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19 》来る ※
しおりを挟む母が私の服を持って行った。背格好の似た女中の子に着せて、父と一緒に温泉旅行に行ってくると出て行った。
鉄道に乗るのが楽しみとはしゃいでいたから、楽しい旅行になるとは思うけど…。
兄たち曰く、出産なら幾らでも手伝うけど、無理ッってジタバタしてたらしい。
…察します。
私としても両親が居ないのは、救いと言うか、色々と頭が許容量を超えて、また倒れそうです。
そろそろ私の身体も耐性がついて欲しいです。最後まで気を失わないで下さいよ。ふんすッ。
女中さんを私に仕立てての作戦みたいです。鉄道は個室を予約したと、雑用をこなして帰って来た大兄さまが、私の庭で木刀を振りながら教えてくれました。
帽子も持って行ったから、それで誤魔化したのかと思ったら、カツラまで用意してたとか。女中さんはノリノリで母と楽しそうだったそうです。
鉄道の個室で変装を解く予定だとか。私は途中でドロンです。何やら冒険活劇ですね。
女中さんも歌劇団好きだったとか…。
キャッキャしてる母たちが目に浮かぶようです。なんだか疲れました。
ブンブンと素振りしてる兄は筋肉を育てるのに余念がないようです。充分な気がしますけど…。
私の庭でする必要はありますか?
寂しくはなりませんけど…。ありがとうね。
このところ朝の目覚めがよろしくないです。
身体が重い…。
今も部屋でゴロゴロしながら、兄と話してる訳ですが…。
明日には出立するとかで父が仕事を片付けてるとか…。夫婦で旅行なんていつぶりでしょうね。楽しんで貰えると嬉しいですね。
「お土産は温泉饅頭がいいです」
「おお、フンッ、伝えて、おく、フンッ、フンッ…」
ちょっと鬱陶しくなってきた。
お腹、痛い……。
母たちが出立して行き、今日は来客もなく、私は、腹痛に苦しんでいました。
拾い喰いなんてしてないです。アレです。待ってたようなものですけど…。
お風呂に入ったりして、準備をしてたら…準備ッ。赤面ですよ。来たんです。静さんも来てくれます。
もう頭が沸騰しそうです。
取り敢えず、身綺麗にしています。兄たちが近づかないようにしてくれるのはありがたいです。恥ずかし過ぎて倒れそうです。
今から静さんと籠るんです。巣篭もりみたいで恥ずかしくて、お布団に潜ってしまいました。ジタバタしそうで、するのも恥ずかしくて、小さくなって…ます。ぷるぷる…
「五鈴さん…?」
ほへ?
お腹がズクズクと痛むような疼くような波を抱えてお布団に潜って丸まってる内に寝てしまったようです。
私の頭は回路を切ってしまえばいいと思ってるでしょうか。困ったもんだ。
目を覚ましたけど、頭はぼんやりです。
私を呼んでくれる声がお布団の向こうに聞こえます。とってもいいお声で私を呼んでくれますね。
もそもそ…ぷはぁッ
髪がボサボサな気がします。お布団から頭を出しました。いい香りです。うっとり…。
目の前に覗き込んでる静さんと目が合いました。お顔も近いです。
四角いお顔。心配顔の厳ついお顔が柔和に崩れました。
目尻のおシワが好きって言ったら、困らせるだろうか…。ぽやぁと見ていた。
「五鈴さん、会いたかった…」
いつでも会えたのに来なかったのはあなたです。
「悪いと思ってますか?」
ぼんやりして頭の言葉と声に出した言葉が繋がってます。通じない意地悪を言ってました。返事がない事で言葉にしてない事に思い当たりました。寝ぼけてますねぇ。
「来なくて悪いと思ってるなら、接吻して下さい」
ぼんやりが継続してます。私のぽやぽやとした頭のまま、彼をなじって唇を尖らせて要求です。
お布団から頭を出しただけの亀さんのまま唇を突き出して催促です。
「自覚がありますか?」
笑ってます。自覚ってなんですか?
「謝罪がしたかったら、して下さい」
笑ってるのにため息混じりの言葉に少しムッとしてキツく言ってました。
言葉がすれ違ってる気がしますが、今は静さんと会えて嬉しいんです。
ほらほら~と顎を上向きにしてます。構って下さい。接吻して下さい。私は大胆です。怒ってるんです。要求するんです。
半笑いの軽い唇の接触。
ん?
これが謝罪ですか?
