もう惚れたりしないから

夢川渡

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31 不安定な心

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「おはようございますリーナ様」

「おはよう」

朝早くに起きて食事もせずに学校に向かった。
心の準備がしたかったからだ。
   





今日は午前中にコンサートの予行練習がある







小道具をどうしたのか

と聞かれてしまったら
答えざるを得ない。


この学校に、ルゼ様、レイン・ヘルさんを慕っている人は沢山いる。不快に思われてしまったらまた前回のやり直しになってしまう。









すぅ…


深呼吸をして教室へ入る。






特に視線も感じない。

……視線自体は常に感じているが……。







「リーナお姉様!」

っ?!?




「な、なあに?リアラ…早くに登校したのね?」

「リーナお姉様と一緒に朝食をとりたかったのに先に行かれてしまったからですわ!酷い!」



「酷いって……、、まぁ、悪かったわ…今日のコンサートの予行練習の準備をしたかったのよ」
「そうなのですね…?私こそ急に責めて…ごめんなさい」


ふふ



「急に笑ってどうしたのですかっ?!リーナお姉様!」






前回の人生はルゼ様意外とも関わらず、姉妹でこんな話をするなんてことはなかった。




(なんだかうれしいわ)



思わず笑みが溢れてしまう。




「なんでもないわ」



───────────────



それにしても、前世の私はよくあんな行動をとれたわね…


(恋は盲目…?)


ある意味ルゼ様のせいにしている自分がいることに嫌気が差した



(全て、私の行いのせい。すべて私が悪いのに。)

思考がぐるぐると回ってしまう。


はぁ、




いきぐるしいわ











───────────────








「これにて、予行練習は終了となります」





終わった





終わった…


やっと……


本で紹介するとしたらたくさん省かれそうな内容だった。







「おつかれ、リーナちゃん」


「お疲れ様メア」






今日はペアを組んでの練習だった。
メアと組んだ。良かった。安心。






終わったことの達成感と安心感で言葉をまとめられない。





特に小道具について聞かれることはなかった。
というか、今考えるとわかる自分の馬鹿さ。




普通予行練習で小道具を買った人を聞く人はいない。


何かを感じてもみんな空気を読むだろう。


ここにはリアラもミレイも居ない。


落ち着け私。












────────────

時間が戻ってから私自身が変わったことがある。








…考えすぎてしまうこと。



前世では恋にまっすぐ他は何も考えていなかった。


でも今は…



(傷つけるのが……怖い……)





苦しくなってしまう




「大丈夫?リーナちゃん」

「大丈夫、ありがとうメア」



なんとか表にこの不安定な心が見えないようにお祈りをした



午後の授業も頑張らないと



「行きましょう、メア」

「うん!!!」
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