獅子王晶の恋と日常の謎(怪盗編)

はやしかわともえ

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「晶、シェイク飲む?」
「あぁ、飲むとも!」
僕は始発の電車に乗ってホスピタリティに向かった。流石に来るのが早すぎたかなと思っていたけれど晶は定番のワンピースドレスに身を包んで待合室で座って待っていた。今日のワンピースドレスは淡いピンク色だ。こんな姿だから、どう見ても女の子にしか見えない。可愛い。僕たちは電車に乗って、最寄り駅で降り、近くにあったファストフード店に向かった。僕たちはもうお腹がペコペコだ。
「深見、僕は照り焼きバーガーがいいな」
「分かった。シェイクはバニラでいい?あ、今限定でメロン味があるみたい」
「なんだって?それがいい!」
「分かった」
セルフカウンターで注文して、スマートフォンを端末に翳すと支払いが完了だ。僕の収入源は晶のお父さんがくれるお小遣いや、屋敷の掃除なんかのお手伝いの御駄賃が主だ。注文したものがやって来て、僕たちは食べ始めた。
「深見のバーガーは大きいね」
「うん、お腹空くんだ」
「育ち盛りだからね。いっぱい食べるといいさ」
「えーと、晶も育ち盛りなんだけど?」
「そこが悩みどころでね」
「そうなの?」
うーん、と晶が腕を組む。
「僕はあまり大きくなりたくないんだ。深見に抱っこしてもらえなくなるからね」
「いやいや、晶は小さいし抱っこ出来るからね?」
晶はそれだけ小さくて軽い。
「それはそれで複雑なのだけどね」
「晶には乙女心が宿っているんだね」
「僕が乙女か、悪くないね」
晶、すっかり元気になったみたいだな。でも警戒を解くわけにはいかない。
僕は辺りを探りながらハンバーガーに齧り付いた。
「深見、もしかして怒っているのかい?」
晶が戸惑ったように言う。
「怒ってなんていないよ。怪盗が来ないか警戒してる。晶はあいつに攫われそうになったんだよ?」
「そうだったね。なんで僕を攫いたいのかな」
そうか、晶は知らないんだ。自分が宝の鍵になっていることを。言わない方がいいと僕は直感でおもった。
「晶は可愛いからね」
「そうするとなると、攫って剥製にするのかな」
「それは怖いね」
晶がメロンシェイクを飲んで破顔した。
「美味しいね」
「よかった」
「ホスピタリティのご飯は野菜ばかりでね。しかも大体薄味なんだ」
それは高校生男子にはキツイな。晶が急に沈んだような表情をする。
「僕は明日には戻らなくてはいけないんだ。深見、一緒に来てくれるかい?」
「もちろん。晶が安心するなら」
晶が笑ってくれて僕もホッとした。
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