくなった。
「なに…これ……すーっごく気分が良くなってきたよぉー!」
「ちっ…吸っちゃったか。」
レムピルツは踏むと弾けて胞子をまき散らす姿から地雷タケと呼ばれているが、その胞子には強い幻覚作用がある。
吸い込むと酔ったときのような酩酊と多幸感に包まれることからドワーフたちのような好き者たちには通称『キノコ』と呼ばれて珍重されていた。
「ねぇ、ローレンス~」
シュミルは吹き飛ばされて倒れているローレンスに近寄ると馬乗りになった。
「ねぇってばぁ。おーきーてー!」
と言うと何故かローレンスのシャツのボタンを外し始めた。
「や、やめろって。」
ローレンスは抵抗するがシュミルにガッチリホールドされていて身動きが取れない。
シャツのボタンをすべて外すとはだけてシュミルのか細い指をそっと胸から腹にかけて這わせた。
ローレンスはその指の感触のむず痒さに身体を震わせるが抵抗出来ない。というよりも若干その状況を楽しんでいるようだ。
「ローレンスはね~私を助けてくれたの~!」
「勇者みたいでカッコいいの~!」
完全に酩酊して我を失ったシュミルはうわ言のように語っている。
突然シュミルは馬乗りの状態から倒れ込むとローレンスを抱きしめた。
「しゅきだよ~ローレンス~」
耳元でそう囁かれたローレンスはたまらなくシュミルが愛おしいなるのと同時に身体中を色々なものが駆け巡った。
抱きつかれて押し当てられるシュミルのうっすらと存在が確認できる胸の感触を意識せずにはいられなかったし、ローレンスもまた震える手でシュミルを抱きしめるかどうかシュミルの背後で手が行き来していた。
(絶対この感触は忘れない…!神様、キノコ様ありがとう。)
「ねぇ~え~。ギューして?」
「シュミルはギューしてほしいの!」
シュミルの甘えるような声にローレンスの理性は吹き飛びその行き場に迷っていた腕でシュミルを包み込んだ。
「やったぁ。ローレンスにギューしてもらったぁ。」
シュミルは無邪気に微笑むと、その唇をローレンスに近づけた。
「ちゅー、しよ?」
その瞬間、ローレンスは両手でシュミルの口を塞ぐと全力で身体を起こしてシュミルを身体の上からどかした。
2人は地べたに座った状態でローレンスはシュミルを左手で抱き寄せ、右手で頭を撫でた。
「キスは、まだとっておこうな。」
するとシュミルはコクっと頷き寝息をたて始めた。
ーーー
「ローレンス!」
「ローレンスー!!」
どれほど時間が経っただろう。
陽が傾き始めた頃、シュミルのローレンスを呼ぶ声が森の中に響き渡った。
「大丈夫か?シュミル。」
ローレンスはシュミルの元に戻ると声をかけた。
「もう、ローレンス!勝手に居なくってどこに行ってたの?」
「あのキノコの粉を吸ってから記憶が曖昧なんだけど…変なことしてないでしょうね!」
「えっ?なんで!?」
ローレンスはうろたえた。
「ハッキリとは覚えてないんだけど、ローレンスに抱きしめられてたような感じがしたから……。」
顔を赤らめるシュミルがなんとも愛おしい。
「だ、大丈夫だって!何もなかった。」
「ほんとにぃ~?ローレンス?目が泳いでるけど…。」
問い詰められてローレンスは咄嗟に話題を変える。
「そんなことより早くガンテじいちゃんのとこに持ってこうぜ!陽も落ちてきたし首を長くして待ってるはずだから急ごう。」
「あ、そうだった。キノコは取れた…?」
「もちろん。」
と言うとローレンスは駆け出して巨大な麻の布に包まれた大量のキノコを背負ってきた。
「じいちゃん戻ったぞー!」
洞窟の入口に着くとガンテを呼んだ。
「おう、待っとったぞ。」
洞窟を出るとガンテはローレンスが持ってきた包みを開けた。
「こりゃたまげた。これだけの量だとおまんらの欲しい材料すべてやっても余りあるほどじゃ。ところでおまんらは加工はどうするつもりじゃ?」
シュミルとローレンスはハッと顔を見合わせた。
「えっと…何も考えてなかったや。」
「出来れば私たちで作りたいんですけどできますか??」
「そうじゃな…。おまんらくらいだと5年もありゃ出来るじゃろ。」
「5年!?」
「じいちゃん、半年で何とか出来ないかな。」
「半年じゃと!?ミスリルを原石から精錬するだけでも3年の修行は必要なんじゃが、それを半年でやるとなると……。」
しばらくガンテは考え込んだ。
「よっしゃ、材料の加工から成形まではワシらがやろう。最後の研磨と装飾の仕上げ作業だけならおまんらでもいまからみっちり修行を積めばできるじゃろ。それでどうじゃ?」
「ガンテさん、是非よろしくお願いします。」
シュミルはガンテの気が変わらないうちにすぐさま返答した。
「よし、じゃあアダマンタイトはワシらのストックから一番の物をだしてやろう。その代わり、スキルを上げるついでに見習いとしてしっかり働いてもらうから覚悟しておくんじゃぞ。」
それからシュミルとローレンスは休息日を除いてドワーフの鍛冶場に通うこととなった。
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