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17 》伝えるという事 微※
しおりを挟む彼の何かを抑えるような低い声が、いつの間にか緩く巻かれていた腕が締まって…キツく抱きしめられていた身体に振動して染み渡ってくる。
「本当に…私を好きなんですか?」
私は何を確認しようとしてるんだ…。彼は誠実で…嘘をつく事は…。優しい嘘はつくだろう…。
私はどこまでも浅ましく疑り深い…。
「この愛慕をどう伝えればあなたに伝わるんでしょうね…」
呟いてる…。辛い思いをさせてしまってる。
この言葉は私に向けられたものじゃない気がする。独り言のような響きはとても切なく感じる。
伝えようとしてくれる事に静かに嬉しくもあり、そんな自分が沈んでいくようでもあった。
彼は私を好いてくれてるんだと思いたい…。でも、今までそんな言葉をかけてはくれなかった…。
小兄さまは私が鈍感だと言ってたが、静さんが私を好きなのは周知だったという事?
本当に?
……私には分からない。
「言葉で言ってくれないと分かりませんよ…」
私も静さんに向けて言ってるつもりのない言葉を呟いていた。
分からないんだもの…。
もし言われてたとしても、その言葉だって私は疑ってしまうと思う。
殺そうと思ってた心が生きてていいって言われて、雁字搦めに締め付け閉じ込めていたところから、どうしようもなく、張り裂け溢れてる。
私はどうしていいか分からない。分からない…。
「伝えます。いっぱい伝えます。好きだと、愛してると…伝えます…」
彼の頬が私の頭に擦り付けられてる。髪が乱れてる。でもそんな事どうでもいい。彼に包まれてる事が心地いい。
分かってる。彼を信じていいんだって分かってるのに。
心も彼に触れたがってる。言葉に、気持ちに、貪欲に欲張ってる。
静さんの言葉が嬉しくてもっともっととねだって震えてる。
もっと抱きしめて囁いて…。
「言葉だけでは分かりませ…ッ」
語尾が彼に遮られてしまった。最後まで言えなかった。
さっきのような接吻が与えられる。
心が震える。
唇が押し付けられ、私の唇が彼の唇に啄まれる。
角を変えて幾度も押し付けられ、啄まれて、くすぐったいような痺れるような甘い挨拶のように感じて、私からも離れようとする彼の唇に押し付けてみた。
そっと少し離れてみた。
押し付けられないので、離れて彼を伺う。
力強い目が射るように私を見てる。
うふふ…その目…好きです。
彼は動かない。
???
首を傾げてしまった。あまりに見詰めてくるだけで動かないから…。
黒い瞳が綺麗で吸い込まれそうで…。
手を伸ばして四角い厳ついお顔に触れても動かないから、大胆にお顔をなぞってみる。
ぴくりと動いた眉を撫でて、目尻の皺も指でなぞっていた。頬に手を当てて撫でてみた。少しお髭がジャリっと掌に刺さる。心地いい手触りに口角が上がってしまう。
視線を戻せば、黒い瞳から外せない程に綺麗で…見詰めてしまう。心が解れていくように広がり揺蕩う。
思ってる言葉が心に留まらずのふわりと口から溢れ、その目が「好きです」と呟いていた。
いきなり言葉も飲み込まれるように私の唇は、彼の大きな口に塞がれて…緩く結ばれていた唇に湿った柔らかいのが触れた。急に接触してくるから驚いて開いたら口の中にそれが入ってきた。
唇を割ってヌルッと差し込まれたそれは歯列を越えて私の舌に触れた。それは彼の舌だと分かった。分かったんですけど、どうしたらいいんでしょう…ッ。
「んッ…ふぅん…ん…んふぅ…ッ……ん…」
舌で舌が舐められて、息も唾液も何もかもが吸われて、息がしたくて鼻で吸ってるけど、苦しくて、呻くような音が出て、暴れるような彼の舌が私の口の中で蠢いて…舐められてる…。
混乱して身体が固まって動かない。
注がれる唾液を飲みながら絡まる舌に導かれて彼の口に舌が吸い上げられて…チュパッと音を立てて口が離れてくれた時には、私は口の端からどちらの唾液か分からない液を垂らしながら、口を開けたまま引き出された舌はそのままで、息をするのに忙しく喘いでぐったりとなっていた。
「はぁぁ…はぅぅ…ひゃれ…はぁぁ…にゃん……?」
これ、なんですか?
