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第三章 復旧への進め

第14話 正規部隊到着

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 惑星ファジェーエヴァ。
「それではよろしく頼む。座標は送ってある」
 エイミー=アンジェラ=リンジー=エルズバーグは、地球方面、第一部隊。部隊長アデラ=アンバー=コベットに敬礼をする。

 先発のシーヴ=マリア=リナ=ヘイディーンからの情報により、魔導具作製の工作船を主として、部隊が編制をされている。
 別名、地球融和部隊とも呼ばれている。

 部隊長アデラ=アンバー=コベットは白狼種。種族は白狼種だが、白と言うより、銀色の髪。肩甲骨くらいまで届くロング。
 そして、しっぽはふさふさ七十センチ。

 銀色の瞳を持ち、誇り高く気高いフェンリルの血族。
 そう、とても真面目な性格。
 身長は百六十センチ、少し細身に見えるが鍛え上げた筋肉、こんもりした胸。

 彼女が選ばれた理由の一つだが、フェンリルは未だに神獣として扱われ、グループは君臨をしている。
 現在の長であるクイドノビィルスは、子供の頃に光希と行動を共にしたらしい。

 そのため、今回長に謁見をして、光希によろしくと伝言を頼まれ、その感動で彼女は涙したようだ。

 星の代表からの依頼。そして、神獣様からの依頼。
 頑張らない理由は見つからない。


 幾度目かのゲートをくぐり、地球にやって来た。

 座標はあそこだが……
 家があり、その脇には、先発の宇宙船。
 
 少し横を見ると、未舗装だが、丁度区画が切られている。

 全長百メートルほどの船。
 見ると、丁度入れそうなくらい。
 マザーシップは戦闘艦だが、後は工作艦が五隻。
「あそこで良い。区画に合わせて着陸しろ」
「はっ。高度座標ゼロ補正。十、九、八、七,六,五,四,三,二,一、着陸。うおっ。地面トラップ。いや、泥濘地です。沈降七十センチで停止」

 ―― おわかりだろうか。

 前回はキャベツ。
 今回は、せっかく植えた田んぼ。それも区画整理された一町もの広さを潰した。
 一反の田んぼ二枚に一隻。一反は十メートル掛ける百メートル。おおよそ三百坪。一町は十倍。三千坪。一反あれば、一家族が一年食べられる米が採れる。

 着陸用の足の下は完全に潰れた。

「ぬおお。深いな」
 ブーツは履いているが、足首の上まで泥に浸かる。
「お気を付けください、この中、小型の吸血系ワームが存在しています」
「何だと。トラップなのか。水を抜き、焼き払え」
「はっ」
 兵が、田んぼをぐちゃぐちゃにしながら、タラップに戻ろうとしたとき、ふと風が吹いた。

「人の田んぼで、何してやがる」
 声が聞こえた。

「ぬっ」
「ぬっ。じゃねえ。苗を踏むんじゃねえ」
 衝撃を受けて昏倒する。

「隊長…… 貴様よくも」
 兵が、腰に下げた鎮圧用ブラスターを抜こうとしたとき、何かが当たりブラスターがホルダーごと、ちぎれて飛んで行く。
「なっ何が?」
「さわぐな、年を取っているが、俺の名前は神谷 光希だ。聞き覚えはないか?」
「何だと、神谷 光希? かみや…… こうき…… はっ勇者様」
 いきなり土下座する。

 田んぼの中。
「ぶわっ。みず」
「まあ落ち着け。近所に迷惑だ。それと田んぼの中にタラップを降ろすな。あそこなら堅いからそこまで伸ばせ」
 道路を指さす。

「なら、機体をもっと前に出しても」
「それ以上動かすな。殴るぞ」
 周囲にプレッシャーがばら撒かれる。

「はっ。すみません」
「他の船にも伝えろ」
「はひっ」
 そう言って、船に戻っていった。

 結局、工作船は自由度が高く伸ばせたが、戦闘艦のほうは補助タラップを横からだして、コンクリート製の幅十五センチの畦に降りることにしたようだ。

 一般の兵は降りず、部隊長アデラは気を失って抱えられ、後は各工作部隊の部隊長達が降りてきた。
 五隻だから五人だな。


 空き地に急遽創った、離れに案内をする。
 この前急に、本国から隊が来ると連絡が来て、あせったシーヴに言われて急遽創った宿舎。

 そう、空き地に土魔法で創り、中は軽量鉄骨や二掛ける四の角材。建築用集合板で適当に造った。
 ホームセンターの在庫を買い集めて、造ったから仕方が無い。
 水道や電気は、じいちゃんが組んだ。

 そう。着陸場所は、家の山を削る予定だったが、間に合わなかった。
 こいつら、予定よりも一週間早くやって来たんだ。

 目を覚ましてから聞くと、じいちゃんに会いたくて飛んできたようだ。

 一応船の下にも太陽光は当たるように、カムフラージュシールドを調整して貰う。

 そうして、皆かがそろった所で、話をしながら飯を食っていると、アデラが目を覚ましたようだ。
 鼻をヒクヒクさせつつ、ブラスターを片手に警戒をしながら入ってくる。
「おう目が覚めたか、こっちへ来い」
 見たことないじじい。
 その横で嬉しそうに酔っ払っている猫系獣人。
 特任大使なので、官職はシーヴの方が上だ。

 敬礼をびしっとする。
「にゃっ。特任大使シーヴ=マリア=リナ=ヘイディーンにゃ。任務ご苦労。そこの席が空いてるにゃ」

 そう言われて座る。
 椅子の背もたれは、腰の後ろが空いているタイプ。
 しっぽが出せる。

「これは、いったい?」
「光希殿が用意してくれた宿舎にゃ」
「光希殿? はっ」
 色々な所にある肖像画。
 年は取っているが、面影はある。

 いきなり、アデラは立ち上がる。
「私は、今作戦で派遣されました部隊長。アデラ=アンバー=コベットと申します。白狼種で、フェンリルの長。クイドノビィルス様より、光希殿へよろしく言っといてくれと言伝っております」
 びしっと敬礼。

「フェンリルの長? クイドノビィルス様?」
「昔、一緒に旅をしたと、聞き及んでいます」
「ああ、チビか。クイドノビィルスなんて言う名前があったのか?」
「クイドノビィルスは、偉大なるという意味でして、人で言う名前とは少し違います」
「ああ、それ自体が、敬称なのか」
「はい。そうでございます」
 そう言うとじいちゃんは、思いだしたのか嬉しそうに目を細める。

「そうか。チビは元気か?」
「はい。来る前にお会いしましたが、お元気そうでした」
「そうかそうか。まあ飲め。お小言はその後だ……」
「お小言?」
 そう聞き返した、アデラの横で、シーヴがにまにまと笑っている。
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