Fragment-memory of secret garden-

黒乃

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淫蜜に絡む(下)

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玩具/放置プレイ/射精管理/拘束/乳首責め/言葉責め/目隠し/若干のNTR/シリアス
Fragment一部作目 第九十節閲覧後推奨

淫蜜に絡む(上)の続き






















 上体を起こされ股を開かれた体勢はそのままだった。体の自由は未だ解かれていない。横たわりたくてもそれは叶わず、まるで壁際に押し付けられるような感覚に陥る。視界の情報は遮断されているため、どの程度時間が経ったのかも判断ができない。

「あッ……ひ、ィ……!」

 吸引具は乳首と乳輪全体を囲む程度の大きさであり、そこをぷっくりと膨らませるかのように吸引し続けている。中に装填された樹脂製のブラシは回転しながら、胸の果実を洗うかのように規則的な責め苦を、丁寧にヤクに与えた。

「こん、なもの……でッ……!」

 吸引具の内側にもブラシにも、催淫効果のあるローションは惜しげも無く使われている。最初こそ痛みしかなかったはずの肉芽は淫靡な熱を帯び始め、快感が小さく呼び起こされていく。
 目隠しの布に付着したローションの香気も鼻腔から体内に侵入し、体の芯が解されていく。じんわりと焦ったい快感が全身へ浸透していくような感覚に、ヤクの体の淫らな本能が刺激され始めた。

「は……はぁッ……ン、ぅ……!」

 また熱を感じ始めたのは何も、乳首だけではない。ローションを全体的に塗りたくられた張り型を収めている肉壺の壁が、じっくりと時間をかけて蕩け始めていたのだ。分泌された体液と混ざったローションに直に吸着した肉壁が蠢くことで、その効能を予想以上に早く吸収しているのだろう。その影響なのだろうかと、輪郭を失い始めた理性で思考する。

「あッ……や、めろ……こする、なッ……!」

 乳首の責め苦に呼応して、後孔が微かな収縮を繰り返す。その度に雄の肉瘤を生々しく表現した凹凸が肉襞を優しく擦り、奥に眠る快感を呼び覚まされていく。艶っぽい吐息が漏れ、淫蕩な空気を纏わせ始める。

 全身をゆったりと流れ始めた快楽の波が、ヤクの花茎を淫らに成長させていく。しかし嵌められたリングが貞操帯の役割を果たしているためか、射精感は強制的に抑制されてしまう。
 このリングが樹脂製で助かった。金属製のものだったら、痛みでどうにかなりそうだと予感させられる。

「ン、くぅ……」

 渇き始めた口を閉じ、唾液を飲み込む。
 全身をじっくりと嬲られる感覚は、ヤクの思考を確実に削ぎ落としていく。両の乳首はジンジンと痺れ、肉壁は呑み込んだ張り型を切なく抱擁する。

 まだこの程度の責め苦ならば、耐えられないことはない──。

「ァあっ!?ぅうッ!」

 しかしそんな考えは、内腔で突如振動を始めたハリボテの怒張に砕かれた。白く塗り潰されていく理性でどうにか、自分が咥えているものがバイブだということにヤクは気付く。
 ただの張り型だと思って油断していた。小刻みに震える作り物の雄は、容赦なく肉壁を擦り上げる。肉襞たちは突然の刺激に動揺するも、やがて粘着質な愛液を纏わせて悦びの声を上げた。

「ンぁ──や、やめッ……止まれぇ、えぅう……!」

 既に催淫効果に苛まれ、彼の全身は淫乱に陥れられている。穏やかだった快楽の波は張り型の振動によって揺さぶられ、渦を巻くように激しく全身に行き渡った。
 ただしどんなに昇りつめたくても、貞操帯がそれを阻む。根元をがっちり締められた花茎は、先端からとぷとぷと淫蜜を垂らすだけで精一杯だった。

「ぁアんッ!だ、駄目だッ……わたし、はっ……!」

 そのほとんどが白く塗り潰された思考で、最後の抵抗を試みる。理性の崖から突き落とされた先に待っているのは、抜け出せない地獄の快楽だ。それは口を開け、今か今かとヤクを待ち構えている。これ以上飲み込まれてはいけない、堕ちてはいけない。

「あァ、ああ!なか、あッ、暴れるなぁア!」

 そんな僅かな希望を打ち砕いたのが、やはり蜜壺が呑み込んだ偽の雄だった。
 肉色の部屋を広げるように左右に震えるだけだったそれがヤクの雌を刺激するためか、突き上げの残酷な上下運動を始めたのだ。

