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私はこの世に生まれてから、国の為に尽くせと言われて育った。
父は国王、母は王妃。その子供の私は国の事を思うことは当然な事だと思った。

幼い頃から国情を叩き込まれ、剣術、武術も教わった。
友達と言える相手もいない。媚びを売ってくる奴は数知れずいたが、そんな奴を相手にしている暇はなかった。
全ては立派な国王になる為。

父上は立派な国王だと思っている。
国民の事をいつも思っているのだ。最近ではドラゴンが再び暴れだしたと聞き、すぐに騎士団を派遣した。
だが、騎士達は敗れて帰ってきた。
父上は頭を抱える毎日だった。

そんなある日、ミュラー公爵が死亡したと報告があった。
しかも、ミュラー公爵は貴族の連中と結託して人身売買などに手を染めていたらく、屋敷から様々書面が見つかった。
騎士を呼びに来たミュラー公爵家の使用人によれば、大きな爆発音の後ミュラー公爵が急に老い始め、息絶えたと言っていた。

──人間が急に老いる事などあるのか?

量は多くないが私にも魔力はある。魔法も使えるが、人間を老いさせる魔法など知らない。
大昔いたと言われる、大魔女ならできるやもしれんな……。

ミュラー公爵邸にはラルスがいた。
騎士達はすぐにラルスを拘束したらしいが「これを見てくれ」と何処からか魔石を出した。この魔石が凄かった。

映像は鮮明に映し出され、ミュラー公爵家の内情がよく分かった。

私達はこの魔石の製作者と、ミュラー公爵を殺った奴を探した。
当然ラルスにも聞いたが、知らぬ存ぜぬの返事ばかり。
映像魔石など、皆が欲しがり血眼になって探す奴が出てきた。

仕方なく私は最後の手段として、隠密部隊を使うことに決めた。
すると、すぐに報告が上がってきた。
その報告を聞いて驚いた。

なんと、魔女と騎士団長のアルベールが一緒にいたのだ。
しかも、奥方と一緒に住み着いているではないか。
私はすぐに父上に報告し、アルベールを呼びつけた。

アルベールはいつものように任務の話だと思ってやって来たが、森の話をすると顔が真っ青になった。
私と父上が問い詰めるが、アルベールは一切話そうとはしなかった。

魔女に話さぬよう術を掛けられたのか、はたまた奥方を人質として取られているのかと思ったが、そうではなかった。
アルベールは「あいつらをそっとしておいて欲しい」と懇願していたのだ。
父上はこれ以上は無駄だと思い、アルベールを牢へと入れた。

そして魔術師のエドを呼び、魔女を連れてくるよう指示を出した。

正直私は、魔女など興味はなかった。ただ、この国の為になりそうな奴だと思い探したに過ぎない。
だが、アルベールがあそこまで口を割らずに庇う魔女に興味が沸いた。

――まぁ、使えそうな奴は使うだけだ。

そして、エドが連れてきた魔女は物凄い偉そうな奴だった。
一緒に連れてきた魔石の製作者は、ずっと俯いたまま肩を震わせていた。

――なんだ、こいつらは?

こいつらが本当に魔女と魔石の製作者か疑いが出てきたとろで、父上が爆弾発言をした。
なんと、この魔女を私の婚約者にするなどと言いただした。

確かに、縛り付けていおくには婚姻が有効だと思うが、こんな教養のなっていない女など私は御免だ。

そう思いすぐに父上に抗議したが

「国の為だ、お前の答えは聞いていない。何が何でも魔女をものにしろ」

そう言われてしまったら、仕方がない。
国の将来を考えれば、私の気持ちなど些細なこと。

そう考え直し、仕方なく教養のなっていない魔女を嫁にしようと考えた。
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