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「いちっ!!にっ!!」
──朝からうるさい……
ブラウの声で起こされた。
一体何をやっているのかと、のそのそベッドから出て外を見に行く。
「ふぁ~ぁ、ブラウ……朝から何してんだ?」
「あ!ごめんなさい、起こしちゃいました!?」
ブラウはどうやら腕立てをしていたらしい。
いつからやっていたのか、ブラウの額から汗が滴り落ちている。
「……体力作りか?」
「ええ、コルネリアさんに子供扱いされない為にも、もっと筋肉をつけてやるんです!!」
「ほお、それは楽しみだな」
自ら進んで体力作りとは、感心感心。
しかし、初日からこんなハードにやり込むと……
「昼頃か……?」
「何が?」
「今に分かる」
私の微笑みに、どこか不安そうなブラウ。
※
「いっっってぇぇぇぇ!!!」
「ほら、分かったろ?」
案の定、昼過ぎ筋肉痛がきた。
若いから筋肉痛になるのも早いな。
「まったく、初日から何も考えず無闇にやるからこんな事になるんだよ」
バチン!!
動けずにいるブラウの肩に、筋肉疲労に効く薬草を擦り込んだ布を貼り付ける。
「いてぇ!!もうちょっと優しくしてくださいよ~」
「何言ってんだ。大の男がみっともない」
ブラウはブツブツ泣き言を言っている。
まずは根性を叩き直すか?
「さて、私は薬草を採りに行ってくる」
「俺も……いっっ!!」
慌てて付いてこようとしたが、痛みで動きが悪い。
「お前は、留守番だ。そんなんで付いてこられても足でまといだ」
「……はい……」
渋々諦め、横になった。
それを見届けてから私は外へ出た。
空を見れば、雲行きが怪しい。
──これは早くしなければならないな。
急いで森の中へと入り、目的の薬草を探す。
しかし、今日に限って中々見つからない。
どんどん奥へと足を進める。
──これ以上は止めとくか……
仕方なく、諦めようとした時
キュッキュッ……
「おや?」
鳴き声の方を見ると、そこには子角兎がじっとこちらを見ていた。
「仲間はどうした?」
ゆっくり子角兎に近づくが、逃げる気配がない。
それどころか、私に何か伝えようとしている。
「……何か頼み事か?」
キュッ
一声鳴いて着いてこいと言っているように、私の方をチラチラしながら森の奥へと進んで行った。
私は子角兎を見失わないように後をついて行く。
しばらく行くと、大きな木の下に着いた。
そこには、ぐったりと横たわる巨体の角兎がいた。
「……こいつは、お前の親か?」
キュッキュッ
「そうか、私に助けを求めたのだな」
子角兎の、頭を撫でながら優しく言う。
しかし、この親は相当デカイな。
空はますます怪しい雰囲気になってきたし……
──一旦家に連れてくか。
「お前もおいで」
子角兎を抱き抱え、家まで一気に飛んだ。
ドスンッッ!!!
「うおっ!!!」
突然現れた角兎と私にブラウが驚き、飛び起きた。
「な、な、なんですか!?このどデカい兎は!!?」
「ああ、助けを求められてな。外は雨が降りそうだったし、家に連れてきた。可愛いだろ?」
「貴方はなんでも、拾ってくるんですか!?」
「失礼な。拾ってはいない。兎助けだ」
横でギャーギャーうるさいブラウはほっておいて、親角兎の具合を見る。
ポウと手のひらを光らせ、親角兎の体を隅々まで探る。
──これは……
「……食べすぎだ」
胃のあたりに違和感があり、よく調べると腹の中がパンパンだった。
「お前、母ちゃんに食べ過ぎは良くないぞって教えときな。胃薬出してやるから」
キュキュッ!!
