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──ラルス視点──
私の元に全滅の報告が来たのは、朝方だった。
すぐさま、国王の元に出向きどういう事か問いただした。
すると、一緒に行った騎士達の半数はリタイアして戻ってきたと言うではないか。
国王にどうして、追加の騎士を要請しなかったのか聞くと「コルネリアなら一人でも大丈夫だと思った」こんなふざけた言葉が返ってきた。
──私達はこんな奴らの為に、命を懸けて戦ってきたのか?
胸の中にどす黒いものが湧きだしたような気がした。
それからすぐに、大魔女コルネリアの死亡が各国に広まった。
すると、この国を欲する隣国が早速攻めてきた。
私はいち早くこの情報を掴み、国を出た。
──何故コルネリアを見殺しにするような国を助けねばいけない?
私は一度北の山へコルネリアの亡骸を探しに行った。
しかし、騎士達の亡骸はあるものの、コルネリアの亡骸は見つからなかった。
しかも、微かだがコルネリアの魔力を感じた。
──もしかしたら、生きているかもしれない!!
そう思った私は、コルネリアを探す事にした。
私の上司はコルネリアしかいない。私は生涯コルネリアの相棒でありたい。
しかし、何年経っても見つからず体は年老いていく一方だ。このままではコルネリアを見つけ出す前に私が死んでしまうと思い、どうにかしなければと考えていた。
その時、転生魔法の事を思い出した。
転生魔法は禁忌だ。しかし、そんな事言っている場合ではない。私には時間が無いのだ。
思うより早く体が動いていた。
禁忌文献が保管されているのは、教会の地下。
何重にも施錠された扉の奥に、目的の物がある。
──これぐらい、私には容易いこと。
私は施錠を壊し、文献を漁り、目的の物だけ回収しその場を後にした。
いよいよ命が尽きようとした時に転生魔法を自身にかけた。
上手くいくかどうかは五分五分だった。
そして、目を開けて見れば肉体は若返り、力がみなぎっている。
どうやら上手くいったらしい。まあ、顔は変わってしまったが問題ない。
それから何年、何百年と転生を繰り返したが、コルネリアは見つからなかった。
──コルネリアはもう……
諦めが頭をかすめる。
ある日、とある街に足を向けた。
何年か前に、一度来た事のある街だった。
その街に足を踏み入れた瞬間、ブワッと懐かしい魔力に包まれた。
長年探していた愛しい人の魔力だ。
私は無我夢中で街中を探した。
そして、一件の薬屋で足が止まった。
──ここだ……
ようやく見つけた。高ぶる胸を抑えつつ扉に手をかけようとした瞬間……
ドンッ
「すまん!前を見ていなかった!」
「いや、こちらこそすみません。よそ見を……」
ぶつかった人の顔を見て思わず息を飲んだ。
ずっと、ずっと探していた人が目の前にいたから……
「じゃあ、ごゆっくり……」
コルネリアは私に気づかずその場を去ろうとしたが、急いで腕を掴んだ。
「ちょ、ちょっと待ってください!!コルネリア!!」
その名前を叫んだら、コルネリアは驚いたように目を見開いていた。
コルネリアは昔の容姿のまま、美しかった。
ああ、ようやく会えた……
これからまた一緒に戦える。またあの美しい姿が見れる。
そう思っていが、コルネリアは騎士にはならないと言う。
今回はのんびり過ごしたいと……
そう言う割には弟子を取っているんだから、面倒みの良さは変わりないようだ。
──まあ、騎士はおいおいでいい。
そんな事を思っていると、コルネリアがバタバタと出て行ってしまった。
どうやら、もう一人弟子がいるらしい。
──本当にお人好しな人だ。
貴方は私の事を今だに部下だと思っていますね?
