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第二章 宇宙人来襲

第28話 不死鳥ならぬ不死犬

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 無慈悲な炎により、燃え尽きる犬たち。

 白い犬は、何かを言いたそうな、意味のありそうな感じだったのに……
 だが、燃えていく灰の中から、勢いよく飛び出るモノがあった。

「わん」
 そう言って、その犬は飛び出してきた。

 随分小さくなって。
 白い犬。命名シロ。

「シロ」
「わんっ」
 しっぽがわさわさ。

 俺を確認をすると、すぐに飛びついてくる。

 その瞬間に、彩が炎を、あろうことかシロに向かって、撃ちやがった。

 つい手を出し、魔力に干渉して消火する。
 その瞬間に、わさっと、しっぽじゃ無い。翼が出てくる。

 背後で、俺の翼を見たベルタが息をのみ、膝をついて両手を組み拝み出す。
 その一連の流れは、子供の頃からの修練が実を結び、流れるようだったと、まどかが言っていた。
 某教徒の礼拝は、修練だったのかと俺は首をひねる。

 確実なのは、シロが飼い犬になり、ベルタが俺を神の使いと考え、まどかが翼に触ろうとして、突き抜け。生け垣に突き刺さって、皆にピンク色のおパンツを見せたこと。
 そして、彩がなぜか、シロを警戒をしていること。

 だが、俺も抱っこをしてから、シロを警戒をしている。
 ワンと鳴きながら、飛びついて来たのは良い。

 だが、そこから行われた、ドラガシメル人の親愛の挨拶。

 欧米人のやる、頬へのキスと同じ要領だが、ドラガシメル人は、は虫類。
 顎が長いのさ。なので、頬同士を合わせる。

 この挨拶のいわれは、弱点である首筋を晒すことで、あいてへの信頼を示すとか何とか。

 幾度か繰り返したのは、俺に理解させるため?

 うーん。

「その犬。どうするの?」
 怪訝そうな目で、彩がこっちを見る。

「うん? なんだか懐いているし、飼うよ」
 そう言って、彩から隠すように、抱っこをする。

「うー。じゃあ家には、入れないでね……」
 彩がそう言ったときには、もうすでに玄関へ入っていた。

「あーもう。その犬は、モンスターなのよ」
 そう口にした彩だが、もっと違う女の勘が働いていた。
 能力が開花して、魂の階位が一段上がっていた。
 それによる、勘。

「まどかも、いい加減にしないと、風邪を引くわよ」
 彩はそれだけ言って、俺を追いかけて家へ入る。
 むろんベルタは、速やかに俺を追いかけて、家へ入った。

「言うだけで、どうして誰も手伝ってくれないわけ?」
 まどかは、生け垣に刺さったまま、手をつくところが無く、足も微妙に浮いている。そのため、全く抜け出せず。
 それから三十分程度、脱出に時間が掛かった。

 助けに行ったのは、うちの父さん。
 何故か、すごく喜んでいたよ。

 犬を父さんと母さんに見せ、市への登録は、明日行うことにした。
 調べると、登録は市町村によって、担当が違うそうなので、確認をした方が良い。
 市だったり保健所だったり、総合何たらセンターだったり。

 問題は、九十一日を過ぎたら狂犬病の予防接種だそうだが、生まれは今日だよな?
 それとマイクロチップ用の注射器。針が刺さるのか不安だ。

 その晩。寝ていると、夢を見た。
 今の地球では無く、昔の。
 ステラ=ディスエンディの学び舎で、二人で相談をしていたときだな。

「ほら、人の魂が階位で別れていて、収まらなくなれば翼が増えるのよ」
「そんな報告は、どこにも無いな」
「当たり前でしょ。私の研究だもの」
 彼女がふくれっ面を見せる。

 この頃、彼女は焦っていた。
 彼女。マイリはランクツイン二枚羽
 俺達に比べて、長くは生きられない。

「今の研究が上手く行けば、あなたのそばへ戻ってこられる。いつか、共にオクチュプリト八対羽となって、悠久の時を一緒に暮らしましょ」
 これが、最近の口癖。

 ふと目を開ける。
 シロから、俺へとフィストゥラムが接続されている。
「ONTF?」
 ONTFは、光データトランスファーチューブ。
 むろん、英語では無い。

「そうよ、データ転送用。久しぶりね。ミー=キャエル。その様子だと記憶は戻っていたの?」
 そう言って、まるで配信用アバターのような表情をする。絶対犬じゃ無理だ。

「犬なのに、器用にしゃべれるんだな?」
「ふふっ。そこ? もっと他に驚くところがありそうだけど。まあ良いわ。この体。最新の人工生命体。オプテミウムグレードよ。偽装体がいきなり燃やされて、予備を転送する羽目になるなんて」
 なるほど。あのでかいのが、本来の偽装体で、つぎを灰の中に転送か。

 彼女は、この手の技術については、詳しくない。
 多分、彼女が言っている人工生命体は、コアとリンクしている本体で、本体は宇宙船にある。

 人工生命体とリンクさせたコアを、偽装体へ装着できる。
 宇宙船にある人工生命体のグレードが低ければ、動きやセンサーの受信が出来ず。カットされる。
 センターとなる演算システムが、処理について行けないからだ。
 俺達が潜入をしていたときは、体に全センサーを取り付けて、コアを経由して、偽装体へリンクをしていた。

「とぅー、言うことは。本体は宇宙船か?」
「ええ。あなたと私を殺した、アンガ=ロス教授も一緒だけど、彼は眠らせてあるから」
「犯人は、教授だったのか?」
「ええ。ごめんなさい。あなたを巻き込んじゃった。でも、哺乳類って、温かみが良いわね。すごく新鮮。鼓動も感じるし」
 そう言って、俺の胸の上でスリスリとする。

 その時驚きで、何故彼女が人工生命体となっているのか? なぜ、殺した犯人のアンガ=ロス教授と一緒に居るのか、俺を見つけたのは、原住民への接触禁止令の監視モニターがシグナルを拾ったのだろうが、どうやって来たのか? 大事な事をきくのを忘れ、ただ会えたことに喜びを感じていた。

『いつか、共にオクチュプリトとなって、悠久の時を一緒に暮らしましょ』
 現実にはあり得ないと思っていた彼女の夢。
 だが、人工生命体へと魂が定着が出来るのなら、夢では無くなる。

 こんな技術を実現をするなら、ばあさん。
 きっと、賢者達が絡んでいるのだろう。

 そして、その様子を見つめている、瞳が一対。
 夜中に光る角? いや触手の方が近いか? それが生えた犬と、謎言語でしゃべる俺。
 ものすごく驚いたようだ。
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