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第2章:ダンジョン攻略編(孤高ダンジョン)

第33話 孤高ダンジョンの終焉

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 孤高のスケルトン剣士は、かなりの強者で剣の使い手ではあるが、それだけでなく不死身なのだ。こちらが突こうが、切ろうが、叩こうが、スケルトンの身体が崩れても、それは何度でも再生されるからだ。バラバラになった骨が、まるで磁石に引き寄せられるかのように、1か所に集まって来て、元の状態に戻って行くのだ。

 これは、手詰まりだ。

 <肉体強化>が、今現在18分使えるのだが、後、数分で切れる。なんとかしないといけない。切れてしまえば3分間の相手側にアドバンテージを与えてしまう。応戦一方になってしまうのは疑う予知がない。これは、かなりキツイ状態だった。

 そんな時だ、

「あれ?」

 何かが見えたのだ。

 何度か、散らばった骨が集まってくる時に、何かが見えたような気がしたのだ。それは、ほんの一瞬、うっすらとだが黒い靄《もや》のような物が見えたのだ。その靄《もや》は、骨がバラバラの状態の時は、隠され守られているようで、最終的に肋骨の下辺り、穴あきの鎧の隙間に収まったように見えた。

 そう言えば、それって、どこかで見たような気がするのだが、あれって”魔素だまり”だよね。


 ”魔素だまり”だとしたら、もしかしたら、効くんじゃねぇ?<


 アンデッドだし、浄化されれば、昇天するかも知れない。そこで、スケルトンに向かって<浄化>をかけて見ると、なんと、スケルトン剣士の骨がピカピカになった。

 アゴの骨を打ち鳴らし感謝されてしまった。「ありがとう」と言われた気がしたのだ。

「これじゃなーい!」

 なんとか、あの靄が収まった肋骨の下辺りにピンポイントで<浄化>をかける必要があるようだ。

 撒菱《まきびし》を撒く事は、後々に自分にも不利な状態になりそうで使えない。そこで、相手の打ち込みを、ステップでかわしながら砂を拾いあげ撒いたりしてみたが、目がない剣士に、目つぶしは効かなかった。

 そこで、撃ち込みでの、相手の足が踏み込んでくるだろう所に土魔法で土を盛り上げ、ぐらつかせた。足が引っかかった事で、相手のバランスを崩す事ができたようだ。僕は、体さばきで剣の軌道からずれ、すりあげで相手の剣を薙ぎ払った所で、懐に入りこんだ。そして、掌底打ちしょうていうちで、靄《もや》がある位置に<浄化>を撃ち込んだのだ。

 
 それは正解で、撃ち込まれた<浄化>は、”魔素だまり”で守られた魔石を破壊し、孤高のスケルトン剣士は光の中で霧散して消滅した。

 そして、孤高のスケルトン剣士が持つ『孤高の剣』がその場に残ったのだった。

 手に入れた『孤高の剣』を鑑定すると、自分より強い相手に対して、攻撃力を倍化する効果があるとの事。これは、強者に対してかなり使える剣だと思う。この世界、蓮より強い者は、かなりの確率でいるわけで、この剣は、自分にとって、相当有効なように思えたのだ。

 その後、『孤高の剣』を僕が装備して、ダンジョンボスのスケルトン剣士に何度も対戦したけれど、『孤高の剣』は装備はしてはいなかったのだ。

 それにより『孤高の剣』が、唯一無二の剣だと言う事が解る。そんな剣を僕はゲットしたのだ。これは、僕にとって最大の転機になるのではないかと思った。

 倒し方が解ると、後は楽だった。そこで、レベル上げと、剣技を磨く為。ダンジョンボスのスケルトン剣士と何度も何度も対戦し、当初のオッサンからの指令通り、レベルを30まで上げる事が出来たのだ。


 ************************************

 <ステータス>
 名前 : 新田 蓮(あらた れん)
 性別 : 男
 年齢 : 18歳
 レベル : 30

 HP : 295
 MP : 110

 STR : 93
  INT : 102
 DEF : 70
 RES : 90
 DEX : 132
 AGI : 75
 LUK : 57

 □魔法:

 ・火魔法
 ・土魔法

 □スキル:
 <異世界サバイバルセット>Lv7
 ・言語理解 ・詳細鑑定→ ・石投げ→
 ・飲み水整水 ・回復(中) ・浄化
 ・アイテム収納(中) ・着火
 ・周辺MAP制作(範囲小)→ ・気配察知
 ・状態異常回復→ ・釣り→(X)
 
 <シンクロナイゼーション>→
  [同期] ・ [解除]

 <肉体強化>強化時間20分
 <隠密>→

 ************************************

 <異世界サバイバルセット>がLv7になり、<簡易鑑定>が<詳細鑑定>になっていた。鑑定スキルがアップした事は嬉しい。実は、また、変なスキルとかが追加されるんじゃないかと、内心ビクビクだったので、ちょっとホッとしたのは内緒だ。

 後は、15階層からゲットしたスキル<隠密>だ。これは気配察知に反応しないスキル。ただし、レベルが高い強者や、隠密スキルを解除できるスキル持ちには、無効にされる危険もあるのだが、それはめったにないとのこと。最初にガリオンさんが使って、その後、全員分をゲットした。

 この<隠密>スキル、かなりのレアスキルであるようで、その為、なかなか<釣り>スキルを切らせて貰えなくって、心の中で、クモ達に盛大に謝りながらも、相当
 回数を戦ってゲットさせられたのでした。クモさん、ごめんなさい。

「全て終わったな。ここのダンジョンで手に入れられるもの全て手に入れた。後は、このダンジョンを消滅させるだけじゃな。」

 オッサンは、自分は全く戦ってはいないのだが、しみじみとした感じで宣う。

「レンは、本当に強くなった。自信を持っていいぞ。」
 とアリシア。アリシアのお陰で、野営がとても楽だった。十分な力が発揮できたのも、しっかりと身体を休められたからだと思う。

「最初は、どうなる事かと思ったが、よく頑張ったな。」
 と、ガリオンさん。ガリオンさんは、なんだかんだと世話を焼いてくれて、軽量の者が如何にして戦えるかのアドバイスをくれた。


 このダンジョンに入ってから、どの位たったのだろう?一週間くらいか?その間、多くの魔物と戦い続け、レベルを上げて、とうとう最下層のダンジョンボスに挑む事もでき、そして倒せたのだ。日本にいた頃は考えられない位成長したと思う。だけど、多分、自分一人では無理だっただろう。

 後ろに皆が控えてくれている、守られてると言う事の安心感から、全力で戦えたのだ。オッサンに、心の中で悪態付きながらも、本当は感謝しているのだ。口には出さないけどね。


 そして、<シンクロナイゼーション>を解除した。ダンジョンコアを破壊するためだ。同期している状態での破壊が怖かったこともある。

 皆に、影響が出ない範囲を選び、ダンジョンコアを、<石投げ>にて、遠くの壁へと投げつけたのだった。ダンジョンコアは粉々に砕けると、強い光を発しながら消滅した。そして、しばらくすると、ダンジョンの消滅のアナウンスが流れる。僕たちは、出現した魔法陣で、ダンジョンを脱出したのだった。

「あ、アリシアの、風魔法忘れた。。。」
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