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「コルネリアさん!!お酒、飲んだでしょ!!」

ある昼下がり、ブラウの稽古を角兎親子としている最中リラが怒りながら私の元へやって来た。

「おいおい、なんだいリラ。今日はまだ飲んでないぞ?」

「だって、お酒、減ってるもん!!」

汗を拭きながら、誤解を解こうとするがリラの怒りが中々収まらない。

流石の私でも、真っ昼間から酒は飲まない。
酒は一日の終わりに飲むから美味いんだ。

「お酒一日3本、決めてた!!コルネリアさん、死んじゃったらどうする!?」

私を心配しているのはよく分かる。分かっているが、そう簡単に私は死なんと思うぞ?

しかし、酒が減ってるのは本当らしいな。

「ん-、私じゃないとすると、あと思い当たるのは……」

私はチラッと、横目でラルスの屋敷を見た。

「……ラルスさん……」

すると、怒りの矛先はラルスへと変更したらしいく、ブラウを引き連れラルスの屋敷の扉をドンドン叩き、ラルスを呼び出した。

「……何ですか?私は昨日飲みすぎで……」

ゆっくり扉が開き、寝着姿で頭はボサボサ、目の下には隈をつくったラルスがフラフラと頭を押さえながらやって来た。

──あっ、こいつ二日酔いだな。

「やっぱり!!犯人、ラルスさんだった!!」

「は?えっ?なに?犯人?何のです?」

「とぼけても無駄!!お酒、飲んだのラルスさん!!」

リラはラルスを指さして怒っているし、ラルスは意味がわからなくて困惑している。
まあ、叩き起された挙句、開口一番犯人扱いだ。ラルスからしたら、たまったもんじゃないな。

「あのな、リラが言いたいのは、うちの食材庫から酒が無くなったらしくて、その犯人がお前なんじゃないかってさ」

「そう!!」

埒が明かないと思ったブラウが簡潔に経緯を説明した。

「何を言ってるんですか!!私がコルネリアの大切な酒を取るはずないでしょう!?コルネリアは三度の飯より酒が好きなんですよ!?」

経緯を把握したラルスが、物凄い勢いで否定した。
確かに、ラルスが取ったならば魔力残り香で分かる。

「じゃあ、誰?」

リラが首を傾げながら不思議がっている。
酒が一人で歩いていくはずもないしな……

ん?そう言えば、この流れ前にも同じような事が……

私は、ふとある奴の姿を思い出した。

「……もしや、じゃないのか?」

「えっ?」

「前もこんな事あったろ?」

「「あああああ!!!!」」

最初は分からなかったらしいが、暫くすると思い出したようで、ブラウとリラは急いで家の中へ入って行った。

「ルー、ルー母さん万が一の為に家の周りを頼む」

ギュッ!!
キュッ!!

奴なら逃げ道を塞いでおいた方が無難だと思い、ルー達に頼んでおく。
二匹揃って親指を立てて任せろとさ。

「何ですか?奴って?」

「まあ、付いて来れば分かる」

ラルスは奴に会ってないから、知るはずもない。奴のことだ、ラルスの屋敷も狙うかもしれん。用心の為に会っといた方がいい。

「リラ、いたか!?」

「いない!!」

家の中では、ブラウとリラによる大捜索が行われていた。

「……屋根裏だな」

私が探索サーチで居場所を確認すると、すぐさまブラウが屋根裏に駆け上がり中を確認する。

「いた!!!」

──やはり

「コルネリアさん!!下に行った!!」

空気球ルフトクーゲル

姿を現したところで空気の球に閉じ込めた。
一度目は逃がしたが、二度目は逃げれない様に閉じ込めてやった。
そして、閉じ込めた球にゆっくりと近づいた。

「……久しぶりだなぁ。余程ウチがお気に入りと見えるが?」

「…………」

球の中にいるのは、いつぞやの盗人アナグマ。
再びウチを狙うとは、いい度胸している。
今日は簡単には逃がさん。飼い主を吐くまで死んでも帰さん。

「コルネリアさん……こいつ、こんなもんまで持ってこうとしてたけど……」

ブラウが何故か顔を赤くして、私にアナグマの袋を見せてきた。
中を見ると、そこには私の下着が数枚……

「……コルネリアの下着を盗んだですって!?こんな、こんな破廉恥な色をコルネリアが!?」

袋の中を見たラルスは、顔を真っ赤にしながら変なとこに興奮している。
面倒臭いから、ラルスこいつは無視。

「……酒だけだけじゃなく、下着まで……お前の飼い主は下着集めを趣味にしている変態か?ペットがこれなら飼い主も飼い主だな」

小馬鹿にしたように言ってやると、アナグマはみるみる怒った様な顔付きになった。

「ご主人は変態じゃないだす!!こんな趣味の悪い下着、貰ってやるだけ有難く思って欲しいだす」

「なっ!!」

このアナグマ喋るぞ!?
それだけ知識のある奴だと言うことなのか!?

いや、そんな事はどうでもいい……
聞き捨てならぬ言葉が聞こえたな。

「……人の下着ものを取っておいて、趣味が悪いだと?お前の飼い主は躾がなっていないようだな?私が直々に躾てやろう……死んだ方がマシだと思えるぐらいにな」

球を掴んでいた手に力が入り、球にピシッとヒビが入る。

「コルネリアさん!!球が割れちゃう!!」

「コルネリア、こいつの処分は私がしましょう。私でも触れたことの無い下着に触れるとは……」

ブラウとラルスが止めに入るが、私の怒りがそれでは収まらない。

「さて、どうしてくれようか?」

ニヤッとアナグマを見つめながら言うと、死の宣告をされた様な顔をして震え出した。
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