愛してる。だからばいばい

はすか

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「……っ!? かっ……」

『お前、俺みたいなのが自分から国を建てようなんて本気で思うか?』

 ジニアは何の感情も読み取れない濁った瞳で、僕の首を締める。ぎりぎりという不快な音が耳元で聞こえるが、どこか遠く感じるのは、おそらく酸素が足りていないからだろう。

『勝手に妄想膨らませてんじゃねえよ』

 唸るように言われ、僕は本気で死を感じた。視界が霞む──

 どれほど経っただろうか。目の前が暗転する寸前で、ジニアは僕の首に食い込ませていた指を離した。
 しばらく呆然としていた僕は、思い出したように呼吸を再開する。何度も咳き込み、苦い唾を飲み込む。

「ッ……」

 辛うじて歪む視界が戻ってきた頃、気づけばジニアは、元の僕の向かいに座っていつもの挑発的な笑みを浮かべていた。

『で、どうするよ?』

 何事も無かったかのように話を戻すジニア。その様子は、僕から抗う気力を根こそぎ奪っていった。僕は重い体を起こすと、素直に彼の声に頷いた。

「……僕にとって、ローズがいない世界で生きる以上に辛いことなんて無い。ローズが助かるなら……僕は死んでも構わない」

『死ぬだけか?』

「?」

 単純に言われてることが理解できず、僕は首を傾げる。
 その様子の何がおかしいのか、ジニアはまた笑って

『お前の命一つ差し出すだけで、世界の理を書き換えられるとでも?』

 ゆっくりと、ジニアが言ったことを脳内で噛み砕いて──

「!」

 盲点だった。呪いは、自分が思っているよりずっとずっとこの世界に強く根付いているんだ。それこそ、世界の理を書き換えなければ、呪いは打ち消せない。呪いを付与してから、時間が経ち過ぎたためだろう。
 これでは、僕が命を投げ出したとして、大河に逆らう蟻のようなものだ。全く意味を為さない。

「っ」

 僕が絶望感に苛まれる中、ジニアは子供を諭すような優しい瞳で続けた。

『ま、安心しろよ。王族と言えど所詮人間だ。本来なら圧倒的に足りない代償だが、俺も手伝ってやる。そもそも、俺が元凶だしな』

 ……この人は、発端であるにも関わらず何もしないつもりでいたのだろうか。

「……貴方一人で、何とかならないのですか。今の言い様だと、僕が必要ないように感じます」

 先に抱いた疑問は目を瞑ることにし、ジニアに話を合わせる。
 僕が密かに呆れた視線を送る中、ジニアは顎に手を当て、思案顔で答える。

『そうだなあ……本当だったらいらない』

「は」

 間抜けな声が零れる。
 本当に……この人は何が言いたいのだろう。

『だが何度も言うが、俺は魂の成れの果てだ。と有り余った魔力がこの世にこびり付いて、あの世に行ききれない存在だ』

 そして彼は、説明の材料を指の本数で表し、順に説明していった。


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