嬉しいのだけど、なんだか違います。もっとこう…
彼の香りに包まれてうっとりです。
蕩けそうです。もっと近くで彼を感じたくて仕方がないのです。
離れていく唇に自ら伸び上がって追いかけて唇を触れさせます。唇を少し離れても動かないので、再び唇を触れ合わせます。
ピタッと動きが止まったので、やりたい放題です。
チュッチュと唇を触れて、彼の唇を啄んで、軽く引っ張って離して…チュッと軽くお口に吸い付きました。
いつまでもチュッチュと啄んでいたい気分です。亀さんから雀さんになった気分です。
香りが濃く漂って私の身体の隅々まで入り込んで満たして来ます。静さんに浸かっていくようです。
そっと唇から離れて静さんのお顔を見れば、眉間にシワが寄ってます。渋みは増しますが、難しいお顔はしないで欲しいな…。
静さんの大きな手が私の乱れた髪を優しく撫でつけ、耳から耳の後ろを指がなぞり首を撫でて、布団と私の身体の隙間に差し込まれて来ます。
彼から目が離せなくて、見つめてます。香りが濃くなってきた気がします。
身体を撫でられて全身がゾクゾクと震えてしまいます。寒い訳ではなく芯から熱がジリジリと焼くように溢れてきます。
私はどうしたらいいのでしょう。何をしていいか考えられずにされるがまま…。
私をお布団から引き出してしまいました。
大きな身体に抱き抱えられて、彼の胡座の中に収まってしまいました。
優しくも深い接吻が贈られます。
背中に彼の大きな手の温もりを感じてもっと彼の熱を感じたくて、浴衣の合わせに手を差し入れてました。彼の肌に触れてます。しっとり汗を感じます。
彼も風呂を済ませて大きな身体に浴衣を着流して雄の色香を滲ませていて…嫉妬してしまいそうです。
私には大きな身体も逞しい体躯もありません。
ガーベラの赤い色のような、それ以上に情熱的な接吻を受け入れながら、惨めになってきました。この男の身体が恨めしい。女性のような膨らみも丸味も柔らかさもない…。
私を好いてくれた静さん。
本当にいいのでしょうか。まだ番ってない今なら引き返せるかも…。
涙が目尻を伝ってしまいました。
こんな私ですが、あなたと居たい…。どこまでも一緒にいたいのです…。
絡められる舌に舌を絡めていく。
熱心に舌を追っている内に頭が冴えるように思考が回りだす…。
確固たる何かがあっても私は私自身も信じられないのだろう。家族以外からの愛情を信じられない。小さな人間だ。人間か…少し前までその人間さえも捨てようとしていた。
人形であろうと準備をしてきた者が舵切りされて自由だと放り出されれば、そうなるのも道理ではないか…。
唇が音を立てて離れる。光る糸が彼と繋がってる。それもぷつりと切れてしまった。
軽く息が上がってるが、気を失わずに済んでる。
頭の中は色々な思考が湧いては巡って弾けては沈む。
彼の黒い瞳に私はどう映ってるのだろうか…。私が私として映っていればいいな…。
「好きです。手加減は…善処しますが…「無理はしなくていいですよ。静司さんが好きなようにしてくれたら…」
言葉を遮ってしまった。身体が疼く。腹の奥がきゅうきゅうと何かを待ってる。後ろの穴がヒクついて粘液を垂らしてハリ型じゃない物を待ちわびてる。
Ωの身体がαを求めている。
「静司さん…切ないんです。切なくてどうにかなりそうです…」
どう表現していいか分からない。とにかく突起という突起が外に向けて尖り切なく震えていた。布に擦れて疼く。浴衣の布を押し上げて情けなく布を濡らして恥ずかしい…。
段々と思考がこの身体をどうにかしたいという欲求が頭を占めていく。本能だけで動く動物のようになるのだろうか…。それの方が今よりは心は楽になるだろうか…。
私はどうしようも弱く、卑下ていて、浅ましい。そんな私を見せずに居られるだろうか…。
「煽らないで…暴走して、五鈴さんを傷つけたくないんです」
食いしばる歯の隙間から荒い息が漏れてる。
我慢強いの範囲を超えてる。汗が滲む額を掌で撫でて汗を拭ってやる。
彼の頬を撫でると微笑む顔に微笑み返していた。
私は緊張していたのか、肩に力が入ってたようだ。力が抜けていくが、前が痛い程に勃ち上がってる。男の身体で男を欲してる…。
否、静さんを欲してる。彼が欲しい。
肌から手を離し、肩に触れて腕に手をかけ、背中に回っていた手を引き寄せ掴み、私の少しはだけてる裾の合わせに手を誘導する。腕を掴み逃がさない。
脚を開き、股の奥、濡れそぼる後孔に当てさせた。指が一瞬後ろに引かれたが、手で押し戻させた。静さんの指が触れている。それだけで身体が歓喜している。
「入れて…?」
戸惑う指がゆっくり窄まりを撫でてる。
排泄孔が今は生殖孔となってる。粘液で濡れてる。指を入れるのに抵抗はないだろう。ひと思いにずっぷり入れてしまってくれ。
ツプっと太い指がハリ型しか知らないところへ入っていく…。
「はぁぁ……」
ゆるゆると差し込まれる指が、あまりにゆっくりで指を感じ取れる。爪を、関節を、皮膚感さえも感じられそうだ。
奥へとにゅるっと入っていく。
身体が歓喜に震える。吐息が漏れた。
===================
前置きが長かった分、※ の回が長くなりそうです( ̄▽ ̄;)
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