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7◆ラピスラズリ視点

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今日の私は魔王として、仕事に励む。

机に向かい、書類を睨み、筆をとって………カリカリカリカリ。

魔王魔王と恐れられているけれども、やってることは他所の国の王様と同じだ。

書類仕事だったり、謁見だったり、場合によっては視察だったり………。

意外と王というモノはつまらない生き物だ。

今のところ私はずっと独身である。

そろそろ結婚してもいい歳なのに、未だに嫁をもらえていない。

何故なら、女の子にフラれる傾向にあるからだ。

………だから強引な手段だけれども、拐うという方法で嫁を手に入れようとした。

なのに、連れてきてしまったのは男で………しかも勇者。

仲良くなろうとは思っているけれども、嫁にできるかと言われると、男だから考えものだし、そもそも勇者だからどうしたらいいのかちょっと悩む。

悩んで悩んで………。

そんな時は、きっとスイーツがいいだろう!

美味しい物はきっと心を和ませるはずだ。

ということで、早速親睦を深めるためにスイーツを作ろう。



「ディラン!私が作ったスイーツを食べてくれ」

「スイーツ……え、スイー……ツ!?」

私の自信作なスイーツ。

栄養も美味しさも彩だってばっちしな素晴らしい一品だ。

「質問していいだろか?それはタルトだろうか?」

「そうだ!見ての通りタルトだ。美味しそうだろ?渾身の作だから召し上がれ♡」

緑のタルト生地には、回復薬にも使われている薬草。

これで疲れた体も元気いっぱいだ!

使用した青いクリームには、美肌効果があると言われているとある蛇の生き血。

ディランの美肌のために、蛇を生け捕りにして手に入れた。

これでディランは、ぷるるんとした潤い美肌になる。

ディランのモテ度に貢献さ!

上に乗っている数々の果物は、カラフルなレインボーブドウ。

黒、紫、ピンク、緑、白………エトセトラ。

このブドウは、カラフルなことが有名だ。

しかし、色はたくさんあるがどれも同じ味だったりする。

レインボーと言ってはいるが、実質色は複数ありすぎて七色ではない。

「味の保証はしている。栄養価もバッチリだ。今回は彩だってしっかりしているだろ」

「ラピス……お前スイート作りに向いてないよ………」

自信満々にススメたのに、何故かディランの魂が半分抜けかけたような……死んだ魚の眼になっている。

何故だ。

こんなに美味しそうに出来上がったのに………。

解せぬ!
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