真実は仮面の下に~精霊姫の加護を捨てた愚かな人々~

ともどーも

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3話 仮面の真実

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 仮面を着けて倒れたローズ。
 今は王太子妃専用の部屋に寝かせられていた。

 外では、王都に飛来したワイバーンを退治する騎士や魔導師の怒号と、逃げ惑う民の叫び声がする。

「精霊姫様、お助けください!」
「聖域を返して下さい!」

「なぜこんな事になってしまったんだ。アンリーナが居なくなっても聖域は存在していたのに、なぜ突然消えたんだ」
 フレデリックはローズの顔を見ながらブツブツと呟いていた。



×××



 一方、倒れたローズは夢?を見ていた。

『ローズ、久しぶり?でいいのかしら』

ーーーアンリーナ…。何でアンタがここにいるのよ!てか、何をしたのよ!

 夢?に出てくるアンリーナは、あの卒業パーティーの格好をしていた。
 捕まえて、ひっぱたいてやろうと近づこうとするが、足が動かない。

 アンリーナは口元を扇で隠し笑っている。
『貴女、今頃怖い顔して私に掴み掛かろうとしているんでしょうね。フフフ、バカね~』

ーーーなんですって!アンリーナのくせに!!

『これは仮面に残しておいた、設置型魔法。手紙みたいな物ね。だから、貴女の口汚い声など私に届かないから、叫ぶだけ無駄よ。私は言いたいことを言えるから最高だけどね🎵』

ーーーなっ、なっ、酷いわ!悪魔!

『貴女がこの魔法を見てると言うことは、聖域が無くなったのね~。そして、神聖力査定されたけど、神聖力が確認できず、誰かにこの仮面を着けさせられた。そんなところかしらね』

ーーーぐっ、本当に手紙なの?まるで見てた様に言うのね。

『みんな、さぞ驚いたでしょうね~。馬鹿なフレデリックは半狂乱かしら?ざまぁみろ~』

ーーークソ、クソ!

『さて、時間も限られいるから本題に入りますか。フフフ、簡単な種明かしよ。なぜ聖域が消えたのか。気になるでしょ?』

ーーーどうしてよ…。

『フフフフフフっ、アハハハハハ!バカね、本当に馬鹿。そんなの私、アンリーナが『精霊姫』だったからに決まってるじゃない』

ーーー違う違う違う!!

『アハハハハハ!良いわ~🎵バカ面のローズが目に浮かぶわ~。フフフ、本題、本題。私が消えたのに、なぜ聖域があったのか。それは、この仮面よ』

ーーーそんな薄気味悪い仮面が何だって言うのよ!

『五歳から、ずっと着けている仮面は私の神聖力を帯びていたの。簡単に言うと、神聖力を充電してたのよ』

ーーー充電って…。

『で、充電が切れたから聖域が無くなった。そうそう余談だけど、ローズがフレデリックと教会に押し掛けた日、貴女、胸にブローチしてたでしょ?私の部屋から持ち出した』

ーーーなっ、なんで知ってるのよ!

『あの日、水晶が光ったのは、ブローチに溜まってた少しの神聖力に反応しただけ。ただそれだけだったのよ』

ーーーそんなことない!だって私は

『《精霊姫の加護を貴方に》だったかしら』

ーーーなっ!

『精霊女王の加護を受けた少女が、王太子フレデリック、側近アックス、騎士団長子息ローランド、宮廷魔導師子息レイとの心踊る恋愛を楽しむ乙女ゲーム』

ーーーあっ、アンタ。アンタも転生者…!

『遊ぶ分にはフレデリックの馬鹿さ加減は可愛いものだし、歯が浮くようなクサイセリフもあの綺麗なスチルごしで見るから良かったのであって、現実に居たら失笑ものよね』

ーーーなっ、なっ。

『ローズ、あんなのが良かっのね。頭がお花畑のお・バ・カ・さ・ん❤️』

ーーーアンリーナーーー!!!
 怨嗟のこもった叫び声を上げる。

『私達、五歳までは仲の良い姉妹だったのにね~。突然貴女が私を階段から突き落とすまでは』

ーーーなっ、何を言ってるのよ!あれはアンタが勝手に落ちた事故だったじゃない!

『顔色が悪くなっているのでしょうね~。背中を押された後、走り去るローズを私は見ていたのよ』

ーーー違うわ、事故よ!

『あの日から環境が一気に変わったわ。両親にフレデリック、使用人達の態度ですら。全てローズ中心になったのよ』

《精霊姫なんだから、貴女は何でも持っている、何でも出来る。アンリーナは特別な存在だから完璧で居なさい》

 母親の声とダブって聞こえる。

《可哀想なローズ。アンリーナの影になって可哀想。アンリーナは世界に愛されてる、けど、私達はローズを愛しているわ》

《アンリーナに俺は必要無い。あいつは完璧な存在だ》

 今度はフレデリックの声だ。

《俺なんて精霊姫を繋ぎ止める楔に過ぎない。そんな人生ごめんだ!俺が必要としてるのはローズ、お前だけだ》

『ローズ、私が怪我をして寝込んでいるとき、部屋に来てこう言ったわね』
《私がこの世界の主人公よ!偽物の精霊姫は要らないのよ。アンタが死ねば、精霊姫は私よ》

『ローズが転生者だとすぐにわかったわ。そして、仲良く出来ない存在だと』

ーーー私だって、アンタなんか!

『ローズ、貴女《魅了》の魔法を使ってるでしょ?もしかしたら、自分で気がつかないうちに使っていたのかしら?』

ーーー魅了?

『貴女が出会う人、特に男性や、貴女に同情心がある人はこぞって魅了されて行ったわね』

ーーーなっ、なに言ってるのよ!そんな事無いわ。フレデリックだって、アレックス、ローランド、レイだって、全て完璧な選択を選び、イベントを達成していったからよ!彼らの愛は私の魅力によるものよ!

『別に責めたりしないわ。貴女のお陰で、王国に縛られるはずだった私は解放されたんだもの。ローズありがとう。でも、階段から突き落としたこと、盗賊に依頼して襲わせたことは別』

 アンリーナが扇を閉じた。

『貴女に一番ふさわしい罰を与えてあげる』

ーーーなによ偉そうに!

『魅了魔法を封印するわ』

ーーーはっ。

『フレデリックが婚約破棄を言い出すまで、貴女に手が出せなかったのが、本当に苦痛だったわ。早く貴女の化けの皮を剥いでやりたかった』

ーーーこっ、このタイミングでそんな事したら…。

『フフフ、聖域が消滅し、王国は大混乱。貴女のナイト達はこぞって貴女を頼りにするでしょう。魅了魔法から解放されたナイト達はどうするのかしらね~』

ーーーやっ、やめて…。

『王国が魔物に食い潰されるのが先か、民の暴動で滅ぶのが先か…。すべては貴女がゲーム感覚で生きてきた責任よ』

ーーーやめて、やめて!

『さよならローズ』

ーーーいやーーーーーーーー!!!
 辺りが光に包まれる。
 そして、アンリーナの姿もローズの姿も光の中に消えていった。
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