「やめてぇえ!ぃや、ァあッ、おく、来ないで、ぇ……」

 やがて偽の肉竿自体が熱を持ち始め、ただでさえ爛れそうなまでの内腔の温度が上昇する。とろとろに蕩けさせられた肉壁はバイブを決して落とすまいと、ぎゅうぎゅうと締め付けを施す。そんな媚肉の抱擁を振りほどくように激しい突き上げをされては、まるで見知らぬ男に犯されているような錯覚に陥る。

 己は今、本当に玩具たちに犯されているのだろうか。もしかしたら装着された道具が男の姿に変化して、己を犯しているのではないか。
 通常のヤクならば考えられないまでの、知能の低い淫らな思考。口からは涎が垂れ、肌が粟立つ。喉からはとめどなく嬌声が漏れ、機械的な振動音と共にコーラスを奏でた。

 それでもやはり冷酷なリングは、ヤクの絶頂を決して許しはしなかった。

「んぁア、あひッ、うゥあ──ぁアっ……!」

 逃げ場がない快感は出口を彷徨い、ヤクの体内でのたうち回る。早く出してとせがまれるも、一番吐き出したいのはヤク自身だ。精を迸りたいと羨望するも、その願いが叶うことはない。

「あーッ!ぁふぅ、あっあァっ、あ、はぁアん!」

 バイブがさらに速度と勢いを増して、ヤクの媚肉をぐちゃぐちゃに解していく。とうとう彼の中でぷつん、と何かが音を立て切れた。

 助けて、誰かこの快楽の螺旋から出して。
 熱を吐き出したい、昇りつめたい、射精したい──。

 ……イき、たい……。

 ……イきたい、イきたいイきたいイきたいイきたいイきたいイきたいイきたいイきたい、イかせて──。

「だッ……だれ、かぁ……!」

 一際唸りを上げる機械音に混ざって、ヤクの懇願が嬌声と共に部屋中に響き渡った。

******

 機械音ばかり聞こえていたヤクの耳に、扉が開かれる音が届く。扉が閉じられると靴音が聞こえ、止まる。そして布が擦れるような音のあとに、己の前の寝台が沈む感覚を覚えた。
 理性のタガが緩んでいたヤクだったが、なけなしの気力を振り絞って顔を上に上げる。そんな彼にある男の声が降る。未だ視界は夜に覆われているが落ちてきた声の主は、己をこんな痴態に追い込んだ張本人だった。

「これはまた、随分な格好ですねぇ」
「ァ、う……ッ」
「ココもほら、こんなに淫らに濡らして」

 限界まで赤く染まった花茎の蕾を指でほじられ、発狂寸前の快楽がヤクの全身を震わせる。一直線に駆け抜ける白い閃光に、彼の全てが切り裂かれていく。

「あアんッ!!」
「どうです?イきたいですか?」
「ッた、い……ッ……イきた、ィいっ……!」
「ならば、私の指示に従うと誓ってくれますか?」

 優しい声色とは裏腹にヤクの性器を扱くヴァダースの手は、一切の容赦なく彼の淫欲の導火線に火をつける。喉を震わせ身悶えるヤクは矜持も羞恥も、何もかもかなぐり捨てて嬌声混じりの誓いを口にした。

「んンァあっ!ち、誓うッ……ちかぁ、うから、ァあッ……ぉね、がぃ……イかせ、てぇッ!!」

 まるで子供が駄々をこねるかのように、ヤクはヴァダースに縋る。最早いつ爆発してもおかしくないヤクの体に、彼の精神は平伏すしかなかったのだ。 

「……いいでしょう」

 目隠しの布の結び目が解かれる。涙でぐじゅぐじゅに濡れたそれが剥ぎ取られ、ヤクの視界にようやく光が戻った。ゆっくりと輪郭を取り戻した視界の目の前には、素肌を晒しているヴァダースの姿が映る。するりと優しく頬に手を添えられ、微笑みながら語りかけられた。

「酷い顔ですねぇ」
「お、ねがッ、ぃ……も、もぅ……わたひ……」
「よく頑張りましたね。わかりましたよ、私も少々意地悪が過ぎました。あとは存分に溺れなさい」

 涙を舌で絡め取られるだけで、掻痒感に苛まれる敏感になった身体。ようやくこの溜まりに溜まった快楽から解き放たれるのかと安堵するも、ヴァダースはまず胸の吸引具を外すだけ。
 今まで吸引具の中で蒸れた空気に包まれていた赤い実は、ひんやりとした外気に晒されると痛いまでにツン、と張り詰める。乳輪の周りを囲むように付いた吸引具の赤い痕を、ヴァダースの細長い指でなぞられた。直接的に肉芽を触られたわけでもないのに、下肢が燃えるように熱く痺れる。

