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にじゅうに

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「「うわぁぁ、あぁー!」」



 変な奇声をあげて、銀色の狼が襲いかかって来た⁉︎

「きゃあ!」


「サローナ!」

「やめろ!」

 ユバとエマ様も手を伸ばしているが間に合わない。
 鋭い爪が私に目掛けて振り下ろされた、これは避けれないと、目を瞑った。

 平気、エマ様によって腕輪に施された、防御魔法があるから……と思ったとだけど、ふさっと頭の上に何か置かれた。

 えっ、なに?
 
「お前は、トーラス?」

「なんじゃ、ジヤの息子のトーラスか?」

 ユバとエマ様の知り合い?
 目を開けると、目の前に大きな琥珀色の瞳をした、子供の銀色の狼がもじもじしていた。

「ごめん。ぼ、僕、みんなを驚かせたよね。普通に出ようと思ったんだ、だけど緊張して自分の足を踏んじゃって飛び出ちゃった……ただ、ユバのお嫁さんに花冠を渡したかっただけなんだ」

「花冠?」

 手に取ると、シロツメクサの様な白い花が綺麗に編まれた冠だった。

「サローナにプレゼントかありがとう。よく、トーラスの親父さんがここに来ることを、許してくれたな」

「ユバの結婚はみんな喜んでる……お父さんも会いには行けねぇーけど、ユバに幸せになれって言っていたよ」

 ユバは嬉しそうに笑いって、トーラス君の頭を撫でた。

「そうか……ジヤさんがそう言ってくれたのか。トーラス、帰ったらありがとうと伝えてくれ」

「うん、わかった。それと、ユバの花嫁さん驚かせてごめんね」

「ううん、平気よ。綺麗な花冠をありがとう」 

 宴の席に誘ったけど、結婚式には参加するからと照れながら帰っていった。
 

 +


 ようやくユバの村の中に入れた。
 周りの猫たちはみんなは「おめでとうにゃ」「これからよろしくにゃ」「おにゃか空いたにゃ」とラッパと太鼓、ぽんぽんで祝ってくれた。

「カラ大兄! サングリエの焼き肉をみんなに振る舞ってくれ!」

「わかった、この台の上に肉を出して」

 ユバは言われた通り、アイテムボックスから肉の塊を台の上に出した。

「すごく立派な肉ね。これを捌くための包丁が無いわね」

 包丁と聞き私は咄嗟にアイテムボックス中を探り、ものの見事な宝飾品が付いた真っ白な鞘に収まる剣を取り出した。

「拾い物ですが、これを包丁の代わりにしてください」

 その剣を見たみんなはラトナ以外、私の周りからさーっといなくなった。それはエマ様とユバと家族、ドラーゴ様まで。

「どうされたのですか?」

 剣を振るとみんな青い顔になる。

「サローナ、その剣どうした?」

「この剣ですか? えーっといまから5年前くらいでしたか? 洞窟を探検中に宝箱からいただきました!」


「「はぁ⁉︎」」


 みんなの驚きの声が村の中に響いたのだった。

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