子猫はご主人様の膝の上で眠りたい

はやしかわともえ

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千晶のこと

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「それは真司さんのせいじゃないんじゃない?」

そうはっきり言ったのは、友人である本田加那太だった。真司と千晶は千尋と加那太の二人にもお菓子を贈っていた。
そのお礼の電話が昼休みにかかってきたのである。
千晶は今日、出張で会社に居ない。
真司は加那太にこの前の千晶とのやり取りをふと漏らしてしまった。

「俺がいなくなるかもしれない、なんて言うんだ」

真司が呟くと向こうから息をつく音がした。

「千尋もそうゆうとこあるからわかるんだけどさ、結局どれだけ話を聞いてあげるかによるよ。でも甘やかすのは絶対だめ」

「そうか…」

「真司さんは人一倍寄りかかりやすそうだしね」

加那太の言葉に思わず笑ってしまった真司である。

「でもあきくんは分かってると思う。
真司さんが大好きなんだよね。でも逆に、大好きだから失くすかもって思っちゃうんだよ」

「なるほど…」

「でもね、失くしても生きていかなきゃいけないんだよ。
辛くても前を向いて歩かなくちゃ」

加那太の力強い言葉に真司は思わず頷いていた。

「まあ最近観た映画で言ってたんだけどね」


加那太が照れ臭そうに補足する。

「かなさん、ありがとうな」

「ううん。僕にできることはあまりないけれど、こうして話くらいなら聞けるから」

「ありがとう」

通話を切ってふと見ると、田中が真面目な顔でこちらを見ていた。

「田中?どうした?」

「いや…ごめん。聞くつもりじゃなかったんだけど。お前、斉藤と付き合ってんのか?」

真司は頷いた。田中になら打ち明けてもいいだろう。真司は人気のない方に彼を呼んだ。

「そっか。この頃斉藤が、めちゃくちゃ元気になったから驚いていたんだ。
お前が支えてやっていたんだな」

「支えてるなんて大層なもんじゃないよ」

笑いながら答えると、田中が首を横に振る。

「いや、お前はすごいよ。俺なら出来ない。多分見捨てる、余計傷付ける」

「そうか。人によるよなぁ」

「なあ山下。お前は斉藤でいいのか?確かに可愛いけど…やっぱり男だし」

田中の気持ちはよく分かった。
彼は自分のことについて本当に心配してくれているのだ。
真司も何度も自問自答したことである。

だがその度に答えは変わらなかった。
その答えを真司は田中に告げる。

「俺は千晶を愛してるんだ」

「そうか。余計なお世話だったな。わりい」

「いや、ありがとうな」

真司は田中の背中を二度叩いた。

「お前も奥さん守りながら頑張れよ」

「あぁ。お互いに頑張ろう」

田中と同期で本当によかった。
真司はそう噛み締めたのだった。



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