「はァあ──」
「ここもこんなに膨らませて……本当に貴方ははしたない人だ」
「なん、でッ……イかせッ、てくれ……るって、ぇ……!」
「すぐにイかせる、なんて言ってませんよ。貴方が勝手に勘違いしたのでしょう?」
「ひど、ぃ……!」
「何を今更。今は協力関係とはいえ、元々私たちは敵同士……そうなんでしょう?」

 その言葉は、ヤクがヴァダースに放った言葉だった。さらりと残酷に告げられ、ヤクはまだ続く淫獄に絶望の雫を零す。
 ヴァダースはそんな彼を慰めも哀れみもせず、ただヤクを抱き寄せ首筋に唇を落とす。そして徐にヤクの股間へ手を伸ばし、彼の媚肉を陵辱し続けているバイブを一気に引き抜いた。ずるり、と蕩けきった肉壁を一気に擦られると衝撃が駆け抜け、ヤクの快楽神経は淫らに逆撫でされる。

「ひィい、アああッ!!ァ……な、かぁ……!」
「まったく、こんなに蕩かして。玩具だけでここまでになるなんて、とんだ変態ですね」

 じゅぶっ、と淫靡な水音をわざと聞こえよがしに立たせながら、ヤクの淫孔にヴァダースの指が突き立てられる。透明な愛液は一気にヴァダースの指に絡みつき、肉壁は卑猥に唸りながらねっとりとそれを咥えた。
 ヴァダースの指はすぐにヤクの一番弱い部分まで辿り着き、彼を雌に変えてしまうしこりを何度も押し上げる。一押しされるたびに身体がそれを喜悦と捉え、愛液の涎をこれでもかと淫孔から垂らしていく。

「あッ、あ、ァあ、やらァあっ」
「本来敵である私の指をこんなに一生懸命に咥えて……。いじらしいじゃないですか」
「イく、イかせッ、て……!もぅ、やらぁ……わらひ、壊れッ……!」

 いやいや、とかぶりを振る。快楽の槍が全身に突き刺さるも、何処も急所を外すものばかりで身悶えていた。
 もういっそのこと壊れてしまえたら。淫欲の海に沈みきれたら、どんなに楽なことだろう。

 懇願を繰り返すヤクに、ヴァダースもようやく折れてくれたようだ。絡まれていた糸が解かれ、自由になった体は支えられながらベッドに沈む。見上げた視線の先には、ヴァダースの張り詰めた肉茎が存在感を露わにしている。彼の手がそっとヤクの花茎に触れ、そこを苦しめていたリングをゆっくりと外していく。彼の指が茎に掠めるだけでも、すぐにでも蜜が噴き出しそうだ。

「ぁん……あッ……」
「焦らして申し訳ありませんでしたね。今度こそ本当に、貴方の望みを叶えてあげますよ」

 くちゅ、と亀頭が愛液塗れの後孔の入り口に触れる。一瞬だけ時間が止まったかのように思えたが、次の瞬間には熟れきった蜜壺にはち切れんばかりの肉棒が根元まで突き刺さった。蕩けきっていた媚肉は血の通った雄に飛沫を上げ、大きく痙攣する。
 リングの拘束から自由になった花茎は待ち侘びた肉欲に、蕾から白い雄叫びを思い切り噴出させた。ようやく見つけた快楽の出口に、ヤクは弓なりに背を反らしながらその波に溺れる。

「アッ……あぁあッ──」
「クッ……っ、ふふ……。ええそうです、乱れてしまいなさい。そんな貴方も、好きですよ……!」

 ヤクが落ち着くのを待たず、ヴァダースが腰を打ち付け始める。悲鳴じみた嬌声をあげながらヤクは揺さぶられ、ヴァダースの男根を媚肉でしっかりと味わう。

「あぇう、あッ、はぅう!」
「存分に味わいなさい、付き合ってあげますよ……!」
「あァ、あ、アあんッ!!」

 一突きされるたび、終わりない肉欲の飛沫がぷしゅぷしゅと蕾から溢れ出す。ヤクの全身の筋肉が、骨が、脳幹までもが、白い快楽に塗り潰される。今はもう貪欲に叩きつけられる肉棒を堪能すること以外、考えられない。

 もっと強く、もっと奥深く、手足の先の爪の先まで。濃厚で粘着質な清濁で満たされたい。淫欲の海で溺死したい。

「あッ……ァあ──ッ……!」

 ヤクの肉欲塗れの狂乱に震える淫獄は、まだ始まったばかりであった。
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