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私は簡潔にラコードに経緯を話した。
全てを話終えると、ラコードは鼻で笑った。
「はんっ!!やはり人間というものは弱い生物だな!!」
「何だと!?」
お前にそんな事言われる筋合いはない!!
「──ラルス、退け」
「は?」
息が上がりながらも、必死に蛇髑の注意を引いてくれていたラルスをラコードは蛇髑から退けと言う。
ラルスは素早く退くと、ラコードは蛇髑に向けて手をかざし火焔を出した。
蛇髑はあっという間に灰となり、風と共に散っていった。
流石はドラゴンと言うべきか……
あれだけ、私達が苦戦していた蛇髑を一瞬で消し去る魔力に身震いもする。
「ルー母さん!!!」
蛇髑が居なくなったのを確認したブラウはすぐにルー母さんの元へ駆け寄ってきた。
しかし、まだ目を覚まさない。
──失血が多かったからな……。早く目を覚まして欲しいが……
ブラウは、片腕を失ったルー母さんの姿を見て涙を流しながら一生懸命その大きな体を撫でていた。
無くなった腕は元には戻らない。
目が覚めた時、なんと言えばいいのか……
ルーに何と言えばいい?もしかしたら、私を恨むかもしれん。
仕方なかったとは言え、切り落としたのは他でもない私だ。恨まれたら素直に受け入れよう。
「おっ、夜が開けるな」
ラコードが空を眺めながら言う。
長い長い夜がようやく明けようとしていた。
◇◇◇
「……なんで……なんで、ルー母さんが……」
ルー母さんをラルスの屋敷に連れていくと、リラがすぐさま駆け寄りルー母さんに抱き着き泣き出した。
「……リラ、すまない。これしか方法が無かったんだ……」
部屋の中は静まり返り、リラの啜り泣く音だけが響いた……
ピクッ
ルー母さんの耳が動いた。
「「ルー母さん!!!」」
皆が一様にルー母さんの名を呼ぶと、ピクピクッと耳が動いた。
そして、ゆっくり目が開いた。
「ルー母さん!!!目が開いた!!!」
ブラウが嬉しそうに私を見てきた。
「ああ、良かった……。もう大丈夫だ」
自然と笑みが零れた。
だが、傷口が癒えるまでは油断は出来ない。
「……ルー母さん、私が分かるか?」
「……ああ、コルネリアさん……」
私の問にゆっくりと答えが返ってきた。
そして、私は今までの経緯をルー母さんに説明し、ルー母さんに心から謝罪した。
いくら謝罪しても許されないと思いながら……
「……そうか……。いや、コルネリアさん謝ることは無いよ。寧ろ私は感謝するね」
ルー母さんは無くなった片腕を確かめると、一瞬悔しそうな顔をしたが、すぐにいつもの顔に戻り、私に感謝すると言った。
「……確かに腕を斬られたのは残念だけど、それも私を思ってのことだろ?腕をそのままにされたら私はルーと一生会えなくなっていた。ルーに悲しい思いはさせたくない。親だからね……。なに、腕の一本ぐらい命に比べれば安いもんだよ」
そう言うと、ルー母さんはニコッと笑った。
その言葉に私も救われた。
──参ったね……
「それに、蛇髑の毒を避けれなかった私の責任でもある。私もまだまだだね」
いや、ルー母さんの戦いは凄かった。
それは、私達が証明する。
「ああ、悪いけど、ルーを呼んできてくれるかい?きっと私の帰りを待っているはずだ」
そうだな。目が覚めたらルー母さんが居ないんじゃ心細いだろ。
「ブラウ頼む」
「はい!!」
ブラウはすぐにルーを呼びに森へと入って行った。
さて、ルーになんと説明しようか……
全てを話終えると、ラコードは鼻で笑った。
「はんっ!!やはり人間というものは弱い生物だな!!」
「何だと!?」
お前にそんな事言われる筋合いはない!!
「──ラルス、退け」
「は?」
息が上がりながらも、必死に蛇髑の注意を引いてくれていたラルスをラコードは蛇髑から退けと言う。
ラルスは素早く退くと、ラコードは蛇髑に向けて手をかざし火焔を出した。
蛇髑はあっという間に灰となり、風と共に散っていった。
流石はドラゴンと言うべきか……
あれだけ、私達が苦戦していた蛇髑を一瞬で消し去る魔力に身震いもする。
「ルー母さん!!!」
蛇髑が居なくなったのを確認したブラウはすぐにルー母さんの元へ駆け寄ってきた。
しかし、まだ目を覚まさない。
──失血が多かったからな……。早く目を覚まして欲しいが……
ブラウは、片腕を失ったルー母さんの姿を見て涙を流しながら一生懸命その大きな体を撫でていた。
無くなった腕は元には戻らない。
目が覚めた時、なんと言えばいいのか……
ルーに何と言えばいい?もしかしたら、私を恨むかもしれん。
仕方なかったとは言え、切り落としたのは他でもない私だ。恨まれたら素直に受け入れよう。
「おっ、夜が開けるな」
ラコードが空を眺めながら言う。
長い長い夜がようやく明けようとしていた。
◇◇◇
「……なんで……なんで、ルー母さんが……」
ルー母さんをラルスの屋敷に連れていくと、リラがすぐさま駆け寄りルー母さんに抱き着き泣き出した。
「……リラ、すまない。これしか方法が無かったんだ……」
部屋の中は静まり返り、リラの啜り泣く音だけが響いた……
ピクッ
ルー母さんの耳が動いた。
「「ルー母さん!!!」」
皆が一様にルー母さんの名を呼ぶと、ピクピクッと耳が動いた。
そして、ゆっくり目が開いた。
「ルー母さん!!!目が開いた!!!」
ブラウが嬉しそうに私を見てきた。
「ああ、良かった……。もう大丈夫だ」
自然と笑みが零れた。
だが、傷口が癒えるまでは油断は出来ない。
「……ルー母さん、私が分かるか?」
「……ああ、コルネリアさん……」
私の問にゆっくりと答えが返ってきた。
そして、私は今までの経緯をルー母さんに説明し、ルー母さんに心から謝罪した。
いくら謝罪しても許されないと思いながら……
「……そうか……。いや、コルネリアさん謝ることは無いよ。寧ろ私は感謝するね」
ルー母さんは無くなった片腕を確かめると、一瞬悔しそうな顔をしたが、すぐにいつもの顔に戻り、私に感謝すると言った。
「……確かに腕を斬られたのは残念だけど、それも私を思ってのことだろ?腕をそのままにされたら私はルーと一生会えなくなっていた。ルーに悲しい思いはさせたくない。親だからね……。なに、腕の一本ぐらい命に比べれば安いもんだよ」
そう言うと、ルー母さんはニコッと笑った。
その言葉に私も救われた。
──参ったね……
「それに、蛇髑の毒を避けれなかった私の責任でもある。私もまだまだだね」
いや、ルー母さんの戦いは凄かった。
それは、私達が証明する。
「ああ、悪いけど、ルーを呼んできてくれるかい?きっと私の帰りを待っているはずだ」
そうだな。目が覚めたらルー母さんが居ないんじゃ心細いだろ。
「ブラウ頼む」
「はい!!」
ブラウはすぐにルーを呼びに森へと入って行った。
さて、ルーになんと説明しようか……
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