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私も、女なんですけど
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しおりを挟む結婚だって意識していた。
時代錯誤というか偏った考えもあるけれど、昔のまま変わらない男らしさや明るいところは好きだった。
せめて円満に終われば良かったのになぁ、親にも説明しなきゃなぁなんて気が重い。
振ってスカッとした部分もあるけれど、思い出の中の素敵な彼まで汚れてしまったようで辛い。
受験勉強に付き合ってもらったり大学祭に遊びに行ったり、楽しく過ごしていたのに。
私の初めての相手はもちろん彼だったし、互いにそうだった。
狭い世界で自己研鑽をサボったから、みたいなことなのか。
自分を作り上げて来たものが崩れて行くようで喪失感に身が潰されそうだ。
「(帰ったら、私物をまとめて、いや、先に連絡先を消して、まさか追いかけて来ないよね?家にも…あ…しんど…)」
足元がおぼつかなくなり、私は駅のホームのベンチにだらんと掛けた。
痴情のもつれで殺傷事件とか嫌だなぁ、投獄覚悟で飛び掛かって来たらどうしよう。
どこまでも下がる彼の信用。
そういえばオンラインゲームのリバーシで対戦した時に、自陣の不利を悟ったら衝動的に通信を切って逃げてたっけ。
私の方は相手がいなくなったので試合自体がノーゲームとなり終了、彼は『引き分けだな』と後で連絡して来ていた。
今回は逃げなかったからその分大人になったのかな、ドッと疲れが押し寄せて体が重い。
周囲を確認してから電車に乗って、用心しつつ家に帰った。
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