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第2章 悪魔の思惑

86話 森の魔物[5]

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〈呼んだか?主〉

「魔族ってなにか分かる?」

〈魔族?あー…あれだな、多分…魔人族っつう種族だな。それがどうした?〉

「この大陸にも居るの?」

〈この大陸に…っつうか、んー…そうだな。
大陸の説明をするか…
まず、この世界の人間は大きく分けると人族、亜人族、魔人族、獣人族の4種族で構成されている。
んで、その中でも人族と、亜人・獣人族の何種かは地上に住んでいて、残りの種族は地下に住んでいるんだ〉

「てことは、魔人族は地下の人間?」

〈ああ。ただ、魔人族はどの時代でも地上を欲しがってんだよな。
だからか、何かと理由を付けては侵略してくるんだが…
まぁ、どの時代でも結局は失敗してるなぁ…〉

そう言いながら、ベルは呆れたようにため息をついた。

〈ああ、だが今回はどうだろうなぁ…勇者としてお前らが召喚されたからなぁ…〉

「え、どういうこと?私達が召喚されたから侵略されるの?」

〈いや…まぁ、その可能性はあるんだが…問題は、魔人族の侵略が毎回失敗に終わる理由が勇者にあるからなんだ〉

「えっ…まさか、魔人族を倒す存在だから?いやでも、勇者1人でそんなことはならないと思うけど…」

〈いんや、実は勇者は人類の希望、魔王は魔人族の希望とされているが、
実際その2つの存在は唯一無二の血を分けた兄弟だったんだ。
んで、いつの時代もその2人は仲が良いから、魔人族が侵略する度に勇者と魔王、それと侵略したくない派の地下住人と侵略を止めたい派の地上住人が束になって侵略者を倒しに行くからな。
そりゃあ、質も量も桁違いの防衛軍が勝つよなって話なんだが…
魔王は既にこの時代も覚醒している。
しかし、今代の勇者が覚醒していないせいで、記憶の継承がされていないんだが…
問題は、記憶の継承なしじゃあお互いが兄弟だって分からないし、
そもそも勇者がその世代に現れると記憶の継承は絶対に行われないから…〉

「…その分、侵略軍を止める質が下がる…でも、勇者1人でそこまで変わるの?」

〈ああ。というより、勇者と魔王は元々は神が種の繁栄のために創り出した新たな種族なんだ。
その名も、神人族…
そして、その2人はお互いが助け合うことにより真価を発揮する…〉

「なるほど…ってなると、この世界の本来の勇者を…」

〈侵略が始まるとしたら、なんとしてでも探し出して覚醒させなきゃならねぇ…だが、それができるのは…〉

「…あ、待って。できる…私これできるわ…よし、ベル。今代の勇者を探してきて」

〈何か算段があるんだな?…分かった、必ず連れてこよう〉

さて…侵略、って聞いたらそりゃあ阻止したくなるよ。確かにこの国は恨んでいたけど…今では、友達の方が多いからね。
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