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信頼を吹っ飛ばしたのはキミ
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しおりを挟む「…先輩、本当はサバサバ系?」
「さぁね、大雑把系だよ」
「ふーん、なら絶対、そっちの方が良いですよ。かわい子ぶってるより好感持てます」
「あーそう、ありがとぉー」
もうこれは実質別れ話だろう。
もはやバスローブで居るのも恥ずかしいから服を着たい。
なのに、彼は私が脱ぎ落とした服をホイホイ拾ってニタニタ笑い始めた。
「先輩、ついでだから最後までシましょうよ」
「はぁ?嫌よ、もうあんたとは…付き合っていけない。それ返して」
「ビンタしちゃったし通報するでしょ?だったら最後までシちゃっても同じですよね」
「同じじゃないし!ていうか通報なんてしないよ、面倒は御免だもん!だから何もせず帰ろ、」
この辺りで、やっと私にも危機感がじわじわ湧いてきた。
泣かせたくてビンタする奴はきっともっと手酷いことをするだろう。
力任せに強姦などされてはさすがに私も泣いてしまう。
私の悲鳴をコイツの興奮材料にしてたまるか、しかし脱ぎ去られたバスローブの下から現れたゴリゴリの筋肉に血の気が引いた。
がっつり鍛えられた肢体は努力の賜物だろう。
普段のオーバーサイズの服はそれを隠すためだったに違いない。
どうして隠すかって、己のイメージを保つためか女を油断させるためかのどちらかだろう。
本気でネジが飛んでる奴なんじゃないの、一歩こちらに近付かれただけでぞわぞわ悪寒が走って肝が引き締まる。
「ねぇ、危ないことしないで、手が出るから」
「僕は叩かれても構いませんけど」
「あーそう、じゃあやられたらやり返すからね、正当防衛だからね!」
これを宣言しておかねばならない、これは私の身を守るための保険である。
「(…過剰防衛になると…面倒、マジ面倒!)」
コイツがただのもやしっ子ならなぁなぁでも勝ち目はあったはず。
しかし意図的に増やした男性の筋力には全力で向かわねばこちらの身が危ない。
「(負けたらレイプ、勝ったら破門…どっちも面倒…穏便に、穏便に……あ、来る!)」
「先輩、こっち、来て」
「いやっ……ふっ!」
掴まれそうになった手首を払い、バスローブを正して脚を開く。
もうやるしかないのだ。
処女でもないし今さら惜しむ体でもないけれど、どうせ抱かれるなら心から私を好いてくれた人に捧げたい。
「なん…」
存外に強い力に驚いたのか、彼は分かりやすく意地悪な顔をしてまたこちらへと迫って来た。
「来ないで、本気出すよ、」
「何言ってんですか…ほら、楽しいことしましょ」
「あーもう、もう!正当防衛だからね‼︎」
どうなったって知るもんか。
組もうと伸びてきた腕を手の甲で払い、「セイッ」と彼の鍛えた腹部へ正拳を1発入れた。
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