おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅

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8.面倒事は続くよ。どこまでも

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「あ、もう一つ訂正させてもらいますが、もう殺傷能力を発動する事は出来ません」

 その表情からすると、知らなかったのか。

「どういう事かな。確か、君は魔塔のビスクと仲が良かったよね」
「そう、ですかね。お茶をしたりはしていましたが」

 此方に来て、このありがた迷惑な加護により、直ぐに魔法や魔術関連の研究施設に連れていかれた私は、一人のお爺様と茶飲み友達になった。

 後に偉い人だと知ったけど、私にはオタクなおじいちゃんにしか見えず、それは現在進行系である。

「話を進めますが、当初は私の殺傷力がどれほどなのかなど、あらゆる事を実験、検証されまして。結果、攻撃ではなく防御壁というモノに変えられるようになりました。詳しい話は魔塔の方々に聞いてみてください」

あ、そうだ。

「私は、王位争いなどに向かないので。巻き込まないで下さい」
「もし、そうなったら?」

うーん。

「この国から出ます」

 お金さえあれば、なんとかなる気がするのよね。

「それが通用すると本気で思っているのかい?」
「勿論」

 私の壁は無敵だ。しかも殺傷力なしのひたすら防御のみに特化しているし。

なによりも。

「私には大切なモノがないので」

 家族や友達がいないのは、ある意味弱味を握られないので利点だ。

「……どうやら、今回は此方の負けかなぁ。あの美味いご飯が食べられなくなるのは避けたいし。暫く視界には入るかもしれないが、商売や生活の邪魔をしないと誓うよ」

 全てを鵜呑みにして良いのだろうか。

「書面に残して頂けますか?」
「良いよ」

 とりあえず口約束よりは何かあった時には有利だろうと少しだけ気持ちがスッキリし、足取りも軽くなった私は、機嫌よく家へ早々に帰宅したはずだった。


「レインさん?」
「今日は」
「はい、今日は」

いや、呑気に挨拶している場合じゃないわ。

「どうして家に? あとその荷物は?」

 彼の長い足の横には、大きなボストンバッグのような袋が置いてあった。

「明日から、お願いします。また、殿下の命により夜も警備が必要との判断で…住まわせて下さい」

「えー!」

 住み込みだなんて。そんなの聞いてないわよ!


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