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許嫁のために、俺はここまでやりました。

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「と、言うわけで許嫁の件はなかったことに…」
「そ、そんな…」
うちの家はそこそこ由緒正しきものだったのだが、少子化の波はそれでもやってくる。
つまるところ、男が俺一人しか生まれなかったのだ。
ただ、腐ってもここまで生き残った有馬家。
許嫁を早いうちに用意して跡継ぎ問題うんぬんかんぬんをうまいことどうにかするらしい。
ただ、そういう意味で、子供のころから纏(まとい)家の娘、清香と一緒に遊んだりしたのは、そんなに悪いことでもなかった。実際もう昔なじみのような存在で、それにお互いがああ、まあ、許嫁なら仕方がないか、と、割り切ってしまえるくらいには、運命に対して文句をつける気にもならなかったのだ。
さて、そんな割と前から、20年近くも前から決まっていたそれを、どうして有馬家がひっくり返したのか?
客観的に見れば、うちの擁護をするつもりは全くないけれど、もし話が本当のことならば、たちが悪いことに原因は全くの別物だ。

清香が、男体化したのである。



やらかしたのはどっかの製薬会社。名前は伏せるが、そこが俺たちの家に何かしらの恨みがあったらしく、清香を生物的に男性のものに変えてしまったのだ。
割とあった胸は引っ込み、その代わりと言わんばかりに背丈はいきなり俺の身長を追い越し、あどけない顔立ちは残しつつも、随分とかっこよく男体化した…とのことだ。
とのことだというのは単純に、俺があれから彼女と二人っきりで話せていないからというのがあるが…どうも彼女の方が俺を避けているように思える。
どんな顔をして会えばいいのか分からないのだろう。俺だって気持ちはわかる。超わかる。
許嫁が解消されて、いままでと違ってどうかかわればいいのかもわからなくなってしまう…なんてことはなかったけれど、それでも男になってしまった清香の戸惑いはどう考えても尋常じゃなかったはずだ。いまならわかる。超わかる。
だからこうして、今日の俺は家の連中の反対を押し切ってこうして清香が一人で歩いているところを狙っているわけだが。ああ、まだ肌寒いな。いろんな意味で落ち着かない。いろんな気持ちがごちゃ混ぜになって、最悪清香が来なくてもいいかな?なんて思ってしまう。
すると、こちらへ向かって歩く影がある。男の影だ。ラフな格好をしているが、その表情は疲れ切っていて、今すぐにでも誰かが助けてやらないと、その辺で転びそうなくらいに元気がない。
ああ、間違いない。清香だ。
俺はしばらく避けられていたことなど忘れたように、清香の前に飛び出した。



「ふらふら歩いてると、躓くぞ。ほら、しっかり立て。」
清香は目をぱちくりさせる。ほら、やっぱり清香だ。こういう反応は全く変わっていない。
そして、一瞬戸惑ったのち、清香は、
「ええと、どうも、どちら様でしょうか?」
と、随分失礼なことを聞いてきた。
だが実をいうと、これに関しては、清香に非はないのかもしれない。俺のサプライズでもあるからな。
「お前の許嫁だ。わすれるなよ」
一瞬の間が開いた。
「…ええええええっ!?」
…ああ、ほんと。俺はいつもこうやって清香を驚かせるのが好きだった。今回も事態が呑み込めていない清香をにやにやと見つめられて大満足だ。そう―


自分の許嫁が男体化なんてしたんだ。俺が女体化してこっそり出会いに来るのは鉄板だろうが。ああ、うけたうけた。
そんなわけで、製薬会社を問い詰めて女体化薬を使った今の俺は、フリフリのスカート、ええと、ゴスロリというのかな?そういうしゃれた服を着て、メイクもちゃんとしてもらって、正真正銘どこから見ても女と言える格好になって、久しぶりに清香に会いに来たというわけだ。
未だ混乱から抜け出せていない清香の手を取り、
「とりあえず、ホテルいくぞ、うまい飯もある程度買っておいたからな!」
「え、ちょっと待ってっ!いろいろ状況が分かんないんだけど!?」
そんなことを言いつつも、しっかり俺の引く手につられて走ってくれる清香は、ノリがよくて助かる。訳の分からないうめき声をあげながらも、なんだかんだでホテルまでついてきてくれた。




