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7.物語の結末は
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ベッドに座った倖大はキョトンと首をかしげ俺を見上げている。
クッソかわいいな。
金髪のショートカットに純朴そうな顔。処女だったくせにとんでもなくエロくて、俺のことが大好きなお姫様。
身体の関係から始まることが多かった俺にとって、意外性の塊のような倖大は別格で、確実に俺のど真ん中を撃ち抜いてきた。
倖大が俺と結婚したいと思っているのなら、そういう関係もやぶさかではない。まずは恋人になって関係を深めていくのがいいだろう。
「コウは何歳だ?」
「ハタチ」
「若!どうりで肌つやぴかだと思ったわ……。よし、20歳ならいいだろう。コウと俺はこれから恋人になる。いいな?」
「それって必要なの?」
「必要だ。普通はみんな、恋人になってお互いのことをよく知ってから、結婚する」
素直にウンウンと頷く倖大に、恋人同士ならこうする、というルールを教えこんでいく。
いつも一緒にいること、恋人には甘えること、思っていることは包み隠さず話すこと、予定は共有すること。あとは……性欲はすべて恋人に解消してもらうこと……云々。
仄暗い願望も込めて好きなことを伝えてみた。嬉しいことに倖大は他に恋愛経験もないらしく、特に疑問も感じずに受け入れてくれた。ひとつを除いて。
「おれ、性欲ってよくわかんない」
「は?それで?よくオナニーしてたじゃん」
「あれは、聞かせるためだったから」
「はぁ!?」
なんだんだよこいつは!そう思ったけど、妙に納得した。
あ~、こいつならやりかねないわ。絶賛不法侵入中だった。あとやり返されてるけど睡眠姦な。
やりたい放題やりすぎだが、俺のことを好きな一心でやったと思えば……心の奥底に隠してきた欲望をぎゅっと掴まれたような満足感があった。
よくよく聞けば、俺のために拡張していたけど自分自身の性欲はない、と考えているらしい。
いやいや。俺からすればこいつはめちゃくちゃ感じやすいし、快楽に弱い。
俺だって男同士のセックスは初めてだったけど、倖大はまるっきり初めてだったのに中への刺激だけでイッたのは才能としか思えない。
性欲ってものを理解らせてあげるのも楽しそうだ。
俺はよく、重すぎるとか、怖いといって恋人に振られていた。でも倖大なら全部受け止めてくれそうだ。方向性はおかしいが、こいつも大概重い。
恋人から、と教えたものの逃がす気なんてさらさらない。
俺は密かに決意した。
なにも知らない倖大にイチからいろいろと教えこんで、もう後戻りできないところまで俺好みになってもらおう――
◇
朝の柔らかい光が照らす顔を見つめる。
すやすやと眠る倖大の睫毛は、ふさふさで長い。柔らかな産毛が覆う肌は白くすべすべで、ほんのりと赤い唇は小さく開いている。そこから聞こえる深い寝息を聞きながら、さらさらの髪を撫でた。
いまも綺麗に脱色されている髪は、日光を受けて透けるようだ。眉も薄いし、全身の色素が薄いせいか、そのまま光に溶けて消えてしまいそうな錯覚に囚われる。
その存在を確認するべく頭から首、肩を通って背中まで撫で下ろすと、むずがった倖大が目を開いた。
「んぅ……あゆ……おはよ」
目も開ききらないまま掠れた声であいさつし、ちゅっと唇を重ねてきた。力の入らない柔らかな唇の感触が心地良い。
挨拶とキスはセットだと教えたのは俺だ。倖大は眠気が抜けないのか、唇がほとんど触れ合ったまま動かなくなってしまった。また寝息が聞こえてくる。
これは誘ってると判断しても仕方なくない?
俺は目の前の唇をむさぼりたくなって葛藤する。
そもそも倖大がこんなに眠そうなのも、きのう俺が精根尽き果てるまで絞り尽くしたせいだ。
クッソかわいいな。
金髪のショートカットに純朴そうな顔。処女だったくせにとんでもなくエロくて、俺のことが大好きなお姫様。
身体の関係から始まることが多かった俺にとって、意外性の塊のような倖大は別格で、確実に俺のど真ん中を撃ち抜いてきた。
倖大が俺と結婚したいと思っているのなら、そういう関係もやぶさかではない。まずは恋人になって関係を深めていくのがいいだろう。
「コウは何歳だ?」
「ハタチ」
「若!どうりで肌つやぴかだと思ったわ……。よし、20歳ならいいだろう。コウと俺はこれから恋人になる。いいな?」
「それって必要なの?」
「必要だ。普通はみんな、恋人になってお互いのことをよく知ってから、結婚する」
素直にウンウンと頷く倖大に、恋人同士ならこうする、というルールを教えこんでいく。
いつも一緒にいること、恋人には甘えること、思っていることは包み隠さず話すこと、予定は共有すること。あとは……性欲はすべて恋人に解消してもらうこと……云々。
仄暗い願望も込めて好きなことを伝えてみた。嬉しいことに倖大は他に恋愛経験もないらしく、特に疑問も感じずに受け入れてくれた。ひとつを除いて。
「おれ、性欲ってよくわかんない」
「は?それで?よくオナニーしてたじゃん」
「あれは、聞かせるためだったから」
「はぁ!?」
なんだんだよこいつは!そう思ったけど、妙に納得した。
あ~、こいつならやりかねないわ。絶賛不法侵入中だった。あとやり返されてるけど睡眠姦な。
やりたい放題やりすぎだが、俺のことを好きな一心でやったと思えば……心の奥底に隠してきた欲望をぎゅっと掴まれたような満足感があった。
よくよく聞けば、俺のために拡張していたけど自分自身の性欲はない、と考えているらしい。
いやいや。俺からすればこいつはめちゃくちゃ感じやすいし、快楽に弱い。
俺だって男同士のセックスは初めてだったけど、倖大はまるっきり初めてだったのに中への刺激だけでイッたのは才能としか思えない。
性欲ってものを理解らせてあげるのも楽しそうだ。
俺はよく、重すぎるとか、怖いといって恋人に振られていた。でも倖大なら全部受け止めてくれそうだ。方向性はおかしいが、こいつも大概重い。
恋人から、と教えたものの逃がす気なんてさらさらない。
俺は密かに決意した。
なにも知らない倖大にイチからいろいろと教えこんで、もう後戻りできないところまで俺好みになってもらおう――
◇
朝の柔らかい光が照らす顔を見つめる。
すやすやと眠る倖大の睫毛は、ふさふさで長い。柔らかな産毛が覆う肌は白くすべすべで、ほんのりと赤い唇は小さく開いている。そこから聞こえる深い寝息を聞きながら、さらさらの髪を撫でた。
いまも綺麗に脱色されている髪は、日光を受けて透けるようだ。眉も薄いし、全身の色素が薄いせいか、そのまま光に溶けて消えてしまいそうな錯覚に囚われる。
その存在を確認するべく頭から首、肩を通って背中まで撫で下ろすと、むずがった倖大が目を開いた。
「んぅ……あゆ……おはよ」
目も開ききらないまま掠れた声であいさつし、ちゅっと唇を重ねてきた。力の入らない柔らかな唇の感触が心地良い。
挨拶とキスはセットだと教えたのは俺だ。倖大は眠気が抜けないのか、唇がほとんど触れ合ったまま動かなくなってしまった。また寝息が聞こえてくる。
これは誘ってると判断しても仕方なくない?
俺は目の前の唇をむさぼりたくなって葛藤する。
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