子角兎は私に抱きつき、顔を擦り付けてきた。
感謝の気持ちなんだろう。
「今日は遅いから、ここに泊まりな」
「はぁ!?こんなドデカい兎泊めれませんよ!?」
「うるさいねぇ。大丈夫だよ、お前が外で寝な」
「俺の扱いが酷い!!」
相変わらずうちは賑やかい。
でも、悪くは無い……
──朝からうるさい……
ブラウの声で起こされた。
一体何をやっているのかと、のそのそベッドから出て外を見に行く。
「ふぁ~ぁ、ブラウ……朝から何してんだ?」
「あ!ごめんなさい、起こしちゃいました!?」
ブラウはどうやら腕立てをしていたらしい。
いつからやっていたのか、ブラウの額から汗が滴り落ちている。
「……体力作りか?」
「ええ、コルネリアさんに子供扱いされない為にも、もっと筋肉をつけてやるんです!!」
「ほお、それは楽しみだな」
自ら進んで体力作りとは、感心感心。
しかし、初日からこんなハードにやり込むと……
「昼頃か……?」
「何が?」
「今に分かる」
私の微笑みに、どこか不安そうなブラウ。
※
「いっっってぇぇぇぇ!!!」
「ほら、分かったろ?」
案の定、昼過ぎ筋肉痛がきた。
若いから筋肉痛になるのも早いな。
「まったく、初日から何も考えず無闇にやるからこんな事になるんだよ」
バチン!!
動けずにいるブラウの肩に、筋肉疲労に効く薬草を擦り込んだ布を貼り付ける。
「いてぇ!!もうちょっと優しくしてくださいよ~」
「何言ってんだ。大の男がみっともない」
ブラウはブツブツ泣き言を言っている。
まずは根性を叩き直すか?
「さて、私は薬草を採りに行ってくる」
「俺も……いっっ!!」
慌てて付いてこようとしたが、痛みで動きが悪い。
「お前は、留守番だ。そんなんで付いてこられても足でまといだ」
「……はい……」
渋々諦め、横になった。
それを見届けてから私は外へ出た。
空を見れば、雲行きが怪しい。
──これは早くしなければならないな。
急いで森の中へと入り、目的の薬草を探す。
しかし、今日に限って中々見つからない。
どんどん奥へと足を進める。
──これ以上は止めとくか……
仕方なく、諦めようとした時
キュッキュッ……
「おや?」
鳴き声の方を見ると、そこには子角兎がじっとこちらを見ていた。
「仲間はどうした?」
ゆっくり子角兎に近づくが、逃げる気配がない。
それどころか、私に何か伝えようとしている。
「……何か頼み事か?」
キュッ
一声鳴いて着いてこいと言っているように、私の方をチラチラしながら森の奥へと進んで行った。
私は子角兎を見失わないように後をついて行く。
しばらく行くと、大きな木の下に着いた。
そこには、ぐったりと横たわる巨体の角兎がいた。
「……こいつは、お前の親か?」
キュッキュッ
「そうか、私に助けを求めたのだな」
子角兎の、頭を撫でながら優しく言う。
しかし、この親は相当デカイな。
空はますます怪しい雰囲気になってきたし……
──一旦家に連れてくか。
「お前もおいで」
子角兎を抱き抱え、家まで一気に飛んだ。
ドスンッッ!!!
「うおっ!!!」
突然現れた角兎と私にブラウが驚き、飛び起きた。
「な、な、なんですか!?このどデカい兎は!!?」
「ああ、助けを求められてな。外は雨が降りそうだったし、家に連れてきた。可愛いだろ?」
「貴方はなんでも、拾ってくるんですか!?」
「失礼な。拾ってはいない。兎助けだ」
横でギャーギャーうるさいブラウはほっておいて、親角兎の具合を見る。
ポウと手のひらを光らせ、親角兎の体を隅々まで探る。
──これは……
「……食べすぎだ」
胃のあたりに違和感があり、よく調べると腹の中がパンパンだった。
「お前、母ちゃんに食べ過ぎは良くないぞって教えときな。胃薬出してやるから」
キュキュッ!!
子角兎は私に抱きつき、顔を擦り付けてきた。
感謝の気持ちなんだろう。
「今日は遅いから、ここに泊まりな」
「はぁ!?こんなドデカい兎泊めれませんよ!?」
「うるさいねぇ。大丈夫だよ、お前が外で寝な」
「俺の扱いが酷い!!」
相変わらずうちは賑やかい。
でも、悪くは無い……
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