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あれから少しずつだが、リラの喋り方も安定してきた。
ブラウが甲斐甲斐しく面倒をみたのもあるのかもしれんな。
「ブラウ!!ルーのご飯、食べたのブラウでしょ!?」
「はぁ!?俺は食ってねぇよ!!お前やったの忘れてんじゃねぇの!?」
「そんな事、ない!!」
相変わらず我が家は賑やかだ……
しかし、今の私は絶賛二日酔い。頭に響くから静かにしてくれ。
「コルネリアさん!!ブラウが!!」
「コルネリアさん!!リラが!!」
二人揃って私の元へ駆け寄って、自分の訴えを話しだす始末。
「あ゛~!!分かった分かった!!頼むから静かにしてくれ!!」
「もぉ、だから昨日飲み過ぎだって言ったじゃないですか!?」
「飲み過ぎは体に悪い、コルネリアさん居なくなったら、リラ悲しい」
──リラ、勝手に殺さないでくれ……
「要は、誰がルーの飯を食ったかだろ?」
「「そうです!!」」
まったく、たかが飯ごときで良くもまぁ、ここまで揉めることが出来るもんだ。
「……ルー、お前本当に食ってないのか?」
キュッ!?キューキュー!!
一応当事者のルーに食ってないか確認を取ると、疑われたのに腹が立ったらしく、私に飛びかかって抗議した。
「……そうか、疑って悪かったよ。そんなに怒るな」
──ルーも食ってないとなると……
ジッとブラウの方を見る。
「だから俺じゃないって!!コルネリアさんまで酷くない!?」
──ブラウも違うか……
残るは私とリラだが、当然私は違う。それ以前に飯など食える状態じゃない。
リラは食事当番だからな。その当番が食うはずない。
──となると……
「……この家の中に私達以外の誰かがいるということか?」
「えっ!?」
だが、おかしい。
この家には隠秘の魔法をかけている。
そんな簡単には見つからない筈なんだが……
どちらにせよ、犯人を突き止めなければ話にならん。
「はぁ、探索は得意じゃないんだがな……」
目を瞑り、意識をこの家全体に集中させる。
すると、調理場の食材庫に動く影を見つけた。
「ブラウ!!食材庫だ!!」
「はい!!」
すぐに剣を手にしたブラウが食材庫へと走って行った。
──こそ泥ぐらい、ブラウ一人で大丈夫だろ。
そう思って、水を飲んでいたのだが……
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」
突然ブラウの悲鳴が響き渡った。
当然、すぐに駆けつけた。
「ブラウどうした!?」
「あ、あ、あ、あれ……」
「ん?」
ブラウの指さす方を見ると、食材が置いてある棚の上で動く黒い影があった。
よく見ると、そいつは──
「……アナ……グマ?」
しかも、いい感じに膨らんだ袋を背負っている。
あの中に食材を入れたとみえるな。
しかし、野生のアナグマがあんな物背負ってる訳が無い。
──何者かの差し金か?
「……おい、お前。うちに入り込むとは中々、度胸のある奴だな。私は今、二日酔いとブラウとリラに起こされて少々気が立っている……覚悟は出来てるんだろうな?」
バチバチと火花を散らしながら、今だに食材を漁っているアナグマに言うと、アナグマはこちらを見るなり、素早い動きで私の横を通り過ぎて行った。
──しまった!!
「ルー!!追え!!」
キュー!!!
あの速さではブラウは追いつけないと判断し、ルーに託す。
ルーも自分の飯を盗られた恨みがあると見えて、物凄い速さで追いかけて行った。
私達は急いでルー母さんを呼びに、ルーの住処へ向かった。
「ルー母さん!!ルーの後を追って欲しい!!居場所分かるか!?」
ルーの母親なら匂いで追えるはずと思い、ルーの所まで案内を頼んだ。
ギュッ!!
