上 下
67 / 109
第四章 日本の竜司から、世界の竜司へ

第68話 勝手に問題は積み上がる

しおりを挟む
「ススキノって人が多いわね」
 キョロキョロしながらも、行く場所は決まっているらしく、夜パフェ専門店へと向かう。
 誘惑は多いが、晩飯はすでに食べて終わっている。

 人数が比較的多い、客引きを躱して、目的の店へと急ぐ。
 流石に、先生達と出会うわけにはいかない。

「未成年の来店は二十三時までだって、急ごう」
 某ビルの六階。

 特殊な名前でよく分からないが、苺や抹茶、木イチゴや甘柑レモンやその他。
 ドリンクセットで注文をする。

「うわーおいしいけれど、お腹がいっぱい。ねえ上経由でいつでも来られるんでしょ」
「ああ。来られるな」
「今度は、お寿司とかさたべたい」
 まどかは完全に、食欲魔神にジョブチェンジしたようだ。
 堪能をして、店を出る。

「あれ、走り回っているの先生じゃない?」
 ビルの窓から覗くと、誰かを追いかけている。その後ろを引率されているのは、抜け出した奴らが、捕まっているようだ。

「ラーメンは今度だな」
「あたしはお腹いっぱいだし、まどかはどうなの?」
「うーん我慢する」
 まだ食えるらしい。
「よし、直接部屋へ戻ろう」

 そうして、俺達は、部屋へ戻った。
 翌朝、広間に並べられている生徒達がいる。
 上着は私服。
 どうも昨夜から、反省させられていたようだ。

「よーし注目。朝食の前だが、こいつらは昨夜、あろうことかホテルを抜け出し、先生達の楽しみを奪った。あっいや。まあいい。そのため、今日の見学は、こいつらはバスの中からしてもらう。みんなも逃がすな」
「「「「はーい」」」」

 どうも見分けを付けるため、奴らは半分私服の格好を通す様だ。

「昨日のパフェ美味しかったね」
 まどかはご満悦。

 俺達は、流石に胃が重い。
 そして、かぐや達は、もじもじ。

 特に、悠月は焦っていた。
 おじいさまに言われていたのに、気がつけば最終日。
 今日を逃せば、もう日が無い。
 特に、まぐわえの命令は絶望的となっている。

 両方の部屋の前に、ガードがいたため、そもそも無理だが。

 今日は、大倉山ジャンプ競技場の見学や、有名お菓子のテーマパーク見学。その後は羊が丘展望台レストハウスで食事の後、帰宅することになっている。
 絶望が、悠月の心を押しつぶす。
 おじいさまになんと言えば。

「どうしたの? 悠月ちゃん」
「おじいさまとの約束」
「何それ」
 まどかが何気なく聞くと、放心状態の悠月は答えてしまう。

「佐藤様と、まぐあわなければ」
 ついそれを聞いて、まどかは、飲みかけた味噌汁を吹く。
 鼻から、エノキがコンニチワ状態で、むせ込んでいる。

 当然、みんなの目がそちらを向く。

「まどか、鼻からエノキが出ているぞ」
 とりあえずよくわからんが、冷静に指摘をする。

「あーありがと」
 よこから、彩がお世話を焼く。

 そんな状態でも、悠月はぶつぶつと放心状態。

「どうしたんだ神馬は、どこかに行っているぞ?」
「なんか、けほっ。おじいさまの命令で、竜ちゃんとエッチしないといけなかったみたいよ」
 今度は、伶菜と都賀が噴き出す。

「あなたもなの?」
 どうやら、都賀も言われていたらしい。

 呆れる周り。
 やっと現状に気がつき、驚く悠月。

「えっと、なにが?」
 しらっとした目が、向けられていることに気がつく。

「悠月さん。わたくしそんな話は、初めてお聞きしましたが、風夏さんもですの?」
「はい」
 話が分かっていない、悠月と違い。風夏はそう返事をする。

「わたくしも混ぜ、いえ、一度お二方、お家の方と、お話をする必要がありますわね」
 そう言って、神宮路家として話をすることが、決まったようだ。

 そして、俺はよく分かっていなかったが、ごり押しという恐怖がこれから襲ってくることになる。

 父さんの勤めている会社が、いきなり身売りをしたり、訳も分からない昇進をしたり。
 それはまどかの家や彩の家でも同じ。

 なぜか、伶菜の親父さん。竜一さんの所には影響がなかったようだ。

 その後、問題なく観光して、窓にへばりつく連中を眺める。
 こいつら、バスから出られないのに、見学の感想を出す必要があるらしい。
 そのため見える範囲を撮影し、出られる奴らにパンフレットを集めて貰っている。

 四百字詰めの原稿用紙十枚以上。
 そう聞いて奴らは泣いていたが、たかだか四千字。
 WEBで小説書いている奴は、毎日六千字や一万字を書いている。
 大変なんだが、日課になると何とかなるようだ。

 ストーリーとプロットの方が大変なんだぞ。そう言って笑っていた。


 さて洋館のような羊ヶ丘レストハウス 一階が団体用らしく、生徒が埋め尽くす。
 こそっと、ラーメンを注文したりして、楽しかった旅も終わりに近付く。

 あん? 大倉山ジャンプ競技場は山だったし寒かった。お菓子のテーマパークは色々あった。有料施設やサッカー場なんかもあったよ。うん。

 そうして色々な、問題を山積みをして俺達は、帰路についた。

 当然後日、神宮路家にお招きを受ける。
 むろん周りの人間、親たちも含めて。

 その話の結果が、買収であったり昇進であったりと言うことだ。
 じいさんに気にいられたようだ。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

秘密~箱庭で濡れる~改訂版

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:298pt お気に入り:132

ヒト・カタ・ヒト・ヒラ

SF / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:21

フェロ紋なんてクソくらえ

BL / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:387

公爵様と行き遅れ~婚期を逃した令嬢が幸せになるまで~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:71pt お気に入り:24

【R-18】トラウマ持ちのSubは縛られたい 〜Dom/Subユニバース

BL / 連載中 24h.ポイント:163pt お気に入り:268

あなたが見放されたのは私のせいではありませんよ?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,260pt お気に入り:1,657

処理中です...