私はもう部下だけでは足りないんですよ。
貴方の心に私を刻みたい。
私だけのものにしたい。そんな事を考えるただの男なんです。
貴方のことは私が一番よく分かっています。
私に堕ちてきて下さい。全力で受け止めますから……
私の元に全滅の報告が来たのは、朝方だった。
すぐさま、国王の元に出向きどういう事か問いただした。
すると、一緒に行った騎士達の半数はリタイアして戻ってきたと言うではないか。
国王にどうして、追加の騎士を要請しなかったのか聞くと「コルネリアなら一人でも大丈夫だと思った」こんなふざけた言葉が返ってきた。
──私達はこんな奴らの為に、命を懸けて戦ってきたのか?
胸の中にどす黒いものが湧きだしたような気がした。
それからすぐに、大魔女コルネリアの死亡が各国に広まった。
すると、この国を欲する隣国が早速攻めてきた。
私はいち早くこの情報を掴み、国を出た。
──何故コルネリアを見殺しにするような国を助けねばいけない?
私は一度北の山へコルネリアの亡骸を探しに行った。
しかし、騎士達の亡骸はあるものの、コルネリアの亡骸は見つからなかった。
しかも、微かだがコルネリアの魔力を感じた。
──もしかしたら、生きているかもしれない!!
そう思った私は、コルネリアを探す事にした。
私の上司はコルネリアしかいない。私は生涯コルネリアの相棒でありたい。
しかし、何年経っても見つからず体は年老いていく一方だ。このままではコルネリアを見つけ出す前に私が死んでしまうと思い、どうにかしなければと考えていた。
その時、転生魔法の事を思い出した。
転生魔法は禁忌だ。しかし、そんな事言っている場合ではない。私には時間が無いのだ。
思うより早く体が動いていた。
禁忌文献が保管されているのは、教会の地下。
何重にも施錠された扉の奥に、目的の物がある。
──これぐらい、私には容易いこと。
私は施錠を壊し、文献を漁り、目的の物だけ回収しその場を後にした。
いよいよ命が尽きようとした時に転生魔法を自身にかけた。
上手くいくかどうかは五分五分だった。
そして、目を開けて見れば肉体は若返り、力がみなぎっている。
どうやら上手くいったらしい。まあ、顔は変わってしまったが問題ない。
それから何年、何百年と転生を繰り返したが、コルネリアは見つからなかった。
──コルネリアはもう……
諦めが頭をかすめる。
ある日、とある街に足を向けた。
何年か前に、一度来た事のある街だった。
その街に足を踏み入れた瞬間、ブワッと懐かしい魔力に包まれた。
長年探していた愛しい人の魔力だ。
私は無我夢中で街中を探した。
そして、一件の薬屋で足が止まった。
──ここだ……
ようやく見つけた。高ぶる胸を抑えつつ扉に手をかけようとした瞬間……
ドンッ
「すまん!前を見ていなかった!」
「いや、こちらこそすみません。よそ見を……」
ぶつかった人の顔を見て思わず息を飲んだ。
ずっと、ずっと探していた人が目の前にいたから……
「じゃあ、ごゆっくり……」
コルネリアは私に気づかずその場を去ろうとしたが、急いで腕を掴んだ。
「ちょ、ちょっと待ってください!!コルネリア!!」
その名前を叫んだら、コルネリアは驚いたように目を見開いていた。
コルネリアは昔の容姿のまま、美しかった。
ああ、ようやく会えた……
これからまた一緒に戦える。またあの美しい姿が見れる。
そう思っていが、コルネリアは騎士にはならないと言う。
今回はのんびり過ごしたいと……
そう言う割には弟子を取っているんだから、面倒みの良さは変わりないようだ。
──まあ、騎士はおいおいでいい。
そんな事を思っていると、コルネリアがバタバタと出て行ってしまった。
どうやら、もう一人弟子がいるらしい。
──本当にお人好しな人だ。
貴方は私の事を今だに部下だと思っていますね?
私はもう部下だけでは足りないんですよ。
貴方の心に私を刻みたい。
私だけのものにしたい。そんな事を考えるただの男なんです。
貴方のことは私が一番よく分かっています。
私に堕ちてきて下さい。全力で受け止めますから……
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