「お前が俺を避けたりしなければこんなことにはなんなかったんだぞ。ホテルを借りて、焼き鳥をたくさん買い込んでひょいひょいつまむなんて面倒なことにはならなかったんだ。」
「…楽しそうじゃないの。」
「否定はしない。」
うまいからな。
そして俺が適当につくねをかじっていると、
「ごめんなさい」
と、清香が頭を下げていた。
「ほんと、こんなことになっちゃって。みんなにも迷惑をかけて、あなたにも迷惑をかけて、でも、どうしたらいいかわかんなくて。」
「ああ、確かに迷惑だ。特に最低でも、俺を避けるなんてことしないで、せめて男になっちゃったけど見捨てないでって、俺に泣きついてくるくらいはしてほしかった。」
「…ごめんなさい。気持ち悪いかなと思って。」
「…うーん」
どうだろうか?あの時は確かに俺も男だったわけだし、自分より大きな男に泣きつかれて、気持ち悪いと思っただろうか?
厄介なことに、簡単そうな問いなのに、答えが出ない。
だって、
「俺がお前を見捨てることはないが、どう思ったかはどうだろうな。若干怖かったかもしれない。今の俺は女の体だからわかんないなー俺がその時どう思ったか…」
「そこが分かんないのよ。なんであなたまで女体化してるの?」
あれ?そこ聞いちゃう?
「ええー。なに、お前、男になって鈍くなったの?せっかくお前が男になったから、身体を合わせて女体化してあげたのに。」
ついでにこの体で、清香を誘惑して男の快楽を教えてあげようという算段でもあったのだが。
「そ、それはちょっぴり思ったし、期待もしたわよ。ひょっとして、私を気遣ってくれたのかなって。でも、女体化薬が手に入っているなら、私を元に戻せば全部解決なわけだし…」
「…よく考えればそうだな」
「…気づいてなかったの?」
「いやー、薬を手に入れる方が苦労して、あんまりあたまがまわってなかったし、それにっ」
俺は強引に清香のズボンを下ろし、パンツの中に手を突っ込む。
「やんっ!いきなりなにするのよ」
「…やっぱり、硬くなってるな。入れ変わってから一度も抜いてないんだろ?お前の家も変に厳しいからなあ。」
「…やり方が分からないだけよ。」
俺が元に戻さなかった理由は、こいつに男の快楽を教えてやるためだ。そうだ。そういう目的だったことにしよう。
「それにしても、大きいなあ。嫉妬しそうだ。」
「わ、わたしとしては、恥ずかしい以外の何物でもないんだけど…ひうっ!」
「いいぞ、どこまでいってもお前は俺の許嫁なんだから、声我慢しなくていい。骨の髄まで男の快楽ってのを教えてやるよ。だからついでに、俺の体もすこしばかり教えてくれるとぉっ、いいなっ、これっ、ああっ」
清香のチンポをいじりながら自分の胸を揉んでみると、すごく興奮した。
「ちょっ、そんなさそうみたいなしぐさっ…やめてよっ」
「誘ってるんだがな。とりあえずベットに座ってくれよ。とろけさせてやるからさ。」
「も、もうなんかすでにとろんとしてるんだけど…」
「久しぶりに俺と会えてうれしいだけだろ。」
「絶対違う」
こいつ…!

「ほらほら、これが手コキってやつだ。どうだ?」
「あっ、だめっ、なんかへんなかんじがしてっ!」
「先のことしか考えられなくなるからな。ほら、おっぱいだぞ、いいだろ。これ見てると目が離せなくなるだろう?」
「す、すごいっ、けどっ、やあっ、かんがえがまとまらないっ」

「お前はさっきいろいろ状況が分かんないって言ってたな。これに関しては答えてやるよ。考えるな、感じろ。俺がいっぱい感じさせてやる。」
「へ、変に格好つけないでいいのに…やあっ、あんっ!ちょっとっ、はげしいっ!」
「はあっ、はあっ、随分といい身体に男体化したもんだ。ちょっと、ほしいかも。」
男の時にあった抵抗感というものが完全に消えてなくなっている。
「少しだけ、くわえるぞ。」
「はあ、はあっ、えっ、何っ、ひゃあああああっ!」
くわえただけでこの反応。さすが元女子。
「ん、れろっ、ろうらっ?」
「やああぁんっ!らめえっ!そんなぺろぺろしちゃやあっ!」
「…ふぉふぉふぁ?」
「あっ、やああぁんっ!とけちゃうっ!なにこれぇっ、いやぁッ…」
なかなかに可愛らしい反応を見せる。俺が女体化したからだろうか。清香がすごくかわいく見えて仕方がない。股の下が濡れて濡れて仕方がない。
なんというか、いじめたくなる。
「そっかーじゃあ、やめよっか。ごめんな。勝手にチンポいじっちゃって。俺は一人でオナニーでもしてるよ。あんっ、この体っ、すごいっ、ああっ、あんっ」
いたずら気にそう微笑む。それにしても女の身体ってのは冗談抜きで凄い。ふわふわした快楽がどんどん押し寄せてきて、男のそれとはまるで別物の快楽だ。
そしてそんな俺のオナニーを見せられながら、勃起している俺の許嫁は、果たして今どんな気持ちなんだろうか。
「ああんっ、やあんっ、らめえっ!この体アッ、すごいのぉっ、イクっ、ああんっ!ふぁああんっ!はあっ、きよかぁっ」
「…いじわるしないでっ。もうげんかいっ」
「ははっ、いいよ。おいで…?」
お互いを思った落ちがこれなら、そう悪いものでもないのだろうな。



