愛してる。だからばいばい

はすか

文字の大きさ
7 / 11
本編

7

しおりを挟む



 ジニアが言っていることを簡単に要約するとこうだ。
 自分は死者である。死者はもちろんこの世に干渉することはできない。そもそもこの世に死者とか、そう言ったオカルト的な存在が生まれてくること自体がイレギュラーであるため、下手に動くと自分だけでなく周りに被害が被るらしい。
 だから、自分が直接はこの件に手出しはできないとのこと。するとするのならば、誰かを媒介としなければならないこと。
 そして解呪の方だが、こちらもこちらで厄介なようだ。呪いを付与した時と同等級の魔力を注がなければ、まず話にならないらしい。魔力量に関しては心配いらないが、問題は媒介とする誰かに、その魔力を通さなければいけないことだ。
 おそらく自分の魔力に耐えうる人間など、世界のどこを捜してもいないだろう。魔力は媒介の魂だけでなく、世界をも蝕むことになる。媒介となる人間の存在は、そこにあったという事実さえ失い、世界は「忘却」を受けることとなる──

「その役目が、僕……」

『そういうこった。……すまねえな』

 まさかジニアから謝罪の言葉が出るとは思わず、僕は笑みをこぼした。

『何で……お前笑うんだよ……』

 ジニアは「も」と付けたが、僕以外に笑っている人はいない。ジニアは笑うどころか、今にも泣きそうに顔を歪めていた。

「しかし、よろしいのですか?」

 そんな状態の彼だが、最終確認を取る。これだけは、聞いておきたいと思っていたのだ。

『何がだよ』

「初代国王が……と言うか誰でも、こんな呪いを生み出すくらいです、何かしら理由があったのでしょう? それを……ここで解いてもよろしいのですか?」

『はあ? お前がそうしたいんだろ?』

「それは、そうですけど……でも、何で僕なんかのために……いや、僕だけのためじゃないというのはわかっているのですが……」

 言い淀む僕に、ジニアは焦れったいなと呟く。何だか急かされたような気がして、僕は口を滑らせてしまう。

「どうして、ここまで僕に良くしてくださるのですか?」

 言った後に、僕は頬が紅潮していくのを感じた。これでは、自意識過剰と捉えられてもおかしくない。特に人を馬鹿にするのを趣味にしていそうなジニアのことだ、また嫌味っぽく笑われる。
 気は重いが、覚悟を決めてジニアの方を恐る恐る見ると

『──』

 ジニアは声を詰まらせているようだった。彼にしては、随分と珍しい。普段は息を吸うように人を挑発するのに。
 僕は黙ってジニアが動くのを待ち、やがてジニアは鼻で笑うと、こう吐き捨てた。

『ただの気まぐれだ。強いて言うなら、退屈しなさそうだったから……だな』


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

行き場を失った恋の終わらせ方

当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」  自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。  避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。    しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……  恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。 ※他のサイトにも重複投稿しています。

あなたのためなら

天海月
恋愛
エルランド国の王であるセルヴィスは、禁忌魔術を使って偽の番を騙った女レクシアと婚約したが、嘘は露見し婚約破棄後に彼女は処刑となった。 その後、セルヴィスの真の番だという侯爵令嬢アメリアが現れ、二人は婚姻を結んだ。 アメリアは心からセルヴィスを愛し、彼からの愛を求めた。 しかし、今のセルヴィスは彼女に愛を返すことが出来なくなっていた。 理由も分からないアメリアは、セルヴィスが愛してくれないのは自分の行いが悪いからに違いないと自らを責めはじめ、次第に歯車が狂っていく。 全ては偽の番に過度のショックを受けたセルヴィスが、衝動的に行ってしまった或ることが原因だった・・・。

好きでした、さようなら

豆狸
恋愛
「……すまない」 初夜の床で、彼は言いました。 「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」 悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。 なろう様でも公開中です。

お飾りな妻は何を思う

湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。 彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。 次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。 そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。

ジェリー・ベケットは愛を信じられない

砂臥 環
恋愛
ベケット子爵家の娘ジェリーは、父が再婚してから離れに追いやられた。 母をとても愛し大切にしていた父の裏切りを知り、ジェリーは愛を信じられなくなっていた。 それを察し、まだ子供ながらに『君を守る』と誓い、『信じてほしい』と様々な努力してくれた婚約者モーガンも、学園に入ると段々とジェリーを避けらるようになっていく。 しかも、義妹マドリンが入学すると彼女と仲良くするようになってしまった。 だが、一番辛い時に支え、努力してくれる彼を信じようと決めたジェリーは、なにも言えず、なにも聞けずにいた。 学園でジェリーは優秀だったが『氷の姫君』というふたつ名を付けられる程、他人と一線を引いており、誰にも悩みは吐露できなかった。 そんな時、仕事上のパートナーを探す男子生徒、ウォーレンと親しくなる。 ※世界観はゆるゆる ※ざまぁはちょっぴり ※他サイトにも掲載

 《完結》 どうぞ、私のことはお気になさらず

ヴァンドール
恋愛
実家の伯爵家では、満足に食事も取らせてもらえず毎日、使用人以上に働かされた。  そして縁談が来たと思ったら火遊び好きな侯爵の隠れ蓑としての婚姻だった。

ご安心を、2度とその手を求める事はありません

ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・ それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望

真実の愛の言い分

豆狸
恋愛
「仕方がないだろう。私とリューゲは真実の愛なのだ。幼いころから想い合って来た。そこに割り込んできたのは君だろう!」 私と殿下の結婚式を半年後に控えた時期におっしゃることではありませんわね。

処理中です...