舌が痺れて上手く喋れませんし、軽い酸欠状態で頭がぼんやりです。彼に支えられてなかったらそのまま倒れ込んでます。
ハァ、ハァとやっと吸えた酸素で口が乾いて、重い舌で唇を舐めるも上手く動かない…泣きそう…。
「俺も好きです」
彼のお顔が近づいてきて、接吻がまた続きなそうです。これは接吻なのでしょうか…私の頭がついてきません…。
好きって言ってくれて、なんだか吸い尽くされる勢いです。口の合わさりを変えながら深いところまで舌を差し込まれて、口内を隅々まで舐められ吸われてます。私の舌も絡められて、舌の根元を舌先でヌルリと撫でられると身体がピクピクと跳ねてしまいます。どうした事でしょう。
全身で好きだと言ってくれてるのは分かるのですが、苦しくて、支えを探して手を動かしているのですが、彼の胸や首を撫でるだけで上手くいかず、逆に彼に強く抱きしめられて、乾いた口も唇も彼に濡らされて、もう頭の芯も身体もトロトロで…。
上顎を舐めれられると背筋を何かが駆け上がって脳天から抜けていくようで…。
「んんぅぅ………ッ」
彼に縋り付くしか出来なくて…気が遠くなりそうです。彼の太い首の後ろに手を這わして撫でる事でなんとか落ち着いた。
「…んはぁ…はぁぁ…はぁ……」
間近で彼が見てる…。酷い顔をしてると思うが、隠す手も彼に預けて出来なくてぼんやり見返していた。
何か言いたいのに、言葉が出ない…出せない。でも、大好きが溢れていた。香りも溢れていると思う…。
鼻先が何度も触れ合う。チュッチュと音を立てて唇が啄まれ吸われてる。
「なんて甘いんだ…唾液も舌も…とても甘い…」
彼の呟いも呟きと共に撫でる息も愛おしくて、近づく唇に時々自らも押してけたり、啄んでみたり、舐めたりしていたが、それも次第に出来なくてなって、彼の香りの包まれてその中に沈んでいった…。
包まれる暖かな波間に彼の「好きです」という囁きを耳に、唇に彼を感じながら沈んでいった…。
「静かだと思ったら、寝てるよ。…二人とも疲れたんだろうね」
小兄さまの小さな囁く声が聞こえます。
寝てた…。
頭が枕じゃないのに乗ってる…?
重い瞼を押し上げようとしても怠くて…諦めて寝たふりをする事にした。
重くて温かいのが身体の上にあって包まれていて…。息をすれば大好きな香りが鼻腔を満たして肺いっぱいに満たされて、幸せいっぱいな気分に浸る…。
愛おしい香りに包まれて…彼に包まれて…抱きしめられて寝ていた。
……あっ、私は…。思い出して悶えそうになった。
なんて事でしょう…。
接吻の最中に寝てしまったようです。
恥ずかしさに彼の腕の中で、もそりと動いて額に触れていた彼の胸に擦り寄って彼で顔を隠した。彼の寝息が聞こえるが、心持ち抱き直してくれた気がする。
「…寝てなさい…夕食時に起こしに来るから…。すまないな…」
大兄さまの声がして、何かを掛けてくれた気がする。静さんに謝ってる気がする。私も謝りたいです。
私は大きな彼にすっぽりと包まれてぽかぽかです。
庭の戸が閉まる音がしてる。小兄さまが締めてくれるような気がする。開けたままにしてたようだ。
私が恥ずかしさに動揺して香りが揺らいでるのだと思います。寝たふりはバレバレですぅぅうう。
静さんはお疲れだったのです。私も疲れてたのでしょうか…。重しのような何かから解放されたようで確かに気怠く疲れてる気がします…。
うん、疲れてたんですね…。
ふぅ…と深く静かに息を吐き出せば、何もかもが軽くなってきた。暗い私も消えていくようです…。
『静さんの番にして下さい』と彼の胸に顔を埋めながら湧き上がる想いを心の中で呟き、再び深く眠りに沈んでいった…。沈んでいく中、深いため息のようなのを聞いた気がした…。
============
次回ッ(^◇^;)
本当ぉ~に申し訳ないのですが、諸事情で次回が遅れると思いますm(_ _)m
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