「ふぁあああああんっ!清香のがっ、はいってくるっああんっ」
「そんなこえださないでよっ、耳にまとわりついてっ、ふぁあっ、これがっ、女の体の中に入れた感じっ、ああっ、動きたいっ、動きたいっ!」
「…男の本能だからな。いいよ。思う存分動いて、出してっ、ああっ!あんっ!あんっ!」
その言葉が終わらないうちに、清香は俺のおマンコに腰を打ち付け始めた。

「ひゃあああっ!アンッ!清香のがっ!出し入れされてっ、すごいっ!アアンッ、アンッ!」
「わたしもっ!こしっ、とまらないっ!あっ、やめてえっ!しめないでっ!」
「あっ、あっ、ごめんっ、かってにっ!ふぁああっ!むねをもむなあっ!あんっ!」
「にゅるにゅるふわふわがぎゅうぎゅうって締め付けてきてっ、ああっ、だめぇっ!」
リードしてやろうと俺は思っていたし、最初の方はまだ余裕があった。
でも女の快楽に飲まれてしまった俺にそんなことはできるはずもなく。
「ああんっ!だめっ、清香ぁッ!その子宮のところっ、こんこんしちゃやあっ!」
「ここがいいんでしょっ!あんっ、わたしもっ!ああっ!まだ吸い付いてくるっ!私女なのにっ!はあっ、はあっ、なにかのぼってきてっ!」
「らしてえっ!清香のッ、いっぱいちょうらいっ!」
「っ!なんであなたはそう簡単に女の子になり切ってっ!ああっ!ダメっ、なにかくるっ!わたしっ、女なのに射精しちゃうの!」
「んあっ、そ、そうだっ、やああんっ、俺の中にっ、アンッ、アアンッ!出しちゃえっ、ああああんっ!おれも、もうっ!やあああんっ!清香のおチンポっ、すごいのぉっ!体中の全部気持ちよくなってっ、清香のおチンポでイッチャうのぉぉっ!やんっ!だめぇっ、らめぇぇっ!」
「っ!女の演技がうますぎるのよっ!」
「やああぁんっ!清香ぁっ!すきぃいぃっ!んちゅうっ!ちゅっ、ちゅるるっ!」
喘ぎつつも恥じらいつつ、キスをする。もう完全に女になったような演技に、清香の身体も限界を迎えていた。


「っ!出す…わ。もう限界っ!はあっ、はあっ、いいのよね?あなたのなかにだしてっ!いいのよねっ!」
懇願にも似た声、相当必死らしい。
だから俺は最後の力を振り絞って、
「うんっ!清香のおチンポミルクっ!あんっ!たくさんちょうだいっ!ああああんっ!こもちいいのぉっ!きてっ!いしきとんじゃうくらいっ!清香のチンポでがんがんしてぇっ」
「な、なんて言い方するのっ、ああっ、だめっ、出すっ、でちゃうっ、でるよぉっ!あっ、あっ、あっ、あああああっ!!」
「あんっ!らめえっ!イクっ!おれっ!清香にイカされちゃうぅっ!ひゃあんっ、ダメっ、イっちゃうっ!ふぁあああああっ!」


「はあっ、はあっ、だしたっ、疲れたっ…」
「ハアッ、すごいなっ、これっ…ああっ、はあっ」






何やら清香は知りたいことがあるらしいが、みなまで言わなくても分かる。
「男は一回出したら疲れるんだよ。よくわかったろ?」
「…私の聞きたいことはそんなことじゃないっ、でもっ、なんだか眠くっ…」
「元に戻る薬だろ?用意できないこともないけど、しばらくの間、このままで楽しんでもいいんじゃないか?普段より自由にいろいろできていいしな。」
「…しかたないわねぇっ」
そのまま眠りについた締まった清香の顔に、俺は軽いキスをする。せっかく俺がキスをしてやっているというのに、そんなことにはまったく気づかず、すやすやと寝息を立てている。
まったく、許嫁なんてものは、いつの時代も面倒くさい。

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みんなの感想(1件)

あきらつかさ

勢いと夢があって、面白かったです。

氷室ゆうり
2020.06.19 氷室ゆうり

ありがとうございます❗これからもがんばります❗

解除
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