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くまさんのマッサージ♡4(大地のこと②)
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「ねぇ、翼さん。涼奈ちゃんちってお金持ちだったりする?」
夜も更けて、2人はゆっくりお茶を飲んでいた。涼奈はいつも客間にしている部屋に寝かせてある。夕飯は涼奈の要望も聞いて、急遽、冷奴が追加された。
「うん、よく分かったね?」
「だってあのワンピース、有名なブランドでしょ?」
「そうなの。従姉妹ね、上手く玉の輿に乗ったんだって。俺と一緒」
「いやいやそんな」
大地は否定したが、翼からすれば謙遜と取られたらしい。
「俺をこんなに幸せにしてくれたのは大地君なんだよ?」
「翼さん…でも玉の輿ってほどじゃないんじゃない?だって翼さん、今でもガンガン働いてるし」
「それは俺がやりたいからやってるんだよ?それに、日雇いバイトなんてもう嫌だもの」
「あれは力仕事だものね」
「そうなの。すぐ筋肉痛になっちゃって当時は大変だったなぁ」
「翼さんはちゃんと経験してるから偉いよね」
大地が笑うと翼も笑う。
「そう、苦労話もいつかは笑い話になっちゃうんだよね。そうだ、サイン会が終わったら涼奈ちゃんとショッピングモールに行こうよ。涼奈ちゃん、絵を描くのが好きなんだって」
「翼さんの影響?」
「それはどうかな」
ふふ、と翼が笑うと大地がすっくと立ち上がる。
大地は大きい。筋肉もあるので、まるで熊のようだとよく言われる。
「大地君?」
「翼さん、抱きしめていい?涼奈ちゃんの前では出来ないから。翼さんチャージしたいんだよね」
「俺も大地君チャージしたい」
2人は確かめ合うように抱き合った。もう愛しているという言葉では足りないくらいだ。
「明日のサイン会、頑張るね!」
「うん、大丈夫。みんな翼さんのファンなんだから」
✢✢✢
次の日はなかなかバタバタしていた。
大地はいつもより1時間ほど早く起きて朝食の支度をした。翼の出発が早かったからだ。
「大地君ごめんね、ありがとう」
「ううん、翼さんも気を付けて行ってね」
翼を見送り、そろそろ涼奈を起こそうかと思っていると、涼奈が眠そうな顔で起きてきた。
「涼奈ちゃん、おはよう」
「大地君、おはよう。翼お兄ちゃんは?」
「翼さんは準備があるから先に出掛けたよ。お豆腐あるけど食べる?」
「食べる!」
涼奈の瞳がキラキラする。本当に豆腐が好きなのだなと大地は不思議な感心をしてしまった。
「涼奈ちゃん、コミックスは持ってる?」
「うん。お兄ちゃんの描いたお話、全部面白かったの!」
翼の漫画やキャラクター設定はティーン向けになっている。涼奈はまだ幼いが、色々なことが分かるらしい。
「涼奈ちゃんは難しい漢字も読めるの?」
「読める。涼奈、勉強してるの」
金持ち特有の英才教育というやつだろうか、と大地は考えた。涼奈は大地から受け取った豆腐をもりもり食べ始めている。
「美味しい!何もかけなくても美味しいの」
「それ、お豆腐屋さんのだから」
「お豆腐屋さん、すごいね」
涼奈の支度も無事に済み、2人は出掛けた。
夜も更けて、2人はゆっくりお茶を飲んでいた。涼奈はいつも客間にしている部屋に寝かせてある。夕飯は涼奈の要望も聞いて、急遽、冷奴が追加された。
「うん、よく分かったね?」
「だってあのワンピース、有名なブランドでしょ?」
「そうなの。従姉妹ね、上手く玉の輿に乗ったんだって。俺と一緒」
「いやいやそんな」
大地は否定したが、翼からすれば謙遜と取られたらしい。
「俺をこんなに幸せにしてくれたのは大地君なんだよ?」
「翼さん…でも玉の輿ってほどじゃないんじゃない?だって翼さん、今でもガンガン働いてるし」
「それは俺がやりたいからやってるんだよ?それに、日雇いバイトなんてもう嫌だもの」
「あれは力仕事だものね」
「そうなの。すぐ筋肉痛になっちゃって当時は大変だったなぁ」
「翼さんはちゃんと経験してるから偉いよね」
大地が笑うと翼も笑う。
「そう、苦労話もいつかは笑い話になっちゃうんだよね。そうだ、サイン会が終わったら涼奈ちゃんとショッピングモールに行こうよ。涼奈ちゃん、絵を描くのが好きなんだって」
「翼さんの影響?」
「それはどうかな」
ふふ、と翼が笑うと大地がすっくと立ち上がる。
大地は大きい。筋肉もあるので、まるで熊のようだとよく言われる。
「大地君?」
「翼さん、抱きしめていい?涼奈ちゃんの前では出来ないから。翼さんチャージしたいんだよね」
「俺も大地君チャージしたい」
2人は確かめ合うように抱き合った。もう愛しているという言葉では足りないくらいだ。
「明日のサイン会、頑張るね!」
「うん、大丈夫。みんな翼さんのファンなんだから」
✢✢✢
次の日はなかなかバタバタしていた。
大地はいつもより1時間ほど早く起きて朝食の支度をした。翼の出発が早かったからだ。
「大地君ごめんね、ありがとう」
「ううん、翼さんも気を付けて行ってね」
翼を見送り、そろそろ涼奈を起こそうかと思っていると、涼奈が眠そうな顔で起きてきた。
「涼奈ちゃん、おはよう」
「大地君、おはよう。翼お兄ちゃんは?」
「翼さんは準備があるから先に出掛けたよ。お豆腐あるけど食べる?」
「食べる!」
涼奈の瞳がキラキラする。本当に豆腐が好きなのだなと大地は不思議な感心をしてしまった。
「涼奈ちゃん、コミックスは持ってる?」
「うん。お兄ちゃんの描いたお話、全部面白かったの!」
翼の漫画やキャラクター設定はティーン向けになっている。涼奈はまだ幼いが、色々なことが分かるらしい。
「涼奈ちゃんは難しい漢字も読めるの?」
「読める。涼奈、勉強してるの」
金持ち特有の英才教育というやつだろうか、と大地は考えた。涼奈は大地から受け取った豆腐をもりもり食べ始めている。
「美味しい!何もかけなくても美味しいの」
「それ、お豆腐屋さんのだから」
「お豆腐屋さん、すごいね」
涼奈の支度も無事に済み、2人は出掛けた。
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