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第1章:異世界転移編

第17話 冒険者ギルド

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 僕とアリシアは、大通りの中央に向かって歩いている。冒険者ギルドは、門から徒歩で20分ほどの所にあるらしい。

 アリシアは、この街で生まれたのだそうだ。

「ここには、もう20年は来てない。懐かしい感じはするのだが、私がここに居たのは、母が亡くなる前までだからな、まだ子供だったんだよ。だから、あんまり記憶にないのだ。」 との事だ。

 見る物全てが珍しく、全てがファンタジーだ。よくラノベでこんな情景を読むのだが、もしかしてこの世界を実際に見たものがいるのかも知れないと思ってしまうほどだ。

 色とりどりの布地や衣服やカバン等並べた出店や、装飾物やアクセサリー、野菜や果物の出店とかもあり、食べ物の屋台から、とてもいい匂いがしてくる。もう夕食にしてもいい位の時間だ。お腹がグーとなってしまう。

 人族や、エルフ族に加え、獣人さんやドワーフさんのような多種多様な人たちが行きかっている。この街は、色んな種族の人たちが、それぞれの文化を許容しながら、上手く付き合っている街なのだとか。

 それなのに、アリシアには、フードは被っておくように言われたのだ。僕の容姿は、割と珍しい部類だろうからだとの事。周囲を観察すると、人族は、西洋風の見た目の人ばかりで、アジア系の人は、あまりいないのかなとは思った。

 あちこちに興味を抱きながらキョロキョロしていると、横を歩くアリシアに、

「レン、あまりキョロキョロしない。私から離れないでね。この人通りだと、逸れたら大変だから。」

 注意されて、手を引かれた。僕は子供か。

 かれこれ20分ほど歩いた先の突き当りに、大きな建物が見える。看板は、剣と盾の模様だ。ここが冒険者ギルドなんだろう。

 この時間、ギルドは一番忙しい時間帯なのだろう。冒険者風の人々で賑わっていた。大勢が受付に並んでいて、奥に併設されている酒場には、大勢の人たちが打合せや乾杯をしていた。

「うわー!すごい盛況ぶりですね。」

 僕は思わず、声にだしてしまったほど、人でごった返している。日本のJDSAでの理路整然とした雰囲気とは、まるで違う荒々しさを感じる。

「そうだろ。ちょうどこの時間は、冒険者が受けた依頼の達成報告やら、ダンジョンでの収穫等での換金で、混雑するらしいからな。私はまだ幼かった頃、よくここで父上の帰りを待った記憶がある。」

 アリシアは懐かしそうに、周りを見渡した。

「今は受付もギルマスも忙しいだろうから、師匠が来るまで、ここで待っていようか。」

 アリシアは、僕にそう言うと、邪魔にならないよう、壁際の所まで行って、壁に持たれた。僕も彼女の横に並んで、周りの観察をしていると、一人の男が近寄って来た。

 キター!これは例のテンプレ、お約束の絡まれ案件か!?と、期待半分、興味半分で、成り行きを見守っていると。

「よ!アリシアじゃないか。久しぶりだな!どうしたんだ?」

 男は、片手を上げながら、アリシアのに声をかけてきた。なんだ、またまた知り合いでした。

「ランディ。久しぶり、って言っても、先月、物資を届けに、森に来たじゃない。」

「まぁ、そう言うな。俺にとっては、1か月は長いさ。」

 男はそう言って、苦笑した。このランディという男もエルフなんだろうが、アリシアとは少し感じが違う。アリシアは人族に近い感じだが、この男は、イケメンではあるのだが、背も高く、首や手足が異様に長い。たぶん、純粋なエルフなんだろうと思った。

「ところで、本当にどうしたんだ。お前が森を出るなんて珍しいじゃないか。というか、あれ以来初めてだろ?」

「そうだけど。今日は、どうしても父に知らせないといけない事があってな。ここで、バッファ師匠と落ち合う事になっているんだ。話はそれからだが、ランディ、お前も一緒に聞いてくれないだろうか?」

 アリシアは僕にランディを紹介してくれた。彼は、例のアリシアの幼馴染で、今は婚約しているらしい。

 ランディは、父親にアリシアとの結婚の許可を貰うのに10年かかったと愚痴っていたが、とても嬉しそうに笑っている。爽やかで、とても感じの良さそうな好青年だったが、アリシアに婚約者がいた事に、軽くショックを受けてしまった。

 そうこうしている内に、オッサンがギルドにやって来たのだ。

 オッサンは、やはりかなりの有名人だった。金級の冒険者と言えば、日本ではS級冒険者のようなものなのだろうか?オッサンが通ると、皆が道を開けてくれて、まるでモーゼだ。中には、オッサンに出会えたと歓喜している者までいる。

 合流した後、オッサンが受付に声をかけると、受付の女性が、慌ててどこかに走って行ったようだ。しばらくすると、秘書風の美しい女性がやってきて、二階にあるギルドマスターの執務室に案内してくれたのだ。

 いよいよ、アリシアの父親で、ここのギルドマスターとのご対面だ。
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