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調査・神戸
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しおりを挟む翌日は県中央部の店舗を回り、また翌日…僕は大都市・神戸へと踏み込んだ。
東部に行くほど人柄も言葉も関西色が強くなっていくのが面白い。
さて、市内の店舗の1つにも皇路に馴染みのあるスタッフがいたのを思い出し、本業が終わってから話をしてみた。
「和田くん、そういえばさ、皇路本店に少し居たじゃない?浜田くんって覚えてるかな」
ここの副店長を務める和田豊章(39)も、かつては皇路の店舗に在籍していた。
法人事業部にて営業を担当した後に北店の店次長となり、本店の清里所長の産休の間の留守を任され派遣されていたのだ。
時期としては浜田が本店に来た頃と被ってはいないのだが、何か情報があればと思った。
「浜田……いや、北店に戻った後に転勤して来たんと違いますかね。ほんまに4ヶ月くらいしか本店には居てなかったんで」
「そうか、分かった」
「なんぞありましたか?」
和田くんは主張の強い眉をぐねぐね動かして、空気をピリつかせる。
彼は強面と呼ぶよりは端正な顔立ちなのだが、男らしいというか雄々しいというか、獣っぽさがある。
例えばライオンを擬人化したような猛々しさ、それに最近は艶っぽさが足されて男の色気に満ち満ちている。
褐色の肌に漆黒の髪がそう感じさせるのか、気品と自信はまさに王者の風格であった。
その王の表情が険しくなるものだから一瞬「おぉ」と驚くも、人柄を知っているので僕は狼狽えはしない。
「いや、私的なことなんだよ。男女関係のもつれと言うか。ぐちゃぐちゃに掻き回して転勤して行ったんだ」
「業務に支障が?」
「いやいや。あくまで、私的なことだよ」
浜田くんの私的ではなく僕の私的なんだけどね、情報は最低限しか開示せず話を終わらせるつもりだった。
しかし和田くんは
「それやったら、うちのアイ…吹竹に聞いたったらええですよ」
と新たな証言者を紹介してくれた。
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