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3話 二人が出会う前
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2年前。
彼を初めて見たのは、よく通っている孤児院だった。
私はその時、目立つ金髪を隠し、茶色のウィッグをつけ、大きな黒縁メガネと、質素なワンピースを着ていた。
週に一度は訪れ、院の掃除洗濯を手伝い、屋敷からこっそり持ち出した食材で料理を作り、子供達と遊んでいた。
また、希望者には簡単な計算のやり方や文字を教えていた。
私も家庭教師に少し教わった程度だったが、子供達に教えるには十分だった。
この孤児院を卒業したとき、少しでも彼らの力になれば良いと始めた事だ。
『本』は貴重なもので、持ち出すことはできなかったが、不要な紙切れを集めて、自分で考えた物語を書き、皆に文字を教えた。
自分の物語を書いて教えるなど、とても恥ずかしかったが、子供達から強い要望もあり『ラウトゥーリオの丘』を書いた。
そして、私の小さな努力が1人の少年の未来を大きく変えた。
ハイルディー商会から声をかけてもらえたのだ。
その子を皮切りに、私が勉強を教えた子供達の多くがハイルディー商会の斡旋する職場に働くことができた。
私の小さな努力が報われて、とても嬉しかった。
ある日、彼はやって来たのだ。
流行りの馬車に乗り、質の良さそうなスーツに身を包み、子供達一人一人に声をかけていた。
子供達が泥のついた手で触ろうが、足に泥が跳ねようが、彼は子供達と遊び、話を聞き、希望者には将来ハイルディー商会で働いてほしいと、輝くような笑顔で話していた。
私は彼に恋をした。
孤児院の手伝いをしているときは、とても会えない。
こんなみすぼらしい格好を、貴族の娘として意中の殿方に見られるのは恥ずかしい。
物陰からこっそりと彼を見るしか…。
深い海のような青い髪。エメラルドグリーンの瞳が美しい。
そして全ての人に、公平にチャンスを与えようとする。孤児と蔑むことなく、その人の能力と可能性を見てくれる。
容姿だけでなく、考え方も素晴らしい彼に私の心はときめいた。
彼を見かけてから半年が過ぎた頃、孤児院に訪問していた彼が血相を変えて帰ったのだ。
それから孤児院で彼の姿を見ることはなかった。
×××
彼を見かけることがなくなって一年半。
寂しく思っていると、父親から見合いをさせられた。
相手は私か双子の姉ミリアリア、どちらかと結婚したいと申し込んで来たそうだ。だが身分はジェントリと低く、父は縁談を断るだろうと思っていたら、予想を裏切り承諾したのだ。
相手はとても裕福らしく、結婚が決まったら我が家が抱える借金を、全て肩代わりしてくれるそうだ。
貴族にとって『ジェントリと結婚』は生け贄のように思われていた。
金の為に『貴族の血』を売る行為だと、蔑まれていた。
しかし、負債を抱える領地や爵位を金に変える貴族は少なくなかった。
父は愛想の良いミリアリアを高位貴族に嫁がせ、自らの血脈を高位貴族に押し上げる。そして旨味の失くなった子爵領を可愛げのない私を生け贄に、ジェントリの青年に売り付ける算段なのだろう。
本当は見合いの日、ミリアリアも一緒に会うはずだったが、父の差し金か、ミリアリアは現れなかった。
でも、それで良かったと、その時、彼の顔を見てそう思った。
見合いで現れたのは、孤児院に来ていたリューベック・ハイルディー。その人だったからだ。
彼は紳士らしい微笑みと、上品なスーツを着こなしていた。
「リューベック・ハイルディーです。お会いできて光栄です」
見惚れるほど、美しい笑顔がそこにあった。
「レディ?」
「あっ、エリーゼ・ローベンシュタインです。わたくしもお会いできて光栄です」
とてもぎこちなくカーテシーを行った。
顔が赤くなってなければいいけど…。
彼の微笑みを直視できず、庭に設置したお茶セットでおもてなしをした。
とても和やかな時間を過ごした。彼はミリアリアが来なかった事を特に何か言うことはなかったし、気遣いも紳士的で、ますます彼が好きになった。
それなりに談笑したのち、彼はある話題を切り出した。
「《ラウトゥーリオの丘》を知っていますか?」
私はギグっとした。
孤児院で話したことはないし、私の本当の名前を子供達は知らない。
髪の色も変えてるし、顔だったメガネで目立たないようにしてある。
私だとわかるわけがない。
でも、私だとわかって、結婚の申し込みに来てくれたのなら…。子供達から『ラウトゥーリオの丘』の話を聞いて、確認するために聞いてきたのなら…。
もしそうなら、なんて素敵な事だろう。
「《ラウトゥーリオの丘》は…私が考えた童話です」
とても恥ずかしかったが、嘘をつくことでもなかったので、そのまま答えた。
変な女と思われたかしら…。
彼は一瞬驚いた表情をして、笑った。
「貴女を探していたんだ。どうか、私と結婚してほしい」
