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信頼を吹っ飛ばしたのはキミ
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しおりを挟む「…そうなんだ」
「先輩が初めての彼女ですよ、ホテルも初めてですし。言ったでしょ、モテたこと無いって」
「…え、じゃあ…その、エッチの経験も無いの?」
「当然そうですよ、童貞です」
何故だか誇らしげに、彼はふふんと笑う。
「何なの、その虚勢」
「虚勢ですよ、それ以上でも以下でもありません。カマしてやろうと思っただけです」
「はぁ……経験無し童貞ならさぁ、ほら、もっとさ、人を選ぶというかさ、」
語弊があるかもしれないが、彼には『分相応』という言葉を教えてあげたかった。
派手なら派手な、地味なら地味な。
見た目で全ては決まらないけれどある程度キャラクターによって住み分けがされているのだから、自分の居る区域の中で彼女を選ぶべきではないのか…と私は言いたいのだ。
私はビジュアルも明るい性格も手伝って、高校のクラスの序列で言うところの一軍メンバーであった。
それを本人が言うところのモサい男子が狙いに来るというのは、成功して金星ではあるがチャレンジが過ぎるだろう。
今の見た目だから自信を持っているにしても、深い付き合いになれば殻が剥がれるだろうし微妙な価値観の差などが露呈してやっていけない気がする。
決して、決して彼やその周辺の人を貶すつもりは無いけれど、高飛車に見えてしまっても疑問なのだから聞いておきたい。
「えぇ、そうですね」
「もっと大人しそうなさ、女の子も沢山いるじゃん」
「……だから、他大学の先輩で練習を積んでから身近な大人しそうな子と付き合おうと思って」
「……歯ぁ食い縛れ」
「待って、やだ、先輩‼︎冗談‼︎」
笑えない冗談は聞くだけ無駄だった。
まぁそれが本音ならある意味スッキリするが。
遊びの相手なら充分だけど結婚までは考えてないみたいなことでしょう、若いくせに計算高くて嫌になる。
まぁ女だって同じことを思うかもね、恋人にしたいタイプと結婚したいタイプは違うと思うし。
でも使い捨てられる当事者になるなんて不本意だし腹が立つ。
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