無口で寂しがりのシシィは見放された嫌われ神官を極寒の檻に閉じ込めておきたい



「いいえ、何もお気になさらず。

 私の声などどうせ誰にも届かないのですから。

 …私も求めません。

 もう誰にも、何も、望みません。

 だから私の存在など気になさらないでください。

 “あの日”のように。

 無視してくださって、構いませんよ」




────────────────


王国最北端、氷雪の地『リーツェル』。
別名“常氷の死街地”と呼ばれるこの場所でアイファは暮らしていた。
たった一人、極寒の神殿神官として。
そこは、全てが吹雪と氷に閉ざされていた。
雪と氷の色のみに支配された世界だった。
食料どころか薪すら入手困難なこの地にアイファが追いやられたのは、もう五年も前のこと。
ただ静かに神への祈りを捧げ、じっと息を潜め、“あの日”を境に心に小さな波風は疎か些細な波紋の一つも立てないようにしてアイファは生きていた。
ただ淡々と途方も無い孤独と共に。

きっともう誰の心にも自分の存在など残されていないのだろうと、漠然とした諦観と寂寥だけをその身に宿し始めた頃の事だった。
あの日の自分と同じように、この極寒の地にかつての学友・タルシシオが“捨てられてきた”のは─────



謎多き無口な存在チート×濡れ衣で追放されたハイスペ神官
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