獅子王晶の恋と日常の謎(怪盗編)

はやしかわともえ

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美術館(完結)

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美術館は既に閉園時間になっていた。でもここは警察である。あっさり中に入る許可を取っていた。
「お二人はここでお待ちになってください」
刑事さんの一人に言われて僕たちは頷いた。

【晶side 】
晶は両手足を拘束、そして目隠しをされてどこかへと連れて行かれていた。車のトランクに晶は乗せられている。
(深見なら気が付いてくれると思うけれど、随分遠回りをするんだね)
晶も目的地である美術館には何度も足を運んだことがある。
(怪盗の様子を見るに僕は生体認証として登録されているようだ)
晶は拘束されている間、随分冷静になっていた。
車が停止したのを感じる。
「姫君、行きますよ」
怪盗の男はまだ若かった。晶は思ってしまう。【もったいない】と。
怪盗に担がれて、晶は自分が地下のフロアにいることを悟った。
(深見…)
「さぁ、姫君。私の為に鍵を開けてもらいますよ」
「君は僕のどの部位が鍵なのか知っているのかい?」
怪盗が言葉を詰まらせる。一箇所でも違えば警報が鳴るようになっているからだ。
「僕を解放したまえ。それなら協力してあげるよ」
怪盗は舌打ちをして拘束を解いた。
「今だ!かかれー!」
わぁあと警察陣が怪盗にとびかかる。怪盗はあっけなく逮捕となった。

【深見side】
美術館の電気がつく。僕は晶のお父さんと館内に入った。
「深見!」
晶はまだ下着姿だった。毛布に包まれていたけれど、僕は目のやり場に困ってしまった。それでも晶の無事に安心して気が抜けた。
「よかった、晶」
「深見、よく読み取ってくれたね」
「晶のおかげだよ」
僕たちは抱き合った。
「晶、この際だ。宝を見せてやる」
晶のお父さんが声をかけてくる。
「父様、僕に宝なんて」
「父さんはお前を愛してるから渡すんだ」
「父様…」
晶の生体認証は耳、瞳孔、指紋の3種だった。確かにこれなら本人しか開けられないだろう。
晶がゲートの中に立つと、カチと何かが開く音がする。晶のお父さんは並んでいる棚の一つを取り出した。いつの間にか白い手袋を嵌めている。
「晶、これはお前が生まれたときに発掘された宝石だ」
「なら僕のきょうだいなのだね?」
くす、と晶が笑みをこぼす。
「そうだよ。お前の使いたいようにしなさい」
「ありがとう。父様」
晶がお父さんに抱き着く。可愛いな。お父さんも嬉しそうだ。
「そういえばこの石は願いを叶えるって」
晶が首をかしげる。確かに怪盗はそんなことを言っていたな。
「この石は希少なものだからね。噂が一人歩きしたのではないかな」
石に対する怪盗の執念が少し恐ろしい。

「暑いね。そうだ。プールに行きたいな」
数日が経ち、学校の夏休みが始まっている。僕は恒例になっているホスピタリティにいた。晶も随分落ち着いてきたということもあり、退院日が決まっていた。退院日まで残すところ数日となっている。
「うん、行こうね」
「深見、いつもありがとう。僕は君が大好きだよ」
「僕も晶が大好きだよ」
僕たちは抱き合っていた。

おわり


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