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──ラルス視点──
私には憧れている人がいる。
それは私の相棒であり、上司でもある魔法騎士団団長のコルネリア。
コルネリアは大魔女と呼ばれているほどの魔力の持ち主で、騎士団に入隊するなら否や、すぐに団長まで上り詰めた。
容姿端麗で剣を振るう姿はまるで舞を踊っているように美しい。その姿に何人もの騎士が見惚れてきた。私もその一人。
──美しい……
コルネリアは戦場の女神とも呼ばれるようになったが、性格は女神とは程遠い鬼神の様な人で、騎士団の鬼神とも呼ばれていた。
その一方で、私は自分の容姿をよく仲間の騎士達にバカにされた。
「そんな綺麗な顔だけじゃ騎士はやれねぇぞ」「男娼になった方がいいんじゃないのか?」「お前が来てから女共がやたら来てうるせぇんだよ」
様々な言葉を言われ、騎士を辞めようと考えていた。
そんな時、コルネリアがそばに寄ってきて「こんな事で負けるんじゃない。男だろ?男ならのし上がって見返してやれ。お前にはそれぐらい出来るだろ?」
そう言うとコルネリアは微笑んだ。
その笑顔がとても愛らしく、可愛らしかった。
──本当に鬼神?いや、こんな鬼神見た事ない。この人は女神だ……
その瞬間、私は何としてでもコルネリアのそばに居たいと思った。
血のにじむ様な努力をし、副団長までのし上がった。
そんな私をコルネリアは大変喜んでくれた。
「ラルス!待ってたぞ!これから私の相棒としてよろしく頼むな!」
変わらぬ笑顔で私を迎えてくれたのだ。
そして気づいた。私はコルネリアに惚れているのだと……
いつの間にか憧れから恋心へと変化していたのだ。
それからは、コルネリアの片腕として励んだ。
「コルネリアはいつも美しいですね」
「あ?そんな事言う暇があったら、仕事をしろ」
時折、私の恋心に気づいて欲しくて甘い言葉を掛けたが、コルネリアには全然効かなかった。
「コルネリア、貴方を愛しています」
「まったくお前は、冗談は程々にして早く身を固めろ!女共が毎日喧しい!!」
ストレートに気持ちを伝えても、コルネリアは冗談と受け取る。ここまで鈍感だと一層清々しい。
しかし、こんな毎日が楽しくて仕方ない。
こんな毎日がいつまでも続くと思っていた。あの時までは……
※
「何故!?何故私は一緒に行けないんです!?」
「……お前は連れて行けない」
ある日北の山にドラゴンが出たと騒ぎになり。当然の如く、コルネリアに派遣要請が降りた。
私も一緒に行くものだと思っていたが、違った。
コルネリアは、私を任務から外すと言い出した。
「相手はドラゴンですよ!?いくらコルネリアでも無理です!!」
「ほお?私は随分甘く見られている様だな?」
「そういう事じゃありません!!私はコルネリアの相棒ですよ!?その相棒がいなくてどうするんです!?」
「もう既に決まったことだ。反論は許さん」
「──ぐっ」
鋭い目で言われて、黙るしか無かった。
そして、そのままコルネリアは戻ってこなかった……
私には憧れている人がいる。
それは私の相棒であり、上司でもある魔法騎士団団長のコルネリア。
コルネリアは大魔女と呼ばれているほどの魔力の持ち主で、騎士団に入隊するなら否や、すぐに団長まで上り詰めた。
容姿端麗で剣を振るう姿はまるで舞を踊っているように美しい。その姿に何人もの騎士が見惚れてきた。私もその一人。
──美しい……
コルネリアは戦場の女神とも呼ばれるようになったが、性格は女神とは程遠い鬼神の様な人で、騎士団の鬼神とも呼ばれていた。
その一方で、私は自分の容姿をよく仲間の騎士達にバカにされた。
「そんな綺麗な顔だけじゃ騎士はやれねぇぞ」「男娼になった方がいいんじゃないのか?」「お前が来てから女共がやたら来てうるせぇんだよ」
様々な言葉を言われ、騎士を辞めようと考えていた。
そんな時、コルネリアがそばに寄ってきて「こんな事で負けるんじゃない。男だろ?男ならのし上がって見返してやれ。お前にはそれぐらい出来るだろ?」
そう言うとコルネリアは微笑んだ。
その笑顔がとても愛らしく、可愛らしかった。
──本当に鬼神?いや、こんな鬼神見た事ない。この人は女神だ……
その瞬間、私は何としてでもコルネリアのそばに居たいと思った。
血のにじむ様な努力をし、副団長までのし上がった。
そんな私をコルネリアは大変喜んでくれた。
「ラルス!待ってたぞ!これから私の相棒としてよろしく頼むな!」
変わらぬ笑顔で私を迎えてくれたのだ。
そして気づいた。私はコルネリアに惚れているのだと……
いつの間にか憧れから恋心へと変化していたのだ。
それからは、コルネリアの片腕として励んだ。
「コルネリアはいつも美しいですね」
「あ?そんな事言う暇があったら、仕事をしろ」
時折、私の恋心に気づいて欲しくて甘い言葉を掛けたが、コルネリアには全然効かなかった。
「コルネリア、貴方を愛しています」
「まったくお前は、冗談は程々にして早く身を固めろ!女共が毎日喧しい!!」
ストレートに気持ちを伝えても、コルネリアは冗談と受け取る。ここまで鈍感だと一層清々しい。
しかし、こんな毎日が楽しくて仕方ない。
こんな毎日がいつまでも続くと思っていた。あの時までは……
※
「何故!?何故私は一緒に行けないんです!?」
「……お前は連れて行けない」
ある日北の山にドラゴンが出たと騒ぎになり。当然の如く、コルネリアに派遣要請が降りた。
私も一緒に行くものだと思っていたが、違った。
コルネリアは、私を任務から外すと言い出した。
「相手はドラゴンですよ!?いくらコルネリアでも無理です!!」
「ほお?私は随分甘く見られている様だな?」
「そういう事じゃありません!!私はコルネリアの相棒ですよ!?その相棒がいなくてどうするんです!?」
「もう既に決まったことだ。反論は許さん」
「──ぐっ」
鋭い目で言われて、黙るしか無かった。
そして、そのままコルネリアは戻ってこなかった……
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