その言葉に、私は天に登るほど嬉しかった。彼は私に気づいてくれたんだ。孤児院でみすぼらしい格好をしていた私を。
もちろん、すぐに婚約をした。
式は半年後とトントン拍子に決まった。
その後は盛大な婚約披露パーティーをしたり、ミリアリアの婚約者を探すパーティーを何度となく開いた。
その一方で彼と一度だけ、お父様に内緒で領地の視察に行った。
両親には彼が経営するリゾート地に観光デートすると言った。
領地は王都からそんなに離れていないので、3日で行ける距離だ。
彼曰く「負債だけの物件を持ってても意味はないから、手直しできるところがないか調べたい」とか。
「お父上には内緒だよ。領地にまだ旨味があるとわかったら、僕たちの婚約を無かったことにするかもしれないよ」と言われた。
自分が得をするために、地位は下の彼との契約を、父が白紙にする可能性は十分に有ると思った。
なので、父には何も言わなかった。
しかし、彼の手腕は実に見事だ。
初めての視察時に専門家を呼び、鉱山が枯れたのか調査を行った。そこで、まだ出土の見込みはあると診断された。今まで掘り進めていた方とは少しはずれた方角に掘れば良いようだ。
また、新たな産業としてワイン農園に適した場所を探したり、自生していた雑草が他国で染料の材料になっていたなど、領地改革に嬉しい兆しもあった。
彼が領主になれば、領民が豊かになると確信が持てた。
彼と二人で視察旅行。
楽しかった。
本当に。
馬車の中で、領地の話や彼の経済理論を聞いたり、今度流行するドレスやスーツはどんな物になるのか、王都で流行っている小説などの話をした。
私には夢のような時間だった。
彼はいつもにこやかで、紳士的に気遣ってくれたし、時折見せる微笑みに私の胸はいつもときめいた。
ただ、一つだけ疑問に思っていたことがあった。
彼は私の前で必ず白い手袋をしている。
視察で別々に行動してるときや、孤児院に来ていたときは、そんな手袋はしていなかった。
「白い手袋がお好きなんですか?」
そう、質問したことがあった。
「好きと言うよりは、私の手で貴女を汚してしまわないか心配なのです。恥ずかしながら、貴女に会うときは緊張してしまって、手から汗が止まらないのですよ」
彼の苦笑した顔を覚えている。
思い返すと、彼の素肌に触れた事はなかった。手を繋ぐ時は手袋ごし、エスコートはスーツをきっちり着こんでいた。
そういえば、エスコートの時に彼が着ていたスーツを、再度見たことはなかった。
きっと、彼は全て処分していたのだろう。
「貴女が好きですよ」
幾度となくもらった愛の言葉は
「貴女を怨んでる」
と、裏の意味があったんだ。
彼を初めて見たのは、よく通っている孤児院だった。
私はその時、目立つ金髪を隠し、茶色のウィッグをつけ、大きな黒縁メガネと、質素なワンピースを着ていた。
週に一度は訪れ、院の掃除洗濯を手伝い、屋敷からこっそり持ち出した食材で料理を作り、子供達と遊んでいた。
また、希望者には簡単な計算のやり方や文字を教えていた。
私も家庭教師に少し教わった程度だったが、子供達に教えるには十分だった。
この孤児院を卒業したとき、少しでも彼らの力になれば良いと始めた事だ。
『本』は貴重なもので、持ち出すことはできなかったが、不要な紙切れを集めて、自分で考えた物語を書き、皆に文字を教えた。
自分の物語を書いて教えるなど、とても恥ずかしかったが、子供達から強い要望もあり『ラウトゥーリオの丘』を書いた。
そして、私の小さな努力が1人の少年の未来を大きく変えた。
ハイルディー商会から声をかけてもらえたのだ。
その子を皮切りに、私が勉強を教えた子供達の多くがハイルディー商会の斡旋する職場に働くことができた。
私の小さな努力が報われて、とても嬉しかった。
ある日、彼はやって来たのだ。
流行りの馬車に乗り、質の良さそうなスーツに身を包み、子供達一人一人に声をかけていた。
子供達が泥のついた手で触ろうが、足に泥が跳ねようが、彼は子供達と遊び、話を聞き、希望者には将来ハイルディー商会で働いてほしいと、輝くような笑顔で話していた。
私は彼に恋をした。
孤児院の手伝いをしているときは、とても会えない。
こんなみすぼらしい格好を、貴族の娘として意中の殿方に見られるのは恥ずかしい。
物陰からこっそりと彼を見るしか…。
深い海のような青い髪。エメラルドグリーンの瞳が美しい。
そして全ての人に、公平にチャンスを与えようとする。孤児と蔑むことなく、その人の能力と可能性を見てくれる。
容姿だけでなく、考え方も素晴らしい彼に私の心はときめいた。
彼を見かけてから半年が過ぎた頃、孤児院に訪問していた彼が血相を変えて帰ったのだ。
それから孤児院で彼の姿を見ることはなかった。
×××
彼を見かけることがなくなって一年半。
寂しく思っていると、父親から見合いをさせられた。
相手は私か双子の姉ミリアリア、どちらかと結婚したいと申し込んで来たそうだ。だが身分はジェントリと低く、父は縁談を断るだろうと思っていたら、予想を裏切り承諾したのだ。