ルー母さんは一瞬戸惑った様子を見せたが、直ぐに親指を立てて、任せろと言っている様だった。
そして、私達はルー母さんと一緒にルーの後を追った。
ブラウが甲斐甲斐しく面倒をみたのもあるのかもしれんな。
「ブラウ!!ルーのご飯、食べたのブラウでしょ!?」
「はぁ!?俺は食ってねぇよ!!お前やったの忘れてんじゃねぇの!?」
「そんな事、ない!!」
相変わらず我が家は賑やかだ……
しかし、今の私は絶賛二日酔い。頭に響くから静かにしてくれ。
「コルネリアさん!!ブラウが!!」
「コルネリアさん!!リラが!!」
二人揃って私の元へ駆け寄って、自分の訴えを話しだす始末。
「あ゛~!!分かった分かった!!頼むから静かにしてくれ!!」
「もぉ、だから昨日飲み過ぎだって言ったじゃないですか!?」
「飲み過ぎは体に悪い、コルネリアさん居なくなったら、リラ悲しい」
──リラ、勝手に殺さないでくれ……
「要は、誰がルーの飯を食ったかだろ?」
「「そうです!!」」
まったく、たかが飯ごときで良くもまぁ、ここまで揉めることが出来るもんだ。
「……ルー、お前本当に食ってないのか?」
キュッ!?キューキュー!!
一応当事者のルーに食ってないか確認を取ると、疑われたのに腹が立ったらしく、私に飛びかかって抗議した。
「……そうか、疑って悪かったよ。そんなに怒るな」
──ルーも食ってないとなると……
ジッとブラウの方を見る。
「だから俺じゃないって!!コルネリアさんまで酷くない!?」
──ブラウも違うか……
残るは私とリラだが、当然私は違う。それ以前に飯など食える状態じゃない。
リラは食事当番だからな。その当番が食うはずない。
──となると……
「……この家の中に私達以外の誰かがいるということか?」
「えっ!?」
だが、おかしい。
この家には隠秘の魔法をかけている。
そんな簡単には見つからない筈なんだが……
どちらにせよ、犯人を突き止めなければ話にならん。
「はぁ、探索は得意じゃないんだがな……」
目を瞑り、意識をこの家全体に集中させる。
すると、調理場の食材庫に動く影を見つけた。
「ブラウ!!食材庫だ!!」
「はい!!」
すぐに剣を手にしたブラウが食材庫へと走って行った。
──こそ泥ぐらい、ブラウ一人で大丈夫だろ。
そう思って、水を飲んでいたのだが……
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」
突然ブラウの悲鳴が響き渡った。
当然、すぐに駆けつけた。
「ブラウどうした!?」
「あ、あ、あ、あれ……」
「ん?」
ブラウの指さす方を見ると、食材が置いてある棚の上で動く黒い影があった。
よく見ると、そいつは──
「……アナ……グマ?」
しかも、いい感じに膨らんだ袋を背負っている。
あの中に食材を入れたとみえるな。
しかし、野生のアナグマがあんな物背負ってる訳が無い。
──何者かの差し金か?
「……おい、お前。うちに入り込むとは中々、度胸のある奴だな。私は今、二日酔いとブラウとリラに起こされて少々気が立っている……覚悟は出来てるんだろうな?」
バチバチと火花を散らしながら、今だに食材を漁っているアナグマに言うと、アナグマはこちらを見るなり、素早い動きで私の横を通り過ぎて行った。
──しまった!!
「ルー!!追え!!」
キュー!!!
あの速さではブラウは追いつけないと判断し、ルーに託す。
ルーも自分の飯を盗られた恨みがあると見えて、物凄い速さで追いかけて行った。
私達は急いでルー母さんを呼びに、ルーの住処へ向かった。
「ルー母さん!!ルーの後を追って欲しい!!居場所分かるか!?」
ルーの母親なら匂いで追えるはずと思い、ルーの所まで案内を頼んだ。
ギュッ!!
ルー母さんは一瞬戸惑った様子を見せたが、直ぐに親指を立てて、任せろと言っている様だった。
そして、私達はルー母さんと一緒にルーの後を追った。
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