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第二章 宇宙人来襲

第29話 謎

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「竜ちゃんが、謎言語をしゃべっていた」

 彩の記憶にある、英単語は確かに少ない。
 だが、それにしても、アクセントや頻出単語は流石に覚えている。

 それに、犬の頭に生えていた光る角。
 イメージ的には、カタツムリの角にちかい。

 一般的にカタツムリの、ぴよんとしたモノは触角です。大触角と小触角が有り、大触角の先端には目が付いています。

 せっかく夜這いに行ったのに。
 すっかり驚いてしまい、目的が果たせなかった。
 そう言えば、昼間には翼が生えていた。

「竜ちゃんてば…… かっこいいぃ」
 彩は、彩だった。


「あーひどい目にあった。お義父さんたら。まあ。喜んでくれていたから良いけれど。見られただけだし」
 あの翼。実体は無かったけれど、かっこよかった。
 でも、竜ちゃんて、能力は無かったはずなのに。
 それに、彩の根性の悪い炎まで消したよね。
 実は、能力者で偽装が出来る?

「竜ちゃんだし、しそうな気がするなぁ」
 なんとなく、人生を何十回か、経験をしているのでは無いかと思うときがある。


 そして、気の抜けた二人が、眠りについた頃。
「起きてる?」
「うんああ。いつもお疲れだな。家のことをさせて悪いな」
「ううん。お義父さんは、あれだけれど、お義母さんは優しいし。仲良く出来そうよ。それでこの犬は? 目が赤く光っているけれど」
「気にするな」
 そして、伶菜は躊躇無く、竜司の布団へ潜り込む。

 すぐに、竜司にぴったりと寄り添うと、伶菜は寝息を立て始める。

「これが、メスなのね」
 マイリが聞いてくる。

「ああ。そうだ。卵で産まず。お腹の中で、ある程度まで育てる」
 そう言うと、驚きの波動が伝わってくる。

「卵でも大変なのに、すごいわね」
「種族の差だな。卵は確か〇・一五ミリくらいだったと思うぞ」
「それは、小さいわね。確かにそれで産んじゃったら、死にそうだわ」
「だろう」
「面白いわね。発生した星は同じなのに」
「ああ。生命の神秘だな」

 その会話を、伶菜は聞いていた。
 むろん、竜司の布団へ潜り込み、すぐに寝付くなど健康な高校生。無理な話。
 犬がしゃべり、その謎の言葉を、竜司がしゃべる。

 それも、雰囲気が優しく。昔から知っていたような穏やかさ。
 でも、お義母さんから、竜司の子供の頃。いえ、赤ん坊の時の写真も見せて貰った。犬から生まれたとは聞いていない。

 結局、伶菜は寝付けず。六時頃に、いつもの様に自分の布団へと戻っていく。

 翌日、竜司は犬を連れ、登録をしに行く。
 そして、未成年のため。登録が出来ず、すごすごと帰ってくる。

 書類はしっかり貰ってきたが。

 その日から、能力者二人と一匹で、モンスター退治を行う事にした。
 マイリに聞くと、力が使えるらしい。

 そして、その使える力の内容を、きちんと聞いていなかった事を後悔する。

 それはもう、火は噴くし、風を操り首は落とすし、気を操り爆散までさせる有様。

 偽装体がレベルアップや上位種へ変化をしないと思っているが、自分が死んでから何かが変わっている可能性はある。

「ちょっと、まずいかな」
 すでに、彩とまどかは、目が点だ。

 最近は、戦いを遠巻きに見ている人たちもいる。

 スマホをこちらに向けたら、妨害しようと心に決める。

 そんな時こそ、予想外がやって来る。
 住宅地の曲がり角から、ひょっこりと顔を出したのは、オークを通り越して、オーガだ。

 後ろで見ていた人たちが、逃げていく。
「ちょっと、あれは」
「私もちょっと」
 そう言いながら、あっちいけという感じで炎を投げつける彩。

 三メートル近い体躯ながら、避けるよね。
 それも、かなり素早く。
「なっ。避けないでよ」
 彩はそう言いながら、ぽいぽいと炎を投げる。
 平行に三個。

 あれは、避けられないだろう。
 そう思ったが、ペシッと手ではらった。
「なっ」
 驚く彩。

「おい、彩これ以上は駄目だ、人の家が燃える」
「一応燃えないようにしているけれど、そうすると払われる」
 おお。新事実。
 投げる炎の、性質を変えられるとは素晴らしい。
 彩なのに。

「それはそうとして、場所が悪いし、どうしよう?」
「そうだな。ここは結構車も通るし」
 そう言っていたら、家の角から出てきたハイブリッド車が、オーガを見た瞬間、いきなりアクセル全開で体当たりをする。

「おお。すごいな車を犠牲にして。ミサイルとして有名な車だけれど、運転手さん大丈夫なのか?」

 フロントが、ぐっしゃりと潰れて、流石にオーガも倒れる。車の上へ。

「反対に倒れたら、燃やせたのに」
「あれ? 車の人が、やばいぞ助けよう」
 オーガは、怒ったのか。ボンネットバンバンをやっている。

 一発でかなりぐっしゃりと潰れて、車は悲惨な状況になる。

 そして状況を考えて、ついね。力を使ったのさ。
 俺の出した光は、オーガの頭を貫く。

「うわ。竜ちゃん今のなに?」
「気にするな」
「また、羽が出ているけど」
「気にするな、運転手さんを助けるぞ」
「あーうん」

 運転手さん、お年寄りで意識が無い。
 見た感じ怪我はなさそうだが、癒やしの光を軽く当てておく。

 関係各所に、電話をして、軽い事情聴取の後解放をされた。
 その頃には、当然羽は消えていた。

「コントロールが出来ないと、駄目だな」
 羽の出し入れについて、少し特訓をしよう。
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