相手はとても裕福らしく、結婚が決まったら我が家が抱える借金を、全て肩代わりしてくれるそうだ。
貴族にとって『ジェントリと結婚』は生け贄のように思われていた。
金の為に『貴族の血』を売る行為だと、蔑まれていた。
しかし、負債を抱える領地や爵位を金に変える貴族は少なくなかった。
父は愛想の良いミリアリアを高位貴族に嫁がせ、自らの血脈を高位貴族に押し上げる。そして旨味の失くなった子爵領を可愛げのない私を生け贄に、ジェントリの青年に売り付ける算段なのだろう。
本当は見合いの日、ミリアリアも一緒に会うはずだったが、父の差し金か、ミリアリアは現れなかった。
でも、それで良かったと、その時、彼の顔を見てそう思った。
見合いで現れたのは、孤児院に来ていたリューベック・ハイルディー。その人だったからだ。
彼は紳士らしい微笑みと、上品なスーツを着こなしていた。
「リューベック・ハイルディーです。お会いできて光栄です」
見惚れるほど、美しい笑顔がそこにあった。
「レディ?」
「あっ、エリーゼ・ローベンシュタインです。わたくしもお会いできて光栄です」
とてもぎこちなくカーテシーを行った。
顔が赤くなってなければいいけど…。
彼の微笑みを直視できず、庭に設置したお茶セットでおもてなしをした。
とても和やかな時間を過ごした。彼はミリアリアが来なかった事を特に何か言うことはなかったし、気遣いも紳士的で、ますます彼が好きになった。
それなりに談笑したのち、彼はある話題を切り出した。
「《ラウトゥーリオの丘》を知っていますか?」
私はギグっとした。
孤児院で話したことはないし、私の本当の名前を子供達は知らない。
髪の色も変えてるし、顔だったメガネで目立たないようにしてある。
私だとわかるわけがない。
でも、私だとわかって、結婚の申し込みに来てくれたのなら…。子供達から『ラウトゥーリオの丘』の話を聞いて、確認するために聞いてきたのなら…。
もしそうなら、なんて素敵な事だろう。
「《ラウトゥーリオの丘》は…私が考えた童話です」
とても恥ずかしかったが、嘘をつくことでもなかったので、そのまま答えた。
変な女と思われたかしら…。
彼は一瞬驚いた表情をして、笑った。
「貴女を探していたんだ。どうか、私と結婚してほしい」
その言葉に、私は天に登るほど嬉しかった。彼は私に気づいてくれたんだ。孤児院でみすぼらしい格好をしていた私を。
もちろん、すぐに婚約をした。
式は半年後とトントン拍子に決まった。
その後は盛大な婚約披露パーティーをしたり、ミリアリアの婚約者を探すパーティーを何度となく開いた。
その一方で彼と一度だけ、お父様に内緒で領地の視察に行った。
両親には彼が経営するリゾート地に観光デートすると言った。
領地は王都からそんなに離れていないので、3日で行ける距離だ。
彼曰く「負債だけの物件を持ってても意味はないから、手直しできるところがないか調べたい」とか。
「お父上には内緒だよ。領地にまだ旨味があるとわかったら、僕たちの婚約を無かったことにするかもしれないよ」と言われた。
自分が得をするために、地位は下の彼との契約を、父が白紙にする可能性は十分に有ると思った。
なので、父には何も言わなかった。
しかし、彼の手腕は実に見事だ。
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また、新たな産業としてワイン農園に適した場所を探したり、自生していた雑草が他国で染料の材料になっていたなど、領地改革に嬉しい兆しもあった。
彼が領主になれば、領民が豊かになると確信が持てた。
彼と二人で視察旅行。
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本当に。
馬車の中で、領地の話や彼の経済理論を聞いたり、今度流行するドレスやスーツはどんな物になるのか、王都で流行っている小説などの話をした。
私には夢のような時間だった。
彼はいつもにこやかで、紳士的に気遣ってくれたし、時折見せる微笑みに私の胸はいつもときめいた。
ただ、一つだけ疑問に思っていたことがあった。
彼は私の前で必ず白い手袋をしている。
視察で別々に行動してるときや、孤児院に来ていたときは、そんな手袋はしていなかった。
「白い手袋がお好きなんですか?」
そう、質問したことがあった。
「好きと言うよりは、私の手で貴女を汚してしまわないか心配なのです。恥ずかしながら、貴女に会うときは緊張してしまって、手から汗が止まらないのですよ」
彼の苦笑した顔を覚えている。
思い返すと、彼の素肌に触れた事はなかった。手を繋ぐ時は手袋ごし、エスコートはスーツをきっちり着こんでいた。
そういえば、エスコートの時に彼が着ていたスーツを、再度見たことはなかった。
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